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イプサのロングセラー化粧水「ザ・タイムR アクア」が、2026年4月23日に「ザ・タイムR アクア e」へとリニューアルしました。しかも12年ぶり、4度目のリニューアルだそうです。
私はこのブログで旧処方の「ザ・タイムR アクア」も解析しているので、正直に言うと「12年も動かなかった処方を、どこまで触ったんだろう?」というのがいちばん気になりました。名前に小さく「e」が付いただけの、いわゆるマイナーチェンジなのか。それとも中身がしっかり入れ替わっているのか。
結論から言うと、けっこう変わっていました。独自の保湿成分は「アクアプレゼンターⅢ」から「Ⅳ」へ、配合されている植物エキスは4種から3種へ入れ替え。さらに「アクアサイエンステクノロジー」という新しい保湿の考え方が打ち出されています。この記事では、公式が説明していることを起点に、全成分表で実際に確認できることと研究データを重ねながら、新しくなったアクア eの中身を読み解いていきますね。
目次(22項目)
ひとことで言うと

うるおいを「肌の表面に留める」ことに全振りした、美白ケアもできる薬用化粧水。核になっているのは医療分野でも使われてきたMPCポリマーで、有効成分の[トラネキサム酸]と[グリチルリチン酸ジカリウム]が美白と肌あれ予防を担当しています。エタノール無添加・オイルフリーで、ゆらぎやすい時期でも試しやすい処方だと思います。
このアイテムのポイント
- 独自保湿成分「アクアプレゼンターⅣ」の核はMPCポリマー。細胞膜と似た構造で肌になじみやすく、原料メーカーのデータでは保湿力はヒアルロン酸の約2倍。
- 有効成分は[トラネキサム酸]と[グリチルリチン酸ジカリウム]の2本立て。美白ケアと肌あれ・ニキビ予防を同時にねらう医薬部外品です。
- 12年ぶりの刷新で植物エキスは4種→3種に整理。エタノール無添加・オイルフリーは継続で、使用感の軽さも据え置きです。
※医薬部外品として承認されている効能は「メラニンの生成をおさえ、シミ・そばかすを防ぐ」「肌あれ・あれ性」「ニキビを防ぐ」などの範囲です。すでにできてしまったシミを消す化粧品ではありません。
基本情報

| ブランド | IPSA(イプサ/資生堂グループ) |
| 価格・容量 | 100mL 3,520円(税込)/200mL 5,500円(税込) |
| 発売日 | 2026年4月23日 |
【はじめての方必読】当サイトの成分解析について
- 成分解析は各成分の一般的な配合目的を記載したもので、製品の効果効能を保証するものではありません。
- リニューアル等により全成分が変更される可能性があります。見つけた場合はお問い合わせフォームから教えて頂けると助かります。
12年ぶりのリニューアルで何が変わった?
まずは新旧の違いから見ていきます。旧処方をリピートしていた方がいちばん知りたいところだと思うので、ここは丁寧に。
独自保湿成分が「Ⅲ→Ⅳ」に進化
イプサはこの化粧水の保湿の核を「アクアプレゼンター」という独自複合成分と呼んでいて、今回それが4代目「アクアプレゼンターⅣ」になりました。公式が公表している構成成分は次の5つです。
- [アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム]
- [ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル]
- [ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(4)ジメチルエーテル]
- [2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液](MPCポリマー)
- [DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液](PCA-Na)
顔ぶれを見ると、「水を抱えこむ成分」と「肌の上に薄い膜を作る成分」の組み合わせになっているのが分かります。PCA-Naは私たちの角層にもともとある天然保湿因子(NMF)とほぼ同じ構造をした成分ですし、2種類のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン系のエーテルは、うるおいを肌表面に均一に広げて留めるための、いわば縁の下の力持ち。そして中心にいるのがMPCポリマーです(これは後でじっくり書きますね)。
植物エキスが4種→3種に整理、サクラ葉抽出液が新規追加
旧処方で配合されていた植物エキスは[シャクヤクエキス][ノバラエキス][マヨラナエキス][テンチャエキス]の4種でした。新しいアクア eでは、公式が「うるおいのベールで肌を包む」と紹介する植物エキスが[メリッサエキス][チンピエキス][マヨラナエキス]の3種に変わっています。
