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アイクリームやボディクリーム、頭皮ケアのシャンプー。パッケージを裏返して全成分を見ると、けっこうな確率で見つかるのが[カフェイン]です。コーヒーでおなじみのあの成分が、どうして化粧品に入っているんだろう?と気になったこと、ありませんか。
2026年に入ってからは「塗るカフェイン美容」という言葉も見かけるようになりました。しかもカフェインは、化粧品成分としては珍しく作用の仕組みがかなり細かく研究されている成分でもあります。ただ、正直に言うと「仕組みが分かっていること」と「化粧品で体感できること」はイコールではありません。この記事では、カフェインが何のために配合されているのか、研究で分かっている範囲はどこまでなのか、そして「コーヒーを飲むと肌に悪い」という話は塗る場合にも当てはまるのかを、一次文献と日本の法令をたどりながら整理していきます。
【はじめての方必読】当サイトの成分解析について
- 成分解析は各成分の一般的な配合目的を記載したもので、製品の効果効能を保証するものではありません。
- リニューアル等により全成分が変更される可能性があります。見つけた場合はお問い合わせフォームから教えて頂けると助かります。
ひとことで言うと

カフェインは「巡りを整える」「守る」方向のサポート成分。脂肪分解や育毛の仕組みは研究でかなり解明されていますが、日本の化粧品に入れられるのは最大2%まで。劇的な変化を狙う成分というより、むくみ・クマ・引き締めのケアを穏やかに後押ししてくれる存在だと思っておくのがちょうどいいと思います。
この記事のポイント
- 脂肪分解の仕組み(アデノシン受容体→cAMP→脂肪分解酵素)は研究で示されていますが、それは動物・培養細胞レベルの話。化粧品の濃度で見た目が変わるほどとは言えません。
- 育毛については、人の毛包を培養した実験で成長を後押しする結果が出ています。ただし医薬部外品の「有効成分」として承認されているかは商品ごとに違います。
- 「飲むカフェイン」と「塗るカフェイン」は別物。肌からの吸収はごくわずかで、米国CIRも現行の使い方なら安全と結論づけています。
カフェインってそもそも何?
コーヒー豆や茶葉に含まれる天然のアルカロイド
[カフェイン]は、コーヒー豆・茶葉・カカオ豆などに含まれる「キサンチン系アルカロイド」と呼ばれる仲間の成分です。同じグループには、カカオに多い[テオブロミン]や、茶葉に含まれる[テオフィリン]がいます。化粧品の全成分表示でこの3つが並んでいるのを見かけたら、だいたい同じファミリーだと思ってください。
化粧品成分としてのカフェインの特徴は、水に溶けやすい(水溶性)こと。そして分子が小さめで、肌の表面から比較的なじみやすい性質を持っていることです。この「水溶性」というポイントは、あとで出てくる「表示順が後ろでも意味がないわけではない」という話にもつながってきます。
化粧品への配合のされ方(精製カフェインとコーヒー種子エキス)
化粧品への入り方は、大きく2通りあります。
- 精製された[カフェイン]そのもの:全成分表示に「カフェイン」とだけ書かれているタイプ。研究データの多くはこの精製カフェインを使ったものです。
- [コーヒー種子エキス](コーヒー豆から採ったエキス):日本語では「コーヒー種子エキス」「コーヒー豆エキス」などと表示されます(英語表記はCoffea Arabica (Coffee) Seed Extract)。カフェインだけでなく、クロロゲン酸(コーヒーに多いポリフェノールの一種)や糖類、有機酸なども一緒に含まれるのが特徴です。
エキスのほうは「植物由来」「コーヒーそのもの」という打ち出しがしやすく、引き締めや保湿の目的で使われることが多い印象です。ただし正直に言うと、コーヒー種子エキス“単体”の効果について査読を経た論文までは私は確認できませんでした。ここは「〜とされる」の範囲で受け取っておくのが誠実だと思います。

