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シカクリーム、シカパッド、シカクッション……ここ数年、韓国コスメの棚を見ると「CICA」「シカ」という文字を本当によく見かけるようになりましたよね。私自身、肌がゆらいだときに手が伸びるアイテムのひとつです。
でも正直に言うと、「CICAって、結局なんの成分なの?」「本当に効果の根拠はあるの?」「敏感肌の私が使って大丈夫なの?」——このあたりを、はっきり説明できる人って意外と少ないんじゃないかと思います。私も調べれば調べるほど、「CICA=ひとつの魔法の成分」という単純な理解だと、大事なところを取りこぼしてしまうことに気づきました。
この記事では、CICA(ツボクサエキス)を「成分」の目線から、できるだけフラットに読み解いていきます。良い・悪いの点数はつけません。仕組みと相性を知って、あなた自身が「自分に合うか」を判断できるようになることをゴールにしています。
【はじめての方必読】当サイトの成分解析について
- 成分解析は各成分の一般的な配合目的を記載したもので、製品の効果効能を保証するものではありません。
- リニューアル等により全成分が変更される可能性があります。見つけた場合はお問い合わせフォームから教えて頂けると助かります。
ひとことで言うと

CICAは1つの成分ではなく、化学的に対になる4つの成分(配糖体2種+アグリコン2種)の役割分担でできています。鎮静のイメージが強い成分ですが、CIRの評価では「まれに皮膚・眼刺激の報告あり」ともされていて、無条件に低刺激というわけではありません。
この成分のポイント
- 「CICA」は成分名でも全成分表示に載る言葉でもなく、あくまで通称・カテゴリー名(表示は「ツボクサエキス」「マデカッソシド」等の個別成分名)
- 実力を支えるのは主要4成分の役割分担。配糖体(アシアティコシド/マデカッソシド)とアグリコン(アシア酸/マデカシン酸)で、評価する試験モデルによって成績が入れ替わる
- CICA=無条件に低刺激ではない。CIRの安全性評価でもまれな皮膚・眼刺激の報告があり、敏感肌は「選び方」と「試し方」に注意が必要
基本情報
| 成分名 | CICA(シカ)=ツボクサエキス(Centella Asiatica Extract)の通称 |
| 分類 | セリ科ツボクサ由来のペンタサイクリック・トリテルペノイド(主要4成分:配糖体2種+アグリコン2種) |
| 化粧品での位置づけ | CIR(米国の化粧品成分安全性評価機関)が現行の使用実態・配合濃度で安全と評価/顔・首用の最大配合濃度は概ね0.5% |
CICA(シカ)とは何か——ツボクサエキスの基礎
まずは「CICAって、そもそも何なのか」というところから整理していきます。
植物としてのツボクサ(Centella asiatica)とアーユルヴェーダでの歴史
CICAのおおもとは、[ツボクサエキス]——学名 Centella asiatica(センテラ・アシアティカ)という植物の抽出物です。和名は「ツボクサ」、セリ科ツボクサ属の多年草で、インドや東南アジア、韓国、中国などの温暖で湿潤な地域に自生しています。
この植物、実はかなり歴史のある薬草なんです。インドの伝統医学アーユルヴェーダをはじめ、各地の伝統医療で創傷(傷)の治りを助けたり、皮膚のトラブルに使われたりと、古くから活躍してきました。今の韓国コスメで一気に有名になった印象がありますが、ルーツをたどると「昔から傷や肌荒れのケアに使われてきた植物」なんですね。
ちなみに韓国では「虎の傷薬(タイガーグラス)」という俗称でも知られています。傷ついた虎がこの草の上を転がって傷を癒した、という言い伝えが由来だとか。これはあくまで伝承として海外メディアで紹介されている話なので、「そんなロマンのある逸話がある」くらいの温度感で受け取ってもらえればと思います。
「CICA」という呼び名の由来——INCI名でも成分名でもない通称
ここが、私がいちばん「最初に整理しておきたい」と思ったポイントです。
「CICA(シカ)」という言葉は、Centella asiatica の頭の文字などを組み合わせた通称、という説明が海外の美容メディアで広く紹介されています。加えて、ヨーロッパの皮膚科系ブランド(ラロッシュポゼの「Cicaplast」、アベンヌの「Cicalfate」など)が使う「cica」という接頭辞——これはフランス語の cicatriser(=治癒する)が語源といわれます——の「肌を立て直すケア」というイメージを、韓国コスメ業界が取り込んで、「鎮静・肌荒れ回復ケア」を指すマーケティング用語として定着させた、という経緯が語られています。
つまり、「CICA」はINCI名(成分の国際表示名)でも、特定のひとつの成分名でもありません。 全成分表示をどれだけ探しても「CICA」という文字は出てきません。表示されているのは、あくまで「ツボクサエキス」や「マデカッソシド」といった個別の成分名です。
「CICA配合って書いてあるのに、成分表にCICAが無い!」と戸惑ったことがある人、いませんか? それは当然のことで、CICAは「カテゴリーの呼び名」だから。ここを押さえておくだけで、商品選びの解像度がぐっと上がると思います。
なぜ韓国コスメでCICAが人気になったのか
CICAが一気に定番化した背景には、いくつかの流れが重なっています。
2010年代前半から、K-beautyブランドがツボクサエキス配合の鎮静クリームや軟膏を展開しはじめ、レーザーなどの皮膚科施術後のダウンタイムケアとして支持を集めていきました。火付け役としてよく名前が挙がるのが、Dr.Jart+の「Cicapair(シカペア)クリーム」。皮膚科医監修という文脈や、韓国での「回復クリーム/再生クリーム」という呼ばれ方も相まって、2017年前後に定番アイテムとして広まった、と紹介されています。
もうひとつ、面白いなと思う視点があります。海外の業界分析(Mintelの調査など)では、韓国は大気汚染やスキンケア工程の多さなどを背景に「自分の肌は敏感」と感じている消費者が多く、鎮静を訴える成分へのニーズが強い、と指摘されています。CICAはまさにそのニーズにぴったりはまった成分だった、というわけですね。
「韓国で流行っているから」だけでなく、「敏感肌を自認する人が多い土壌に、皮膚科発想の鎮静ケアがマッチした」——この背景を知っておくと、CICAという成分の立ち位置がよく見えてくると思います。