全成分表を見ると、旧処方から残っている[シャクヤクエキス]は最後のほうに引き続き入っていて、さらに[サクラ葉抽出液]が新しく加わりました。つまり「4種→3種に減った」というより、看板として掲げるエキスを3つに絞り込みつつ、中身は入れ替えて再構成した、というのが実態に近いと感じています。
新コンセプト「アクアサイエンステクノロジー」の狙い
今回いちばん大きく打ち出されているのが、この新技術です。イプサはこれを「うるおいと美容成分を角層のすみずみまで届ける、イプサ独自の新保湿技術」と説明していて、うるおいを「与えて、留めて、保ち、巡らせる」という4段階のアプローチを採用しているとしています。肌の表面にうるおい成分を留まらせる人工的な水の層を作り、乾燥の状態に応じて水分を与えながら、うるおいを逃しにくい肌状態にととのえる、というのがメーカーの説明です(出典⑩)。

さらに「ファストデリバリー機能」として、素早い浸透と軽い使用感も打ち出されています。ここについては具体的な試験データや比較数値の公表は見当たらなかったので、あくまで「そういう設計思想でつくられている」という受け止め方をしています。ただ、全成分に[アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム]のようなさらっとした使用感の成分が入っていて、油分(オイル)を使っていないことを考えると、軽い付け心地という部分は処方から素直に納得できるところです。

ざっくり言うと「うるおいを与える成分」より「与えたうるおいを逃がさない成分」に重心を置いたリニューアル。旧処方を使っていた方でも、乾きの早さが気になっていたなら試す価値はあると思います。
アクアプレゼンターⅣの核「MPCポリマー」の正体
「人工的な水の層を作る」と聞くと、少し不思議な表現に感じるかもしれません。でも全成分を見ていくと、その役割を担っていそうな成分がちゃんと入っています。それが[2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液]、通称MPCポリマーです。
コンタクトレンズにも使われる生体適合性素材
名前がとても長いのですが、押さえておきたいポイントはひとつだけ。この成分は私たちの細胞膜をつくっているリン脂質とよく似た構造を持っています。だから体が「異物だ」と認識しにくく、肌の表面になじみやすい。この性質は「生体適合性が高い」と呼ばれていて、コンタクトレンズの装着液や医療機器のコーティングなど、直接からだに触れる場面でずっと使われてきました。

肌の上でこのポリマーがしていることは、シンプルに言えば「水を抱えこんだ薄い膜になって、蒸発を防ぐ」こと。イプサが言う「肌表面にうるおい成分を留まらせる人工的な水の層」は、この膜のことを指していると考えるのが自然だとみています。ちなみに、この膜ができるのはあくまで角層の表面で、肌の奥に入り込む成分ではありません。
ヒアルロン酸の約2倍という保湿データの現在地
研究で分かっていること
MPCポリマーの原料メーカーである日油の技術資料によると、このポリマーは水で洗い流したあと1時間経った乾燥条件下でも高い保湿力を維持し、その保湿力はヒアルロン酸の約2倍というデータが示されています(出典①)。「洗い流したあとも残る」という点が、通常の保湿成分との違いとして紹介されています。
この「約2倍」という数字については、補足しておきたいことがあります。これはMPCポリマー単体を扱う原料メーカーの技術資料の数値であって、「ザ・タイムR アクア e」という完成品を使った第三者の試験結果ではありません。化粧水の中でMPCポリマーがどれくらい配合されているかは公表されていませんし、他の成分との組み合わせで働き方も変わります。
ただ、それを差し引いても、医療用途で実績を積んできた素材を独自複合成分の中心に据えているという事実は残ります。「うるおいを留める」という今回の訴求に対して、少なくとも理屈はきちんと通っている処方だと思います。

MPCポリマーは、細胞膜に似た構造だから肌になじみやすくて、水を抱えた膜になって蒸発を防いでくれる成分。データは原料メーカーのものなので過信は禁物ですが、「留める」を担当させるには納得の人選だなと思います。
有効成分2つの実力|トラネキサム酸とグリチルリチン酸ジカリウム
ここからは医薬部外品としての核になる部分です。イプサはこの化粧水で「乾燥・ニキビ・肌あれ・テカリ・毛穴の目立ち・乾燥くすみ」という6つの肌悩み+美白ケアに対応する、と説明しています。ずいぶん欲張りに聞こえますが、有効成分の顔ぶれを見ると、その内訳はだいたい説明がつきます。
トラネキサム酸はどう美白に効く?