「カフェイン」と書いてあれば精製されたカフェイン、「コーヒー種子エキス」ならコーヒー豆から採ったエキス。研究データが厚いのは前者のほうです。名前で見分けられるので、成分表を見るときの目印にしてみてください。
どんなアイテムに入っている?
カフェインが登場しやすいのは、次のようなカテゴリです。
- アイクリーム・目もと用美容液:クマ・むくみのケアが目的。いちばん見かける配合先だと思います。
- ボディ用のスリミング・引き締めクリーム:脂肪分解のサポートを狙ったもの。
- 頭皮ケア・スカルプシャンプー:毛包へのはたらきかけを期待した配合。
- 化粧水・美容液:引き締め・整肌の目的で少量入っていることがあります。
最近の実例だと、Dr.ルルルンから2026年6月に発売された「ルルルン カフェイン セラムショット」が分かりやすいと思います。カフェインに[PDRN](サーモン由来のDNA由来成分)と[ビタミンC]を組み合わせて、顔のむくみにアプローチするという設計です(出典10)。韓国の「shaishaishai」からもカフェインを軸にしたシリーズが出ていて、こちらは毛穴・輪郭の引き締めを打ち出しています(出典11)。カフェイン単体で押すのではなく、別の角度から効かせる成分と掛け合わせるのが、最近のトレンドのようです。
化粧品に配合される5つの意図と、その仕組み

ここからが本編です。カフェインは、目的によってまったく違う顔を見せる成分。「なぜこの製品に入っているのか」は、カテゴリを見るとだいたい推測できます。ひとつずつ、研究で分かっている範囲とセットで見ていきますね。
①保湿(角層の水分を保つ)
意外に思われるかもしれませんが、カフェインには保湿目的での配合もあります。2%のカフェイン水溶液を前腕の内側に塗って30分後の角層水分量を測ったところ、代表的な保湿成分である[グリセリン]や[PCA-Na]と同等以上の数値を示した、という報告があります(出典9)。
ただし、この話には正直な注釈が必要です。私が調べた限り、このデータは成分データベースなどの二次情報を経由してしか確認できず、掲載誌・巻号といった原著の情報が特定できませんでした。当ブログでは一次文献にあたれないデータは基本的に使わない方針なので、ここは「そういう報告があるらしい」という予備的な情報として、参考程度に受け取ってください。カフェインを保湿目的で選ぶ理由には、まだなりにくいと思います。

「カフェインで保湿」というデータは存在するみたいなのですが、元の論文までたどり着けませんでした。保湿を狙うなら、素直にグリセリンやセラミドを選んだほうが確実だと思います。
②血行促進でクマ・むくみをケア
アイクリームやトーニング系の美容液に入っている場合、狙いはたいていこれです。カフェインには血流にはたらきかける作用があり、目もとの血色不良(いわゆる青グマ)や、朝の顔のむくみの見た目を整える方向で使われます(出典1)。
クマにはいくつかタイプがあって、色素沈着による茶グマや、影によって暗く見える黒グマには、血行へのアプローチはあまり関係がありません。カフェインが得意なのは、血の巡りが滞って青黒く見えるタイプ。自分のクマがどれなのかを見極めてから選ぶと、がっかりしにくいと思います。
むくみも同じで、体の水分と血流の巡りが関わるもの。だからカフェイン配合のアイテムは、ただ塗るよりやさしくマッサージしながら塗る使い方と相性がいい成分だと言えます。

カフェインが得意なのは「巡り由来」の青グマとむくみ。茶グマ・黒グマには畑違いなので、そこは別の成分やケアの出番です。塗るときに軽くマッサージを添えると、より狙いに合っていると思います。
③脂肪分解のサポート(セルライト・ボディケア)
ボディ用の引き締めクリームにカフェインが入っている理由が、これです。しかもこの仕組みは、化粧品成分としてはかなり細かいところまで解明されています。
ざっくり流れを追うとこうなります。脂肪細胞には、脂肪の分解にブレーキをかける役目の「アデノシン」という物質を受け止める受け口(アデノシン受容体)があります。カフェインはアデノシンと形がよく似ているため、この受け口に代わりに座ってブレーキを邪魔します。さらにカフェインは、細胞の中で信号役をしている[cAMP]という物質を分解する酵素の働きも抑えます。結果として細胞内のcAMPが増え、脂肪を分解する酵素(ホルモン感受性リパーゼ)が動きやすくなる——という流れです(出典1)。
研究で分かっていること
ラットの脂肪組織を使った研究では、カフェインおよびカフェインを結合させた原料を塗布した部位で、脂肪組織に組織学的な変化が確認されたと報告されています(動物実験/出典2:Velasco et al., Journal of Cosmetic Dermatology, 2008)。カフェインの作用機序をまとめた総説でも、抗酸化・紫外線からの保護とあわせて、脂肪分解の促進が化粧品での主要な用途として挙げられています(総説/出典1:Herman & Herman, Skin Pharmacology and Physiology, 2013)。
ここで冷静になりたいのは、これらが動物実験と培養細胞レベルのデータが中心だという点です。人の体に塗って「セルライトがはっきり減った」と示した質の高い臨床試験までは、私は確認できませんでした。しかも日本の化粧品に配合できるカフェインは最大2%まで(詳しくは次の章で)。仕組みが分かっていることと、その濃度で見た目が変わることは別問題です。
なので引き締め系のボディケアは、「塗るだけで痩せる」ではなく「マッサージ習慣とセットで、巡りを整えるのを後押ししてくれるもの」くらいの期待値で使うのが、いちばんストレスがないと思います。