まず押さえたいのは、[CICA]は成分名ではなく「鎮静ケア」を指す通称・カテゴリー名だということ。だから全成分表示をどれだけ探しても「CICA」の文字は出てきません。私は買う前に、[ツボクサエキス]や[マデカッソシド]といった個別の成分名で中身を確かめるようにしています。
CICAを構成する主要4成分とその違い
さて、ここからが「成分から読み解く」この記事の本題です。CICA(ツボクサエキス)の実力を支えている中心的な成分は、「ペンタサイクリック・トリテルペノイド」という化学構造グループに属する、次の主要4成分です。
- 配糖体(グリコシド):[アシアティコシド/Asiaticoside]/[マデカッソシド/Madecassoside]
- アグリコン(非配糖体):[アシア酸/Asiatic acid]/[マデカシン酸/Madecassic acid]
「急に難しくなった……」と思いますよね。でも、ここを図でイメージできると、全成分表示の見え方が変わります。

配糖体とアグリコン——4成分の構造上の関係
まず「配糖体」と「アグリコン」という言葉。ざっくり言うと、アグリコン=土台となるコア構造、配糖体=そのコアに「糖」がくっついた形、という関係です。
- [マデカッソシド](配糖体)⇔[マデカシン酸](アグリコン)
- [アシアティコシド](配糖体)⇔[アシア酸](アグリコン)
それぞれがこの「配糖体⇔アグリコン」のペアになっています。配糖体は糖鎖がついている分だけ水になじみやすく(水溶性寄り)、アグリコンは糖が外れたコアの性質で相対的に脂溶性が高くなる、と説明されています(出典8、9)。腸管では配糖体が酵素で加水分解されアグリコンに変わり、その変換後に生理活性が発揮される、という代謝経路も複数の総説で言及されています(出典10)。ただし、化粧品として肌に塗ったときに皮膚の上で同じ変換がどのくらい起きるかを示した一次データは、私が確認した範囲では見つかりませんでした。ここは「腸管の代謝で確認されている経路」として紹介するにとどめておくのが誠実だと思います。
大事なのは、「配糖体だから効かない/アグリコンだから強い」という単純な優劣は、研究では支持されていないということ。この後お話しするように、どの試験モデルで評価するかによって、成分の成績は入れ替わります。
マデカッソシド(Madecassoside)——エビデンスが最も厚い主力成分
4成分の中で、いちばん研究の裏付けが厚いのが[マデカッソシド]です。抗炎症・鎮静、バリア機能のサポート、創傷治癒の促進と、複数の方向でデータが積み上がっています。最近は化粧品原料としても、マデカッソシドの配合濃度を明記する処方が増えてきました。
具体的な研究内容は次章の「作用機序」でまとめて紹介しますが、ここで一つだけ触れておきたいのが創傷治癒のデータです。マウスの火傷(熱傷)創傷モデルで、[マデカッソシド]は[アシアティコシド]よりも有意に良好な創傷治癒効果を示した、と報告されています(出典1)。同じ「配糖体」でも、この試験では成績に差が出た、という具体例です。
「配糖体の中でも、マデカッソシドはとくに研究の裏付けが厚い」——CICA配合の中でこの成分名を見かけたら、そういう位置づけの成分なんだな、と思ってもらえればと思います。