[トラネキサム酸]は、美白有効成分の中でもちょっと変わったアプローチをとる成分です。多くの美白成分がメラニンを作る酵素(チロシナーゼ)を直接おさえにいくのに対して、トラネキサム酸はメラニンを作る細胞に「作れ」という指令を出す物質そのものをブロックします。具体的には、炎症のときに増えるプラスミンやプロスタグランジンという物質の働きを抑えることで、色素をつくる工程の一段階前で止める、というイメージです。
研究で分かっていること
アジア人の肝斑患者23名を対象にした二重盲検のランダム化比較試験では、5%トラネキサム酸を12週間塗った側でメラニン指数がはっきりと低下し、シミの程度を評価するスコアも改善したと報告されています(出典②)。塗るタイプのトラネキサム酸でも変化が確認された、という点で参考になるデータです。
薬機法上、化粧品・医薬部外品として言えるのは「メラニンの生成をおさえ、シミ・そばかすを防ぐ」という予防の表現までです。ただ、こうした研究データを踏まえると、使い続けることで色素沈着そのものが薄くなっていく可能性まで期待してよい成分だと私は思っています。もちろん、この試験で使われた5%という濃度と、化粧水に配合されている量が同じという意味ではありません(医薬部外品の配合量は公開されていません)。それでも「防ぐだけの成分」と割り切ってしまうのは、少しもったいない気がします。

[トラネキサム酸]は、シミの「原因の指令」のほうを止めにいくタイプ。炎症をきっかけに濃くなるタイプの色ムラと相性がいいので、ニキビあとの色残りが気になる人にはうれしい人選だと思っています。
グリチルリチン酸ジカリウムが支える肌あれ・ニキビ予防
もうひとつの有効成分[グリチルリチン酸ジカリウム]は、甘草(カンゾウ)由来の抗炎症成分。医薬部外品の世界ではとても長い使用実績があって、肌あれ・ニキビ予防の定番として、化粧水から日焼け止め、ボディソープまで幅広く使われています。目新しさはありませんが、それだけ設計が読める安心感のある成分です。
研究で分かっていること
この成分には、炎症を引き起こすプロスタグランジンE2の産生をおさえる働きに加えて、ヒアルロン酸を分解する酵素(ヒアルロニダーゼ)の活性を抑える働きが報告されています。紫外線(UVB)を当てた条件でも、肌のヒアルロン酸の分解を最大91.8%抑えたという報告があります(出典③)。
面白いのは、この成分が「炎症をしずめる」だけでなく、結果的に肌がもともと持っているうるおい(ヒアルロン酸)を守る側にも回っているということ。うるおいを主役に据えたこの化粧水にとっては、なかなか理にかなった組み合わせだと思います。公式が挙げる6つの肌悩みのうち、ニキビ・肌あれはこの成分が、乾燥くすみとシミ予防はトラネキサム酸が、そして乾燥・テカリ・毛穴の目立ちは「水分不足によるもの」という前提で保湿成分群が担当する、という役割分担で読むと、訴求の全体像がすっきり見えてきます。

[グリチルリチン酸ジカリウム]は、荒れをしずめながら肌のヒアルロン酸まで守ってくれる働き者。テカリや毛穴の目立ちも「水分不足のサイン」として拾いにいく設計なんだな、と読むと納得しやすいです。
うるおいのベールをつくる3つの植物エキス+新顔のサクラ葉抽出液
イプサが今回「うるおいのベールで肌を包む」と紹介しているのが、[メリッサエキス][チンピエキス][マヨラナエキス]の3種です。いずれもグリセリンに溶かした状態(メリッサエキスGLなど)で配合されています。それぞれどんな研究があるのか見ていきますね。