脂肪分解のメカニズムは本当によく調べられていて、そこは素直にすごいと思います。ただ「仕組みがある=塗れば痩せる」ではないんですよね。マッサージのお供、くらいの距離感が正直なところかなと。
④抗酸化・紫外線ダメージからの保護
コーヒーやお茶が「抗酸化」の文脈で語られるのと同じように、カフェインにも活性酸素を受け止める作用が報告されています。紫外線によるダメージ(光老化)をやわらげる方向での応用が期待されている領域です。
研究で分かっていること
試験管レベルの実験で、高濃度(1000µg/mL)のカフェインが、コラーゲンを分解する酵素(コラゲナーゼ)の働きを最大41.86%、エラスチンを分解する酵素(エラスターゼ)を36.44%、メラニン生成に関わるチロシナーゼを13.72%抑えたというデータが報告されています(in vitro/出典5:Elias et al., Indian Journal of Dermatology, 2023)。
数字だけ見ると「ハリにも透明感にも効きそう」と思ってしまうのですが、ここも注意が必要です。これは試験管の中で、かなり高い濃度をかけたときの結果。実際の化粧品に入っている量(最大2%)で、同じことが肌の上で起きるとは限りません。「カフェインにはそういう方向性の力もある」という理解にとどめておくのが安全だと思います。
紫外線対策の主役はあくまで日焼け止めですが、植物由来の抗酸化成分という切り口ではフェルラ酸の解説記事もあわせてどうぞ。

抗酸化の実験データは魅力的な数字ですが、試験管の中の話。日中の光対策は、やっぱり日焼け止めがいちばん確実です。カフェインはそこに添える”守りのおまけ”くらいに考えています。
⑤育毛・毛包へのはたらきかけ
個人的に、カフェインのデータでいちばん見どころがあると思っているのがこの分野です。というのも、人から採取した毛包そのものを培養して調べる、かなり本格的な実験が行われているからです。
研究で分かっていること
ヒトの毛包を培養した実験で、男性ホルモン(テストステロン5µg/ml)によって毛の成長が抑えられた状態でも、0.001〜0.005%のカフェインを加えるとその抑制がはっきり打ち消され、カフェイン単独でも毛包の成長が促されたと報告されています。細胞が増えているかを示す指標(Ki-67)でも確認されました(ヒト毛包の器官培養/出典3:Fischer et al., International Journal of Dermatology, 2007)。続く研究では、毛の伸びや毛包周辺の細胞の増え方への影響に男女差があることも示されています(ヒト毛包の器官培養/出典4:Fischer et al., British Journal of Dermatology, 2014)。
人の毛包を直接使った実験でここまで出ているのは、化粧品成分としてはなかなか珍しいことだと思います。スカルプシャンプーや頭皮用トニックにカフェインが入っているのは、この流れを踏まえてのことですね。
ただし、これも「培養した毛包」での結果です。頭に塗った製品が同じように届いて同じ結果になるかは、また別の検証が必要になります。また後半で詳しく書きますが、「カフェイン配合=医薬部外品の育毛有効成分」ではない点にも注意してください。