4成分の中でいちばん研究の裏づけが厚いのが[マデカッソシド]です。マウスの火傷モデルでは、同じ配糖体の[アシアティコシド]より良い治癒成績が出たという報告もあります。CICA配合でこの名前を見かけたら、鎮静ケアの主力なんだな、と思ってもらえたらうれしいです。
アシアティコシド(Asiaticoside)——創傷ケアの歴史を持つ配糖体
[アシアティコシド]は、創傷治癒の領域で歴史のある成分です。海外では、この成分を含む医薬品(Madecassol等)が創傷治癒の補助薬として古くから使われてきた経緯があり、化粧品分野での「肌荒れ・傷あとケア」訴求のルーツのひとつになっています。
先ほどの火傷モデルではマデカッソシドに一歩ゆずる結果でしたが、「単純に劣る成分」というわけではありません。無処置と比べれば治癒を促す効果自体は認められていますし、面白いのは処方タイプとの相性です。[アシアティコシド]は脂溶性寄りの性質から、W/O(油中水)型の乳化処方でより溶けやすく放出されやすい一方、O/W(水中油)型では放出が抑えられる傾向が実験的に示されています。逆に[マデカッソシド]はO/W処方になじみやすい、という違いも報告されています(出典9)。
つまり、同じ「CICA配合」でも、クリームの乳化タイプによって「どの成分がより肌に届きやすいか」が変わりうるということ。ちょっとした豆知識ですが、成分をフラットに見るうえで面白い視点だと思います。
アシア酸・マデカシン酸——アグリコン2種の位置づけ
残る[アシア酸]と[マデカシン酸]は、それぞれ[アシアティコシド][マデカッソシド]に対応するアグリコン(糖が外れたコア構造)です。抗炎症では配糖体と共通する経路に関わるとされます。瘢痕線維芽細胞の増殖モデルでは、アグリコン2種を単体で加えても対照群に対して有意な影響は見られなかった一方、同じ研究は火傷創傷の治癒では配糖体側(とくにマデカッソシド)を「主要な活性成分」として支持する結果を示しました(出典1)。
とはいえ、[アシア酸]単体の肌まわりのデータが無いわけではありません。ヒトのケロイド(傷あとが盛り上がる症状)由来の線維芽細胞を使った研究では、アシア酸がTGF-β1によって誘導されるコラーゲンやPAI-1の発現を、PPAR-γという受容体の活性化を介して抑えたことが報告されています(出典12)。「創傷治癒を後押しする」配糖体側とはやや角度が違いますが、「傷あとを過剰に盛り上げすぎない」方向で単体の働きが確認されている成分、と捉えると実態に近いと思います。
アグリコンは脂溶性が高く、経口・全身投与の文脈では神経保護などの研究報告もあります。ただ、それは「体に取り込んだとき」の話が中心で、化粧品として肌に塗ったときの効果を直接裏づけるものではない点には注意が必要です。私の理解では、アグリコン2種は「単体の主役」というより、配糖体の代謝物・関連物質として、4成分セットの中で役割を持っている、という捉え方がいちばん実態に近いと思います。

まとめると、CICAの実力は[アシアティコシド][マデカッソシド](配糖体)と[アシア酸][マデカシン酸](アグリコン)、この4成分の役割分担で成り立っています。「どれが一番強い」ではなく、評価する試験モデルによって成績が入れ替わるのが正直なところ。優劣で単純に語れない成分だと思います。
研究でわかっているCICAの効果・作用機序
ここまでの成分の話を、「肌の上で何が起きているのか」という機序の目線でまとめ直してみます。CICAの働きは、大きく3つに整理できます。細かいデータは参考程度に、まずは全体像から見ていきますね。