[メリッサエキス]は、レモンバームの葉から得られるエキス。ロスマリン酸という抗酸化成分を豊富に含むのが特徴です。マウスの皮膚に塗った試験では、保湿力の向上、肌から水分が逃げていく量(経表皮水分蒸散量)の低下、赤みの軽減が確認されています(出典④)。抗酸化とチロシナーゼ阻害の作用も同じ論文で報告されていて、うるおいと美白ケアの両方に関わる成分です。
[チンピエキス]はウンシュウミカンの果皮から抽出したエキスで、今回の3種の中ではいちばん研究の幅が広い成分だと考えています。含まれるノビレチンとヘスペリジンという2つの成分について、メラニンを作る酵素チロシナーゼを直接おさえる働きが確かめられていて、その止め方(ノビレチンは酵素の働き口を奪う競合阻害、ヘスペリジンは別の場所に結合する非競合阻害)まで報告されています(出典⑤)。同じ研究ではミカン果皮のエキスがメラニン産生細胞そのものの増殖もおさえたことが示されていて、美白ケアという商品全体のコンセプトともきれいに重なります。
[マヨラナエキス]はシソ科のハーブ、マジョラム由来。旧処方から唯一そのまま残った植物エキスです。成分分析では、メリッサと同じロスマリン酸をはじめとする20種類のポリフェノールが確認されていて、活性酸素を消す力と、免疫細胞の炎症反応をおさえる働きが報告されています(出典⑥)。12年ぶりの入れ替えでも残されたということは、イプサとしてもこのエキスの役割を評価しているのかな、と思います。
そして新しく加わったのが[サクラ葉抽出液]。クマリン配糖体やフラボノイドを含み、化粧品原料としてはチロシナーゼ阻害による美白目的と、肌あれのケア目的で提案されている成分です。同じソメイヨシノを使った研究では、樹皮から取った抽出物が炎症のスイッチ役であるNF-κBの働きをおさえ、炎症物質の産生を減らしたことが報告されています(出典⑦)。使っている部位が葉ではなく樹皮なので、そのまま同じ働きとは言えませんが、この植物そのものが抗炎症の方向で注目されてきた背景は伝わってくるデータです。位置づけとしては、アルブチンやビタミンC誘導体のような主力の美白成分ではなく、あくまで処方に厚みを出す補助的な役割と考えるのが自然だと受け止めています。
旧処方から残った[シャクヤクエキス]にも触れておきます。主成分のペオニフロリンについて、メラニンを作る指令が出たあとの色素産生と、チロシナーゼの活性の両方をおさえたという報告があります(出典⑧)。表示順は後ろのほうですが、こうした機能性のエキスは1%以下で設計されるのが普通なので、順番だけを見て「意味がない」と決めつける必要はありません。

3種のエキスは、どれも「抗酸化+美白の方向を向いた植物」でそろえられています。看板は保湿ですが、エキスの人選を見ると美白ケアの下支えも意識しているのが伝わってきますね。
うるおいを支えるサポート成分
アクアプレゼンターⅣと植物エキス以外にも、保湿を担う成分がいくつか入っています。[アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム]は、通常のヒアルロン酸Naの一部をアセチル基に置き換えた誘導体で、水にも油にもなじみやすく肌の表面にとどまりやすいのが特徴。原料メーカーの資料では、通常のヒアルロン酸Naの2倍以上の保水力を持つと紹介されています(出典⑨)。べたつきやぬめりが出にくい性質もあって、公式が言う「軽やかな使用感」とも矛盾しません。
そのほか、定番の[ヒアルロン酸ナトリウム(2)]、アミノ酸やビタミン類を含む[酵母エキス(3)]、とろみを調整する[ポリアクリル酸ナトリウム]などが配合されています。成分名のうしろに付く「(2)」「(3)」は原料のグレードや規格の違いを示す表示上の区分で、配合量の順番や強さを表すものではありません。
正直に気になる点