人の毛包を培養して、男性ホルモンによる成長抑制をカフェインが打ち消した——これはかなり面白いデータだと思います。とはいえ実際の頭皮でどこまで再現されるかは未知数。過度な期待はせず、頭皮ケアの選択肢のひとつとして。
配合濃度と安全性は大丈夫?
日本の配合上限は2%(厚労省の通知で決まっています)
日本では、化粧品にカフェインをどれだけ入れられるかが国の通知ではっきり決まっています。厚生労働省の「化粧品に配合可能な医薬品の成分について」(平成19年5月24日 薬食審査発第0524001号)によると、カフェインの配合上限は次のとおりです(出典7)。
| 粘膜に使用されない・洗い流す化粧品 | 100g中2.0g(2%)以下 |
| 粘膜に使用されない・洗い流さない化粧品 | 100g中2.0g(2%)以下 |
| 粘膜に使用される化粧品 | 配合できない |
つまり、日本で買える化粧品に入っているカフェインはどんなに多くても2%までということ。しかも通知では、配合するにあたって企業の責任で品質と安全性を確認することも求められています。
参考までに、海外の総説では市販の外用製剤に含まれるカフェインの代表的な濃度として3%前後という記述もあります(出典1)。ただし国によって規制の前提が違うので、単純に「日本のほうが少ない=効かない」と比べられるものではありません。あくまでグローバルな目安として頭の片隅に。

日本の化粧品のカフェインは上限2%。これを知っておくと、「高濃度カフェイン配合!」という言葉を見たときも、上限が決まっている中での話なんだな、と落ち着いて読めると思います。
肌からの吸収はごくわずか/米国CIRの安全性評価
安全性の面では、比較的しっかりした評価が出ています。米国の化粧品成分安全性評価機関CIRは2018年の報告書で、キサンチン系アルカロイド(カフェイン・テオブロミン・テオフィリン)について、現在の使用実態と配合濃度であれば安全と結論づけています(出典6)。
また、日本では医薬部外品の原料規格(品質の基準をまとめたもの)にもカフェイン水和物・無水カフェインが収載されていて、原料としての品質基準が定められています(出典8)。原料としては、きちんと管理される立場にある成分だということですね。
そして肝心の「塗ったカフェインが体に入ってしまわないか」という点。化粧品として肌に塗った場合、皮膚から吸収される量はごくわずかで、全身に影響が及ぶことは基本的に想定されていません。ここは次の章でもう少し詳しく整理します。
よくある誤解を整理
「コーヒーは肌に悪い」は、塗るカフェインにも当てはまる?

「コーヒーを飲みすぎると肌が乾燥する」「妊娠中はカフェインを控えて」——よく聞く話だと思います。ただ、これらはいずれも口から摂ったカフェインの話です。飲んだカフェインは消化管から吸収されて血液に乗り、全身をめぐります。だからこそ摂りすぎの注意が必要になるわけですね。
一方、化粧品として肌に塗ったカフェインは、そもそも配合されているのが最大2%。そこから皮膚を通って体内に入る量はごくわずかで、飲み物として摂るカフェインとは桁が違うと考えていいと思います。CIRの安全性評価も、この使用実態を前提に「安全」と結論づけています(出典6)。
ですので、「妊娠中だからカフェイン配合のアイクリームはやめたほうがいい?」という不安は、飲むカフェインの注意とは分けて考えて大丈夫だと思います。とはいえ体調やお肌がデリケートな時期は、気になることを我慢して使う必要もありません。心配なときはかかりつけの先生に相談したり、まずは目立たないところでパッチテストをしたりするのがいちばん安心です。

「飲む」と「塗る」はまったく別の話。塗ったカフェインが全身に回って眠れなくなる……ということは、まず起きないと考えて大丈夫です。ここを分けて考えられると、ぐっと選びやすくなると思います。
カフェイン配合=育毛の有効成分、とは限らない
頭皮ケア商品でいちばん誤解されやすいのがここです。「カフェイン配合」と大きく書かれていても、それが医薬部外品の育毛剤として国に承認された「有効成分」であるとは限りません。
医薬部外品の育毛剤では、「有効成分」として承認された成分(血行促進を目的としたセンブリエキスなどが代表的です)と、それ以外の「その他の成分」がはっきり分けて表示されます。カフェインは医薬部外品の原料規格には収載されていますが(出典8)、それは「原料としての品質基準がある」という意味であって、「育毛の有効成分として承認されている」ことを自動的に意味するわけではありません。
見分け方はシンプルで、パッケージの成分表示を見ることです。医薬部外品なら「有効成分」の欄があるので、そこにカフェインの名前があるかどうかを確認してください。「その他の成分」の側に書かれているなら、それは処方を支える成分としての配合、ということになります。

