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夏になると、ドラッグストアの制汗剤コーナーが一気ににぎやかになりますよね。そのなかで何年も棚の一等地にいる定番が、ライオンの「Ban(バン)」です。今回はリクエストの多かった無香料タイプ——公式の正式名称でいうと「Ban 汗ブロックロールオン プレミアム 無香性」を、成分から読み解いていきます。40mLで実売635円前後(税込)という手に取りやすい価格の、直塗りできるロールオンタイプです(出典2)。
制汗剤って「なんとなく効きそう」で選びがちなのですが、これは医薬部外品。つまり、効能を担う有効成分がきちんと決まっているアイテムです。このBanの場合は[クロルヒドロキシアルミニウム]と[イソプロピルメチルフェノール]の2つ(出典1)。前者が汗そのものを止め、後者がニオイの原因になる菌を殺菌する、という役割分担になっています。
そして正直に言うと、制汗剤は「アルミニウムって体に大丈夫なの?」という不安の声がとても多いジャンルでもあります。今日はそこも避けずに、公的機関の安全性評価とヒトを対象にした吸収試験のデータを使って、煽らず整理していきますね。

Banの制汗って、ただ汗を力づくで止めるだけじゃないんです。公式が「3D汗ブロック技術」と呼ぶ設計で、ニオイの発生源である角質層(毛穴や汗腺のあたり)にアプローチしながら、殺菌・消臭・香りのマスキングまで何層も工夫を重ねています(出典1)。ここを押さえておくと、この先の話がぐっと分かりやすくなると思います。
【はじめての方必読】当サイトの成分解析について
- 成分解析は各成分の一般的な配合目的を記載したもので、製品の効果効能を保証するものではありません。
- リニューアル等により全成分が変更される可能性があります。見つけた場合はお問い合わせフォームから教えて頂けると助かります。
ひとことで言うと

ひとことで言うと、これは「①汗を止める → ②ニオイ菌を殺す → ③残ったニオイ分子を包んで捕まえる → ④それを汗で流さない」という4段構えを、40mLの小さなロールオンに詰め込んだ真夏の実戦装備です。主役の[クロルヒドロキシアルミニウム]は世界中の制汗剤で使われている王道の制汗成分で、汗腺の出口にゲル状の栓をつくって発汗そのものを減らします。そこに殺菌成分の[イソプロピルメチルフェノール]と消臭のシクロデキストリンを重ね、耐水皮膜で肌に留める。特別に珍しい成分は入っていませんが、役割がきれいに噛み合った、無駄のない設計だと思います。
このアイテムのポイント
基本情報

| ブランド | Ban(バン)/ライオン株式会社 |
| 価格・容量 | オープン価格(実売の目安 税込635円)/40mL |
| 発売日 | 2021年 汗ブロックシリーズ リニューアル発売(パッケージ更新は2022年1月頃) |
Ban 汗ブロックロールオンとは
Banはライオンの制汗デオドラントブランドで、ロールオン・スティック・シート・スプレーと幅広い剤形をそろえています。今回のロールオンは、容器の先についたボールを直接ワキに転がして塗るタイプ。液がしっかり肌にのるぶん、スプレーより狙った場所に必要量だけ届けやすいのが特徴です。
シリーズは2021年に大きくリニューアルされていて、このとき「角質層までアプローチする根本対策」という考え方が前面に出されました(出典3)。表面をコーティングして終わりではなく、汗が出てくる出口そのものにはたらきかける、という方向転換ですね。
ちなみに、このロールオンの前身にあたる初代「Ban汗ブロックロールオン」は2014年に発売され、5カ月で累計販売個数250万個を突破するヒットになりました(出典12)。今回解析する「プレミアム」は、そこから技術を引き継いで2021年にリニューアルされた現行ラインです。
ひとつだけ、買うときに迷いやすい点を先にお伝えしておきます。現行のロールオンには「プレミアム」「プレミアム ゴールドラベル」「プラチナラベル」といったラベル違いが並んでいて、パッケージが似ています(出典11)。この記事で解析するのは主力の「プレミアム 無香性」(40mL)です。ラベルが違うと有効成分の組み合わせや使用感が変わることがあるので、成分表を見るときは手元の商品と見比べてくださいね。
それともうひとつ。パッケージには「無香性」と書かれていますが、成分表には[香料]の記載があります。これは矛盾ではなく理由があるので、後半のよくある疑問でお話ししますね。