全体を通して、刺激面で強く引っかかる成分は見当たりませんでした。エタノール(アルコール)無添加でオイルフリー、ノンコメドジェニックテスト済みも公表されています。そのうえで、あえて挙げるとすればこの2点です。
- 新技術そのものの試験データは公表されていない:「アクアサイエンステクノロジー」「アクアプレゼンターⅣ」について、公式リリースの範囲では作用の説明はあるものの、「◯%改善」「従来品の◯倍」といった比較データは出ていません。中心にあるMPCポリマーの保湿データも原料メーカーのもので、完成品を使った試験ではないので、期待値はそのつもりで持っておくのが安全だと思います。
- 「肌の表面を整える」設計であること:MPCポリマーもポリエーテル系の保湿成分も、主な働きは角層の表面でうるおいを抱えて逃がさないことです。乾燥のケアとしてはとても理にかなっていますが、たるみやシワのような、もっと深いところの悩みに応える処方ではありません。
防腐剤は[クロルフェネシン]と[フェノキシエタノール]の2系統。パラベンは使われていませんが「防腐剤無添加」ではなく、化粧水としてはごく一般的な組み合わせです。[ピロ亜硫酸ナトリウム]は品質を守るための酸化防止剤で、ごくまれに感受性の高い方で反応が報告される成分ではあるものの、化粧品での配合量と使用実績を考えると、通常の使用で心配しすぎる必要はないと考えています。

気になる点はあるものの、どれも「使わないほうがいい」という話ではありません。乾燥ケアの化粧水として見れば、むしろ引っかかりの少ない処方だと感じています。
向いている人/要注意な人
向いていそうな人
- 塗った直後はうるおうのに、時間が経つと乾いてくるタイプの方
- アルコール(エタノール)のスースーする感じが苦手な方
- 油分でふたをするのが苦手な、混合肌・皮脂の多い肌の方
- うるおいのケアと、シミ・そばかすの予防を1本でまとめたい方
- ニキビあとの色残りや、肌あれのくり返しが気になる方
要注意な人
- すでにできてしまった濃いシミを、これ1本で薄くしたい方(医薬部外品の効能は「防ぐ」まで)
- 強い乾燥・粉ふきがある方(オイルフリーなので、クリームなどで油分を足す前提で)
- シワやたるみのケアを目的にしている方
- 亜硫酸塩に反応した経験がある方([ピロ亜硫酸ナトリウム]配合)

「水分は足りていないけれど、油分は足したくない」という肌にいちばんはまる化粧水だと思います。逆に乾燥がかなり進んでいる肌には、これ1本では物足りないかもしれません。
よくある質問
旧「ザ・タイムR アクア」との違いは結局どこ?
有効成分([トラネキサム酸][グリチルリチン酸ジカリウム])は変わっていません。変わったのは保湿の設計です。独自複合成分が「アクアプレゼンターⅢ」から「Ⅳ」になり、看板の植物エキスが[シャクヤク][ノバラ][マヨラナ][テンチャ]の4種から[メリッサ][チンピ][マヨラナ]の3種へ入れ替わり、新たに[サクラ葉抽出液]が加わりました。そして「うるおいを与えて・留めて・保ち・巡らせる」という新しいコンセプトが前面に出ています。美白ケアの中身は据え置きで、保湿のパートを組み直したリニューアル、と理解するのがいちばん近いと思います。
美白は本当に期待できる?
医薬部外品として承認されているのは「メラニンの生成をおさえ、シミ・そばかすを防ぐ」という予防の範囲です。ただ、有効成分の[トラネキサム酸]には塗るタイプでの臨床試験のデータがあり(出典②)、加えて[チンピエキス]や[メリッサエキス]にもメラニンの生成をおさえる方向の報告があります(出典④⑤)。すぐにシミが消えるという話ではありませんが、日焼け止めと合わせて長く続けることで、色ムラが増えにくい状態を保つ助けにはなるとみています。
敏感肌でも使える?