「カフェイン配合」の4文字だけで判断せず、有効成分の欄を見るクセをつけると失敗が減ります。研究データが面白い成分なだけに、期待の掛けどころを間違えないようにしたいところです。
表示順が後ろだと意味がない?
全成分表示は原則として配合量の多い順に並ぶので、「後ろのほうにある成分=ほとんど入っていない」と読まれがちです。でもカフェインの場合、そこは少し事情が違います。
まず、法令上の上限が2%。上限いっぱいに入れても、水やグリセリンなどのベース成分より前に来ることはありませんが、逆に言えばこの2%という数字は、全成分表示を読むときの目安になる「1%ライン」(だいたいこのあたりより後は配合順から濃度を推測しにくくなる、という読み方の目安)よりも高い数字です。つまりカフェインをしっかり配合している商品なら、1%ラインより前、表示の中盤あたりに登場することも十分あり得ます。もちろん配合量が少なければ、その分後ろのほうに来ることもあります。さらにカフェインは水溶性で、水に溶かして配合される成分。だから表示の位置だけで「意味のない量」と決めつけられない成分だと言えます。
逆に言うと、表示順だけから濃度を読むのが難しい成分でもあります。メーカーが濃度を公表している商品なら、そちらの数字を優先して見るのが確実です。
どんな人に向いている?確認しておきたい人
🙆♀️ 向いていそうな人
- 朝の顔のむくみ、巡り由来の青グマが気になる人。カフェインがいちばん得意とする領域です。
- ボディの引き締めケアを、マッサージ習慣とセットで続けられる人。
- 頭皮ケアのアイテムを試してみたい人(ヒト毛包の研究データがある分野です)。
- 成分の仕組みを知ったうえで、穏やかなサポートとして取り入れたい人。
🔍 確認しておきたい人
- 「塗るだけで脂肪が落ちる・セルライトが消える」ことを期待している人。配合上限2%では、はたらきは穏やかと考えるのが現実的です。
- 医薬部外品の育毛有効成分としてカフェインを期待している人。パッケージの「有効成分」欄の確認を。
- 色素沈着による茶グマ・影による黒グマをケアしたい人。カフェインの得意分野とは違うので、別のアプローチが向きます。
- 肌がとても敏感な方や、心配なことがある方。まずは目立たないところでパッチテストを。

まとめると「巡りのケア」に強い成分。むくみ・青グマ・引き締めのサポートには納得感がありますが、シミやたるみなど別の悩みには、それぞれ得意な成分に任せたほうが近道だと思います。
よくある質問
Q. カフェイン配合のコスメを使うと、眠れなくなったりしませんか?
A. 化粧品として肌に塗った場合、皮膚から吸収される量はごくわずかで、全身への影響は基本的に想定されていません。米国CIRも現行の使用実態・配合濃度であれば安全と結論づけています(出典6)。飲むカフェインとは分けて考えて大丈夫です。
Q. カフェイン入りのボディクリームで、本当に脚は細くなりますか?
A. 脂肪分解を後押しする仕組み自体は研究で示されています(出典1・2)。ただしそれは動物実験や培養細胞レベルの話で、日本の化粧品では配合上限が2%。見た目がはっきり変わるほどの変化を期待するのは難しいと思います。マッサージやむくみケアの一環として使うのが現実的です。
Q. コーヒーを肌に塗っても同じ効果がありますか?
A. おすすめしません。化粧品に使われるのは、濃度も品質も管理された精製カフェインやエキスです。飲み物のコーヒーは成分の濃度が一定ではなく、酸や色素も含まれます。肌への刺激や色移りのリスクを考えると、化粧品として設計されたものを使うほうが安心だと思います。
Q. カフェインと相性のいい成分はありますか?
A. 目的次第です。むくみ・クマのケアなら、めぐりのサポート成分や保湿成分と組み合わせるのが自然。最近は[PDRN]や[ビタミンC]と組み合わせた製品も出ています(出典10)。抗酸化の方向を強めたいなら、植物幹細胞コスメのような”守り”の成分と重ねるのも相性がいいと思います。
まとめ
[カフェイン]は、化粧品成分としては珍しく作用の仕組みがかなり細かく解明されている成分でした。脂肪細胞のアデノシン受容体にはたらいて脂肪分解を後押しする流れ、人の毛包を培養した実験で示された育毛方向のデータ、試験管レベルの抗酸化作用。どれも「なんとなく良さそう」ではなく、根拠のある話です。
その一方で、日本の化粧品に入れられるのは最大2%まで(出典7)。動物実験や試験管の中で確認された変化が、この濃度でそのまま起きるとは限りません。仕組みが解明されていることと、体感できることのあいだにはギャップがある——これがカフェインという成分の、いちばん正直な現在地だと思います。
だから私は、カフェインを「巡りを整えるサポート役」として見ています。朝のむくみや青グマ、ボディの引き締めケアに、マッサージとセットで穏やかに効かせる。そういう使い方なら、期待とのズレが少なくて気持ちよく付き合える成分だと思います。そして「飲むカフェイン」の注意は塗る場合には基本的に当てはまらないので、そこは安心して選んでくださいね。