ロールオンは「塗った量が目に見える」のが地味に大事なポイント。スプレーだとどれくらい届いたか分からないので、有効成分をきちんと効かせたい人にはこの剤形がいちばん確実だと思います。
全成分から見る「4段構えの処方」
まず、この製品の全成分を並べてみますね(出典1)。医薬部外品は化粧品と違って、有効成分とその他の成分を分けて表示するルールになっています。
- 【有効成分】[クロルヒドロキシアルミニウム]/[イソプロピルメチルフェノール]
- 【その他の成分】[疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース]/[ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体液]/[ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン]/[エタノール]/[エデト酸塩]/[メントール]/[香料]
ここでひとつ大事な前提を。化粧品の全成分表示は「配合量の多い順」ですが、医薬部外品は必ずしも配合量順で表示されません。なので、この記事では「〇番目だから多い/少ない」という読み方はしません。あくまで「有効成分=効能を担う主役」「その他の成分=それを支える処方」という役割の分け方で見ていきますね。
そうやって役割で並べ直すと、この処方はきれいに4段構えになっています。

- 汗を止める……[クロルヒドロキシアルミニウム]
- ニオイ菌を殺す……[イソプロピルメチルフェノール]
- 出てしまったニオイを包んで捕まえる……[ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン]
- それを汗・こすれで流さない……[疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース]+[ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体液]
ひとつずつ見ていきましょう。
①制汗の主役|クロルヒドロキシアルミニウム(ACH)
ライオンが「ナノイオン制汗成分」と呼んでいるのがこの成分。アルミニウムクロロハイドレート、略してACHとも呼ばれます。特別な独自成分というわけではなく、世界中の制汗剤(アンチパースパイラント)でいちばん広く使われている、王道の制汗成分です。ポピュラーなぶん、研究の蓄積が厚いのが強みでもあります。
やっていることはとてもシンプルで、汗の出口に栓をして、汗そのものの量を減らすこと。ニオイをごまかす「デオドラント」ではなく、発汗を抑える「制汗」の中核を担う成分なんですね。
ライオン公式はこの成分のはたらきを「3D汗ブロック技術」と呼び、「ニオイの発生源である角質層(毛穴や汗腺を含む)までアプローチする」と説明しています。単に肌の表面をふさぐのではなく、汗の出口そのものに届かせる設計だという言い方ですね(出典1/出典3)。2021年のリニューアルでは「根本対策」という言葉も使われていて、公式の注釈では「ニオイの元である汗へのアプローチのこと」と定義されています(出典3)。

この「栓ができる過程」は、実際に目で見て確かめられています。
研究で分かっていること
汗腺を模した細い流路(マイクロ流体デバイス)に人工の汗とアルミニウム塩を流し、X線で内部を観察した研究があります。それによると、アルミニウム塩は汗に触れるとプラスの電気を強く帯びた形に変化し、汗のなかのタンパク質と静電気的にくっついて固まります。この固まりが流路のなかで育って栓になる——という2段階で進むことが示されました(出典4)。同じ現象をリアルタイムで追いかけた追試も報告されています(出典5)。※いずれも人工モデルでの観察で、ヒトの肌に塗った臨床試験ではありません。
おもしろいのは、アルミニウム塩は「汗をかいてはじめて働く」という点です。汗のタンパク質と出会わないと栓ができないので、乾いた肌にただ塗っただけでは何も起きていません。だから「塗ったのに実感がない」と感じる人ほど、実は正しく使えている可能性もあるんです。

「汗をフタする」ってなんとなくのイメージ話かと思っていたら、本当に汗腺のなかで栓ができている様子が観察されているんです。汗をかく前の乾いた肌に塗っておくのが効かせるコツ、というのも納得ですよね。
②ニオイを発生源から断つ|イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
もうひとつの有効成分が[イソプロピルメチルフェノール]。IPMPと略され、日本の医薬部外品では殺菌成分としてかなり広く使われている定番です(ニキビ用化粧品や薬用石けんでもよく見かけます)。
ここで知っておきたいのが、汗そのものはほとんど無臭だということ。ワキのニオイは、汗に含まれるニオイのもと(前駆体)を皮膚の常在菌が分解したときに生まれます。つまり、菌がいなければニオイも生まれにくい。IPMPはその菌にはたらきかけて、ニオイができる前の段階で止める役割です。