エタノール無添加・オイルフリーで、抗炎症成分の[グリチルリチン酸ジカリウム]が有効成分として入っているという意味では、ゆらぎやすい肌でも試しやすい処方です。ただ、敏感肌向けを名乗る製品ではありませんし、植物エキスが複数入っているので、植物成分に反応した経験がある方は念のためパッチテストから始めてください。

旧処方からの乗り換えを迷っている方は、「美白は同じ・保湿は組み直し」と覚えておけば判断しやすいと思います。乾きの早さが不満だったなら、新しいほうが合う可能性は高そうです。
まとめ
12年ぶりのリニューアルということで身構えて見てみましたが、中身はきちんと組み直されていました。うるおいを与えることより「与えたうるおいを肌の表面に留めること」に重心を置いた設計で、その中心にいるのが、細胞膜と似た構造を持つMPCポリマー。医療分野で長く使われてきた素材で、原料メーカーのデータではヒアルロン酸の約2倍の保湿力が示されています(完成品での試験ではない点は留保が必要ですが)。
そこに、美白と肌あれ予防を担う2つの有効成分と、抗酸化・美白の方向を向いた3種の植物エキスが乗る。エタノール無添加・オイルフリーで、使用感の軽さも据え置き。派手な新成分で驚かせるタイプではありませんが、「水分は欲しいけれど油分は増やしたくない」という肌には、素直に使いやすい1本だと思っています。イプサというブランドそのものについてはブランド深掘り記事でも書いているので、よければあわせて読んでみてください。
全成分と特徴
| 成分名 | 役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1トラネキサム酸 | 有効成分(美白肌あれ防止) | メラニンを作る指令を上流でブロック。塗布での臨床データあり |
| 2グリチルリチン酸ジカリウム | 有効成分(抗炎症) | 甘草由来。肌あれ・ニキビ予防の定番。ヒアルロン酸の分解も抑制 |
| 3精製水 | 基剤 | 処方のベースとなる溶媒 |
| 4ジプロピレングリコール | 保湿溶剤 | 多価アルコール。成分を溶かし込む役割も担う |
| 5濃グリセリン | 保湿 | 水分を抱えこむ定番の保湿成分 |
| 61,3-ブチレングリコール | 保湿溶剤 | 保湿しつつ防腐効果もサポートする多価アルコール |
| 7ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル | 保湿皮膜 | アクアプレゼンターⅣの構成成分。うるおいを均一に広げる |
| 8ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(4)ジメチルエーテル | 保湿皮膜 | アクアプレゼンターⅣの構成成分。これと組み合わせて働く |
| 9ソルビット液 | 保湿 | 糖アルコール系のしっとり感を出す保湿成分 |
| 102-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液 | 保湿皮膜 | MPCポリマー。細胞膜に似た構造で水を抱えた膜をつくる |
| 11DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 | 保湿 | 天然保湿因子(NMF)と同じ構造。角層の水分保持を助ける |
| 12ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム液 | 乳化可溶化補助 | アミノ酸系。成分を均一に混ぜるサポート役 |
| 13クロルフェネシン | 防腐 | フェノキシエタノールと組み合わせて使われる防腐剤 |
| 14エデト酸二ナトリウム | キレート剤 | 金属イオンを封鎖して製剤を安定させる |
| 15クエン酸ナトリウム | pH調整 | クエン酸とペアで処方のpHを一定に保つ |
| 16ポリオキシブチレン(15)ポリオキシエチレン(44)ジメチルダイマージオールエーテル | 増粘乳化補助 | ポリエーテル系。とろみと安定性を調整する |
| 17水酸化カリウム | pH調整 | アルカリ側へpHを調整する |
| 18クエン酸 | pH調整 | 酸側へpHを調整する |
| 19ピロ亜硫酸ナトリウム | 酸化防止 | 変色や成分の劣化を防ぐ。亜硫酸系 |
| 20ヒアルロン酸ナトリウム(2) | 保湿 | 定番の保水成分。「(2)」はグレードの区分表示 |
| 21ポリアクリル酸ナトリウム | 増粘 | 水溶性の増粘剤。とろみと使用感を調整する |
| 22チンピエキス | 整肌美白サポート | ウンシュウミカン果皮由来。ノビレチン・ヘスペリジンを含む |
| 23酵母エキス(3) | 保湿整肌 | アミノ酸やビタミン類を含む発酵由来エキス |
| 24アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム | 保湿 | 肌表面にとどまりやすい誘導体。さらっとした感触に寄与 |
| 25メリッサエキス | 抗酸化整肌 | レモンバーム由来。ロスマリン酸を豊富に含む |
| 26サクラ葉抽出液 | 整肌 | 新規配合。クマリン配糖体・フラボノイドを含む |
| 27マヨラナエキス | 抗酸化整肌 | 旧処方から継続。ポリフェノールによる抗酸化作用 |