抗炎症・鎮静のメカニズム(NF-κB経路の抑制)
CICAの「鎮静」イメージの科学的な中心にあるのが、炎症のスイッチである「NF-κB経路」を抑える働きです。動物モデルの研究では、ツボクサの標準化エキスがNF-κB経路の活性化を抑え、炎症性サイトカイン(TNF-α・IL-6など)の産生を減らしたことが報告されています(出典6)。マデカッソシド単体を使った関節炎モデルでも同様に炎症性サイトカインが抑えられ、抗炎症性のIL-10が上昇したという報告(出典3)や、アトピー性皮膚炎モデルで肥満細胞の浸潤や炎症反応が抑えられたという報告(出典5)もあります。
いくつも専門用語が出てきましたが、ざっくり言えば「炎症を引き起こす複数のスイッチを、上流から抑えにいく」というのがCICAの鎮静の正体、というイメージです(いずれも動物・培養細胞モデルでの報告で、ヒト皮膚での直接確認は後述します)。

むずかしい用語が続きましたが、CICAの鎮静の正体は、炎症のスイッチである[NF-κB]経路を上流から抑えにいくこと。だからゆらいだ肌の火照りやすさに寄り添ってくれるんだな、と私は理解しています。
バリア機能・保湿サポート(アクアポリン3等)
CICAは「鎮静」だけでなく、うるおいを保つ側にも関わっています。培養した肌細胞を使った研究では、[マデカッソシド]が「アクアポリン3」や「ロリクリン」「インボルクリン」といったバリア・保湿に関わるタンパク質の産生を促すことが示されています(出典4)。
「鎮静しながら、肌のバリアや水分保持もサポートする」——ゆらいだ肌に寄り添う成分として支持されるのも、こうしたデータを見ると納得だなと思います。
創傷治癒サポートのエビデンス
もともと伝統医療で「傷の薬」として使われてきた植物、というルーツを裏づけるように、創傷治癒のデータも複数あります。マウスの火傷創傷モデルで、CICAの活性成分(とくに[マデカッソシド])が治癒を促進したことが報告されています(出典1、2)。2024年の総説では、熱傷・糖尿病性足潰瘍・ニキビ痕など複数の臨床の文脈で、再上皮化の促進や炎症の早期消退が報告されているとまとめられています(出典7)(この総説は個々の臨床試験を「まとめて」紹介しているもので、私は引用元の一次論文までは確認できていません)。
ヒト臨床データはあるの?(予備的報告にとどまる現状を正直に)
CICA(とくにマデカッソシド)の機序を調べた研究は動物や培養細胞のものが中心ですが、ヒトを対象にした査読誌の臨床試験も見つかっています。2型糖尿病があり乾燥肌に悩む159名を対象にした二重盲検・プラセボ対照試験では、ツボクサエキス1%配合の外用薬を使ったグループで、血糖コントロールが良好な人において肌の水分量(角層水分量)がプラセボ群より有意に高い結果が報告されています(出典13)。糖尿病がある人の乾燥肌という特定の対象での結果なので、健康な肌全般にそのまま当てはまるとまでは言い切れませんが、外用のツボクサエキスについて「査読誌に載ったヒト臨床データ」がある、という点は押さえておきたいところです。
このほか、マデカッソシドとビタミンCを配合したクリームを女性が12週間使った学会発表(2009年の欧州皮膚科学会ポスター)でも、角層水分量やハリなどの改善が報告されています。ただしこちらは査読付きの論文としての正式発表を確認できなかったため、具体的な数値は出さず「予備的な報告がある」という段階の情報として扱います。
だからこそ、「動物・細胞では有望なデータが積み上がっている成分で、ヒトでの評価も査読誌のデータを含めて少しずつ厚みが増している段階」という温度感で見るのが、いちばんフェアだと思っています。効果を過大にも過小にも語らず、今わかっている範囲で選ぶ——それがこの成分との付き合い方かなと。

作用機序は大きく、抗炎症・鎮静/バリア・保湿/創傷治癒サポートの3方向。動物や培養細胞のデータに加えて、外用ツボクサエキスを使った査読誌のヒト臨床試験も見つかっています。まだ対象や規模は限られますが、積み上がっているデータを踏まえて、過大にも過小にも語らずフェアに付き合っていきたい成分だと思います。
敏感肌向けのCICAの選び方
「鎮静の成分なら、敏感肌の私にぴったりのはず」——そう思って手に取る人が多いと思います。私もそうでした。でも、成分から見ていくと、もう少していねいに選んだほうがいいポイントがあります。