研究で分かっていること
ワキのニオイの代表格である3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸(HMHA)という物質について、その放出をどれくらいの濃度で抑えられるかを成分ごとに比べた研究があります。IPMPは0.011%という濃度で放出を半分に抑えるという結果で、殺菌剤として有名なトリクロサン(0.0048%)と同じくらいの桁の数字でした(出典6)。この研究は、ワキのニオイに関わる菌としてよく知られたコリネバクテリウム属だけでなく、アナエロコッカス属という別のグループも関わっていることを突き止めた点でも注目された報告です。※試験管内での実験結果です。
IPMPは細菌から酵母・カビまで幅広く抑えることが知られている成分です。海外の原料資料では、化粧品全般でおおむね0.1%程度までの配合が目安とされています(出典10)。この製品での実際の配合量は公表されていませんが、有効成分として承認を受けている以上、効能を出せる量が入っていると考えて大丈夫です。

「汗が臭い」んじゃなくて「汗を食べた菌が臭い」。この事実を知ってから、私はデオドラント選びの見方がけっこう変わりました。ニオイ対策は、香りをのせるより菌を減らすほうが根本的なんですよね。
③ニオイ分子を包んで捕まえる|ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン
シクロデキストリンは、ブドウ糖がぐるりと輪になった、ドーナツのような形の分子です。その輪の内側にほかの分子をすぽっと収めてしまう性質があって、この「包み込む力」が消臭に使われます。ファブリック用の消臭スプレーでもおなじみの仕組みですね。
研究で分かっていること
β-シクロデキストリンは、汗や体臭のもとになる小さなニオイ分子と1対1で結びつき、内側に閉じ込めた複合体をつくることが確かめられています。しかも水(汗)で濡れると、その取り込みが速やかに進みます(出典9)。この製品に使われている「ヒドロキシプロピル」型は、水に溶けやすく加工した誘導体で、ロールオンのような液状の処方に配合しやすいタイプです。ライオン公式はこの成分を「ニオイ吸着成分」と呼んで配合を明かしています(出典1)。
役割分担で見ると、IPMPが「ニオイの発生を断つ前段」なのに対して、シクロデキストリンは「それでも出てしまったニオイを捕まえる後段」。守りが二重になっているわけです。
④夕方まで落ちにくい理由|耐水皮膜のコンビ
個人的に、この処方でいちばん「うまいな」と思ったのがここです。
どんなに優秀な有効成分を塗っても、汗で流れてしまえば意味がありません。ましてワキは、汗をかく場所であると同時に、腕を動かすたびに服とこすれる場所。そこで働くのが2つの皮膜成分です。
- [疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース]……水になじみにくいように加工したセルロース系の皮膜剤。肌の上に薄い耐水フィルムをつくって、有効成分が汗で流れ落ちるのを防ぎます。
- [ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体液]……いわゆるPVM/MAコポリマー。整髪料や日やけ止めでも耐水性を出すために使われる、定番の密着ポリマーです。上のセルロースと組んで、こすれに対する強さを高めます。
公式が言う「ウォータープルーフ処方」「夕方まで落ちにくい」の技術的な中身は、ほぼこの2つだと読めます。効かせる成分と、効かせ続けるための成分がセットになっている——これが40mLの小さなボトルのなかで起きていることです。

皮膜成分って地味で、パッケージでも主役になれない子たちなんですが、この製品では隠れMVPだと思っています。持続力を成分表から説明できるって、けっこう気持ちがいいですよね。
そのほかの成分(エタノール・メントール・エデト酸塩・香料)
- [エタノール]……成分を溶かし込むベースであり、塗ったあとすぐ乾く速乾性のもと。ロールオンは液体を直接肌にのせる剤形なので、乾きの速さを出すためにはかなり必要な成分です。清涼感と、ちょっとした抗菌の助けにもなります。
- [メントール]……塗った瞬間のひんやり感を出す成分。真夏に使うアイテムなので、この体感はかなり効いてきます。ただし効能そのものを担う成分ではありません。
- [エデト酸塩]……処方のなかの微量な金属イオンを捕まえて、変質や変色を防ぐ安定化成分。縁の下の力持ちです。
- [香料]……「無香性」なのに?と思いますよね。公式はこれを「嫌なニオイを目立たなくするハーモナイズド香料」と呼んでいて、原料そのもののニオイを打ち消すマスキング目的でごく少量入るケースです(出典1/詳しくは後述)。