| 28シャクヤクエキス | 抗炎症抗酸化 | 旧処方から継続。主成分はペオニフロリン |
| 29フェノキシエタノール | 防腐 | 広く使われる防腐剤 |
※配合の正確な順序・全項目は商品の全成分表示をご確認ください。医薬部外品のため、配合量は非公開です。
エタノール無添加/オイルフリー/パラベンフリー/ノンコメドジェニックテスト済み
出典
- 日油株式会社「LIPIDURE®(リピジュア®)」化粧品原料技術資料(MPCポリマーの保湿性能データ/原料メーカー資料):https://www.nof.co.jp/business/life/product/b010
- Kanechorn Na Ayuthaya P, Niumphradit N, Manosroi A, Nakakes A.「Topical 5% tranexamic acid for the treatment of melasma in Asians: A double-blind randomized controlled clinical trial」Journal of Cosmetic and Laser Therapy. 2012;14(3):150-154.(二重盲検ランダム化比較試験):https://doi.org/10.3109/14764172.2012.685478
- 「Dipotassium glycyrrhizinate inhibits hyaluronidase activity and preserves hyaluronic acid level under UVB stress」Journal of Investigative Dermatology.(学会抄録 LB1716/in vitro)
- Sipos S, Moacă EA, Pavel IZ, ほか「Melissa officinalis L. Aqueous Extract Exerts Antioxidant and Antiangiogenic Effects and Improves Physiological Skin Parameters」Molecules. 2021;26(8):2369.(in vitro・動物試験):https://doi.org/10.3390/molecules26082369
- Zhang C, Lu Y, Tao L, Tao X, Su X, Wei D.「Tyrosinase inhibitory effects and inhibition mechanisms of nobiletin and hesperidin from citrus peel crude extracts」Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry. 2007;22(1):91-98.(酵素阻害・培養細胞):https://doi.org/10.1080/14756360600988989
- Bianchi S, Acquaviva R, Di Giacomo C, ほか「Origanum majorana Extracts: A Preliminary Comparative Study on Phytochemical Profiles and Bioactive Properties of Valuable Fraction and By-Product」Plants. 2025;14(15):2264.(成分分析・in vitro):https://doi.org/10.3390/plants14152264
- Lee J, Yang G, Lee K, ほか「Anti-inflammatory effect of Prunus yedoensis through inhibition of nuclear factor-κB in macrophages」BMC Complementary and Alternative Medicine. 2013;13:92.(培養細胞・樹皮抽出物):https://doi.org/10.1186/1472-6882-13-92
- Wen SY, Wu YS, Liu H, ほか「Paeoniflorin found in Paeonia lactiflora root extract inhibits melanogenesis by regulating melanin-related signal transduction in B16F10 cells」Journal of Cosmetic Dermatology. 2023;22(10):2824-2830.(培養細胞):https://doi.org/10.1111/jocd.15789
- アセチル化ヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸)の保水力に関する化粧品原料技術資料(原料メーカー公表値)
- 株式会社イプサ「イプサ ロングセラー化粧水『ザ・タイムR アクア』が進化」プレスリリース(2026年)/PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000100029.html