研究データが厚いのに、規制の上限があるせいで実力を出しきれていない——カフェインはそんな成分だと思います。過信も過小評価もせず、”巡りのお守り”くらいの気持ちで取り入れるのがいちばんだと思います。
参考文献・出典
- Herman A, Herman AP. “Caffeine’s mechanisms of action and its cosmetic use.” Skin Pharmacology and Physiology. 2013;26(1):8-14.(総説)doi:10.1159/000343174
- Velasco MVR, Tano CTN, Machado-Santelli GM, Consiglieri VO, Kaneko TM, Baby AR. “Effects of caffeine and siloxanetriol alginate caffeine, as anticellulite agents, on fatty tissue: histological evaluation.” Journal of Cosmetic Dermatology. 2008;7(1):23-29.(動物実験・組織学的評価)doi:10.1111/j.1473-2165.2008.00357.x
- Fischer TW, Hipler UC, Elsner P. “Effect of caffeine and testosterone on the proliferation of human hair follicles in vitro.” International Journal of Dermatology. 2007;46(1):27-35.(ヒト毛包の器官培養)doi:10.1111/j.1365-4632.2007.03119.x
- Fischer TW, Herczeg-Lisztes E, Funk W, Zillikens D, Bíró T, Paus R. “Differential effects of caffeine on hair shaft elongation, matrix and outer root sheath keratinocyte proliferation, and TGF-β2/IGF-1-mediated regulation of the hair cycle in male and female human hair follicles in vitro.” British Journal of Dermatology. 2014;171(5):1031-1043.(ヒト毛包の器官培養)doi:10.1111/bjd.13114
- Elias ML, Israeli AF, Madan R. “Caffeine in Skincare: Its Role in Skin Cancer, Sun Protection, and Cosmetics.” Indian Journal of Dermatology. 2023;68(5):546-550.(総説・in vitroデータを含む)doi:10.4103/ijd.ijd_166_22
- Cosmetic Ingredient Review (CIR) Expert Panel. “Safety Assessment of Xanthine Alkaloids as Used in Cosmetics.” 2018.(安全性評価)https://www.cir-safety.org/sites/default/files/xanalk092018rep.pdf
- 厚生労働省 平成19年5月24日 薬食審査発第0524001号「化粧品に配合可能な医薬品の成分について」別紙(カフェインの配合上限2%等)
- 医薬部外品原料規格2021(厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課/PMDA公表):https://www.pmda.go.jp/files/000240227.pdf(カフェイン水和物・無水カフェインが原料として収載。育毛剤の有効成分としての個別承認の有無を示すものではありません)
- (予備的情報・一次文献未確認)カネボウ化粧品が1996年に報告したとされる、2%カフェイン水溶液の角層水分量に関する研究。成分データベース等の二次情報を経由してのみ確認でき、掲載誌・巻号は特定できていません。本文でも参考情報として扱っています。
- Dr.ルルルン「ルルルン カフェイン セラムショット」ニュースリリース(2026年6月15日発売/PR TIMES):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000257.000017608.html
- shaishaishai「カフェインショット」シリーズ ニュースリリース(PR TIMES):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000155.000069643.html

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