エタノールとメントールは「使い心地をつくる係」。速乾もひんやり感も、真夏の制汗剤としてはちゃんと意味のある選択だと思います。ただ、この2つが苦手な肌の人もいるので、そこは次の章で正直にお話ししますね。
正直に気になる点
良いところばかり書くのはフェアではないので、買う前に知っておきたいところもまとめますね。
- エタノールとメントールの刺激感……速乾とひんやり感のために必要な成分ではあるのですが、除毛・シェービングの直後や、カミソリ負けしている肌に塗るとしみることがあります。ワキは皮膚が薄くてこすれも多い場所なので、肌が落ち着いてから使うのがおすすめです。
- 「無香性=無香料」ではない……成分表には[香料]の記載があります。香りを感じさせない設計ではありますが、香料そのものを1滴も避けたい人にとっては引っかかるポイントかもしれません。
- 効かせるには塗るタイミングが要る……アルミニウム塩は汗のタンパク質と反応してはじめて栓をつくります。すでに大量に汗をかいた状態で塗っても、成分が流れてしまってうまく働きません。汗をかく前の、乾いた清潔な肌にが基本です。

欠点というより「使い方を間違えると本領を発揮できない」タイプ。とくに最後のタイミングの話は、制汗剤全般に共通する大事なコツです。朝の身支度のいちばん最初に塗る、くらいがちょうどいいと思います。
こんな人に向いている/使う前に確認したい人
良い・悪いの点数はつけません。「どんな肌・好みと相性がよさそうか」でまとめますね。
🙆♀️ 向いていそうな人
- ニオイだけでなく、汗の量そのものを抑えたい人(制汗成分が主役の設計です)
- ワキのニオイに、殺菌と消臭の二段構えで対策したい人
- 通勤・屋外・スポーツなど、汗をかくシーンで夕方まで持ってほしい人
- 香り付きの制汗剤が苦手/職場や学校で香りを立てたくない人
- スプレーより、塗った量が分かる直塗りタイプが好きな人
🔍 使う前に確認したい人
- アルコール(エタノール)がしみやすい肌の人 → 少量から試して様子を見てください
- メントールの清涼感が苦手な人 → ひんやり感はしっかりあります
- 除毛・シェービング直後の人、傷やカミソリ負けがある人 → 肌が落ち着いてから
- 香料を完全に避けたい人 → 「無香性」でも[香料]の表示はあります
- 方針としてアルミニウム塩を避けたい人 → 安全性は公的に評価されていますが、選ぶ・選ばないは好みの範囲です

「汗の量ごと減らしたい」人には、かなりまっすぐ答えてくれる1本だと思います。逆に「汗はかいてもいいから香りでカバーしたい」人は、方向性の違う製品を選んだほうが満足度が高いはずです。
アルミニウム系制汗剤って安全なの?
ここ、いちばん質問が多いテーマなので、しっかりお話ししますね。「アルミニウム入りの制汗剤は乳がんやアルツハイマー病のリスクになる」という話を、一度は目にしたことがあるかもしれません。
結論から言うと、現時点の疫学研究では、制汗剤のアルミニウムとこれらの病気との因果関係は確立していません。そして公的な安全性評価も行われています。
研究で分かっていること
EUの消費者安全科学委員会(SCCS)は2020年の最終見解で、スプレータイプでない制汗剤についてアルミニウム換算6.25%までを安全と結論づけています(出典7)。また、目印をつけたアルミニウム(²⁶Al)を使ってヒトで実際に追跡した試験では、皮膚からの吸収率の最良推定値は約0.00052%、1回塗ったあとに全身へまわる割合は最大でも約0.012%と報告されました(出典8)。数字が小さすぎてピンと来ないかもしれませんが、塗ったアルミニウムのほとんどは肌の表面にとどまり、体内にはほぼ入っていかないということです。
「絶対に安全」と言い切ることは誰にもできませんが、少なくとも公的機関が実際のデータをもとに評価したうえで使用が認められている成分です。不安を煽る情報も、逆に何も気にしなくていいと断言する情報も、どちらも極端。私は「肌にとどまる前提で設計された成分で、公的な評価もある」という等身大の理解でいいと思っています。

SNSで怖い話を見かけると不安になりますよね。でも実際に人で測ったデータがあって、その数字がここまで小さいと知ると、少し肩の力が抜けると思います。もちろん「気になるから避けたい」という選択も、それはそれで尊重されるべき好みです。
よくある疑問
無香性なのに香料が入っているのはなぜ?
「無香性」は「使ったときに香りを感じさせない」という仕上がりの表現で、「香料を1滴も使っていない(無香料)」とは意味が違います。処方に使われる原料には、それ自体が独特のニオイを持つものがあります。そのニオイを打ち消して”無臭に感じさせる”ために、ごく少量の香料を使うことがあるんです。これがマスキング香料と呼ばれるもの。香りを足すためではなく、消すために入っていると考えると分かりやすいと思います。
汗を止めすぎるのは体に良くないの?
よくある心配ですが、制汗剤が働くのは塗ったところの汗腺だけです。人の体には200万〜400万個ともいわれる汗腺があり、ワキはそのごく一部。体温調節はほかの広い範囲がしっかり担ってくれるので、ワキに制汗剤を塗ったからといって全身の発汗が止まるわけではありません。また、アルミニウム塩がつくる栓も永久的なものではなく、角層のターンオーバーや洗浄で徐々に外れていくと考えられています。
プレミアム/プレミアム ゴールドラベル/プラチナは何が違うの?
Banのロールオンには複数のラベルが並んでいて、パッケージが似ているので迷いやすいところです(出典11)。基本的には、持続力や使用感のグレード違いと、無香性/香りつきといった香りの違いで展開されています。ただしラベルによって有効成分の組み合わせや処方が異なる場合があるので、この記事の解析(プレミアム 無香性・40mL)がそのまま当てはまるとは限りません。買うときは、パッケージ裏の有効成分の欄をひと目確認するのが確実です。
いつ塗るのがいちばん効きますか?
おすすめは汗をかく前・乾いた清潔な肌です。アルミニウム塩は汗と反応して栓をつくるので、すでにびっしょり汗をかいた状態だと成分が流れてしまいます。朝、着替える前に塗っておくのがいちばん理にかなった使い方。また、夜のお風呂上がり(汗がひいた状態)に塗っておくのも、寝ているあいだにじっくり働いてくれるので相性がいい使い方です。
まとめ

最後にまとめますね。Ban 汗ブロックロールオン 無香性は、制汗([クロルヒドロキシアルミニウム])×殺菌([イソプロピルメチルフェノール])×消臭(シクロデキストリン)×耐水皮膜という4段構えを、600円台のロールオン1本にまとめた製品です。どれも特別に珍しい成分ではありませんが、そのぶん研究の裏づけが厚く、効き方を機序から説明できるのが強みだと思います。
気をつけたいのは、エタノールとメントールの刺激感、そして「無香性=無香料ではない」という点。そして何より、汗をかく前の乾いた肌に塗るという使い方を守れるかどうかで、体感はかなり変わってきます。真夏のワキ汗とニオイに、香りを立てずに正面から対処したい人には、価格を考えてもかなり頼もしい選択肢だと思います。
全成分と特徴
| 成分名 | 役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| クロルヒドロキシアルミニウム | 【有効成分】制汗 | 汗腺の出口に栓をつくり発汗そのものを抑える、世界的に王道の制汗成分。栓ができる過程が人工汗モデルで観察されている |
| イソプロピルメチルフェノール | 【有効成分】殺菌 | ニオイのもとを分解する常在菌にはたらき、ニオイの発生源を断つ。日本の医薬部外品で広く使われる定番の殺菌成分 |
| 疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース | 耐水皮膜 | 水になじみにくく加工したセルロース系皮膜剤。有効成分が汗で流れるのを防ぐ |
| ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体液 | 密着・皮膜形成 | PVM/MAコポリマー。耐水性と密着を高め、こすれへの強さを出す |
| ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン | 消臭(包接) | 環状構造の内側にニオイ分子を包み込んで捕える。公式が「ニオイ吸着成分」と呼ぶ成分 |
| エタノール | 溶剤・速乾 | 成分を溶かすベース。塗布後すぐ乾く使用感と清涼感、抗菌の補助を担う |
| エデト酸塩 | 安定化(キレート) | 微量の金属イオンを捕まえ、変質・変色を防ぐ |
| メントール | 清涼感(使用感) | 塗った瞬間のひんやり感を出す。効能そのものを担う成分ではない |
| 香料 | マスキング | 公式が「ハーモナイズド香料」と呼ぶ成分。原料臭を打ち消す目的でごく少量、香りを足すためではない |
※医薬部外品のため、有効成分とその他の成分は分けて表示されています。その他の成分は必ずしも配合量順ではなく、配合量は非公開です。正確な表示は商品の成分表示をご確認ください。
特性タグ:制汗/デオドラント/医薬部外品/ウォータープルーフ/無香性/プチプラ/敏感肌は要確認
参考文献・出典
- ライオン株式会社 公式製品ページ「Ban 汗ブロックロールオン プレミアム」(有効成分・その他の成分・効能効果・「3D汗ブロック技術」「ハーモナイズド香料」「ニオイ吸着成分」等の公式訴求):https://www.lion.co.jp/ja/products/399
- ツルハドラッグ オンライン 商品ページ(正式名称・容量40mL・税込635円・JAN 4903301300328・全成分の一致確認):https://shop.tsuruha.co.jp/10135428.html
- ライオン株式会社 ニュースリリース「ニオイの発生源である角質層(※1)までアプローチする根本対策(※2)の『Ban 汗ブロック』『プラチナロールオン』『ロールオンプレミアム』『スティックプレミアム』をリニューアル」(2021年12月15日発表。※2「根本対策」=「ニオイの元である汗へのアプローチのこと」と公式が定義):https://www.lion.co.jp/ja/company/press/2021/3728
- Bretagne A, Cotot F, Arnaud-Roux M, Sztucki M, Cabane B, Galey J-B. “The mechanism of eccrine sweat pore plugging by aluminium salts using microfluidics combined with small angle X-ray scattering.” Soft Matter. 2017;13(20):3812-3821.(マイクロ流体+小角X線散乱によるin vitro観察)DOI:10.1039/c6sm02510b
- “Real time observation of the interaction between aluminium salts and sweat under microfluidic conditions.” Scientific Reports. 2021;11:6376.(リアルタイム観察による追試)DOI:10.1038/s41598-021-85691-8
- Fujii T, Shinozaki J, Kajiura T, Iwasaki K, Fudou R. “A newly discovered Anaerococcus strain responsible for axillary odor and a new axillary odor inhibitor, pentagalloyl glucose.” FEMS Microbiology Ecology. 2014;89(1):198-207.(in vitro/HMHA放出阻害IC50の比較・腋臭関与菌の同定)DOI:10.1111/1574-6941.12347
- SCCS(EU 消費者安全科学委員会)”Opinion on the safety of aluminium in cosmetic products” SCCS/1613/19(2020年3月最終見解/2021年アデンダム)。ノンスプレー制汗剤でアルミニウム換算6.25%までを安全と結論:https://health.ec.europa.eu/document/download/c60cc5db-260d-4707-a75f-b994293a618b_en
- “Assessment of dermal absorption of aluminium from a representative antiperspirant formulation using a (26Al) microtracer approach: a follow-up study in humans.”(ヒト²⁶Alマイクロトレーサー試験/吸収率の最良推定値≈0.00052%、単回塗布後の全身バイオアベイラビリティ最大≈0.012%)PMC9244721:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9244721/
- “β-cyclodextrin in personal care formulations: role on the complexation of malodours causing molecules.” International Journal of Cosmetic Science.(in vitro/1:1ホスト–ゲスト包接複合体の形成)PubMed 25728864:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25728864/
- o-cymen-5-ol(イソプロピルメチルフェノール)原料技術資料(抗菌スペクトル・使用濃度の目安):https://cosmetics.specialchem.com/inci-ingredients/o-cymen-5-ol
- 制汗剤『Ban』公式サイト(シリーズ・ラベル展開の確認):https://www.banbanban.jp/
- ライオン株式会社 プレスリリース「『Ban汗ブロックロールオン』が発売5カ月で累計販売個数250万個を突破」(2014年発表。現行「プレミアム」の前身にあたる初代ライン(無印・2014年2月12日発売・40mL)の実績数値で、本品そのものの数値ではないため参考情報として引用):https://www.atpress.ne.jp/news/49728

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