「エキス配合」と「単一成分高濃度配合」の違い
CICA配合のアイテムは、大きく2タイプに分けて考えると選びやすくなります。
- ①ツボクサ「エキス(抽出物)」配合:マデカッソシドやアシアティコシドなど複数の成分が、マイルドな濃度でバランスよく含まれる設計が多いタイプ。ツボクサエキス単体を配合したシンプル処方のアイテムもこのタイプの実例です。ほかの保湿成分などとの併用もしやすい印象です。
- ②マデカッソシド等の「単一成分」を高濃度配合:機能性の訴求が強く、原液に近い濃度で使う設計のものもあるタイプ。マデカッソシドなど機能性成分を前面に打ち出したアンプルタイプなどが該当します。狙いがはっきりしている一方、肌の状態によっては刺激を感じやすい人もいます。
どちらが良い・悪いということではありません。ただ、敏感肌でゆらいでいるときに、いきなり②の高濃度から入るのは、ちょっと勇気がいるというのが私の正直な感覚です。
CICA=無条件に低刺激ではない——CIRの安全性評価から
意外に思われるかもしれませんが、CICAは「絶対に刺激ゼロの成分」ではありません。米国の化粧品成分安全性評価機関CIR(Cosmetic Ingredient Review)は、Centella asiatica 由来の成分について「現行の使用実態・配合濃度において安全」と結論しています。化粧品での最大配合濃度は顔・首用でおおむね0.5%程度との報告です。一方で、まれに皮膚・眼への刺激の報告があり、感作(アレルギー)の懸念は低いとされています(出典11)。
「鎮静の代名詞」のようなCICAでも、まれに刺激の報告はある——この事実を知っておくだけで、「CICAだから絶対大丈夫」と過信せずに、自分の肌で確かめる姿勢を持てると思います。

意外かもしれませんが、CICAは「無条件に低刺激」ではありません。CIRの評価でも、まれに皮膚・眼への刺激の報告があるとされています。だから敏感肌の方こそ、いきなり高濃度に飛びつかず、パッチテストで確かめてほしいなと思います。
敏感肌の人におすすめの試し方(ステップで解説)
以上を踏まえて、敏感肌の人におすすめしたい試し方をステップにまとめます。
- まずは①「エキス配合」のマイルドな処方から。 複数成分がバランスよく入ったタイプは、はじめの一歩に向いていると思います。
- 必ずパッチテストを。 腕の内側などで少量から試して、赤み・かゆみが出ないか数日みてみましょう。CICAでもまれに刺激の報告がある、という前提を忘れずに。
- 肌が落ち着いてから、必要に応じて②の高濃度処方を検討。 「もっと鎮静を後押ししたい」と感じたときに、単一成分を高濃度で配合したアイテムをステップアップとして取り入れる、という順番が無難です。
急がず、自分の肌のペースで。CICAは長く付き合える成分だと思うので、焦って高濃度から入る必要はまったくないと思っています。

選び方の私のおすすめは、まず複数成分がやさしく入った①エキス配合から。肌が落ち着いてから②単一成分の高濃度処方をステップアップとして、という順番です。焦らなくて大丈夫、自分の肌のペースで長く付き合える成分だと思います。
CICAについてよくある誤解
誤解①「CICAという成分名がある」わけではない
記事の最初にもお話ししたとおり、「CICA」は成分名でもINCI名でもなく、通称・カテゴリー名です。全成分表示に載るのは「ツボクサエキス(Centella Asiatica Extract)」や「マデカッソシド」などの個別成分名。「CICA配合と書いてあるのに成分表にCICAが無い」のは、まったく正常なことです。
誤解②「配糖体よりアグリコンの方が効果が強い」という単純な優劣
「糖が外れたアグリコンのほうが純粋で強そう」というイメージを持つ人がいますが、研究はそう単純ではありません。むしろ火傷創傷モデルでは配糖体の[マデカッソシド]が有意に良い結果を示し、アグリコン2種は瘢痕線維芽細胞のモデルで有意な影響が見られませんでした(出典1)。評価するモデルによって成績は入れ替わります。「4成分の役割分担」として見るのが、いちばん実態に合っていると思います。
誤解③「CICA配合=敏感肌に絶対安全」
これは一番お伝えしたい誤解です。鎮静のイメージが強いぶん、「CICAなら絶対安心」と思い込みがちですが、CIRの評価でも、まれに皮膚・眼への刺激の報告があると明記されています。大切なのは「CICAだから安全」ではなく、「自分の肌で確かめてから、自分に合う濃度・処方を選ぶ」こと。 ここだけは、鎮静成分であっても油断しないでほしいなと思います。

誤解しやすいのは、「CICAという成分がある」「アグリコンのほうが強い」「CICA=敏感肌に絶対安全」の3つ。どれも成分から見ると単純化しすぎなんです。通称であること・役割分担であること・まれに刺激もあること——これを知って選べば、もっと上手に付き合えると思います。
こんな人に向いている成分
🙆♀️ 相性がよさそうな人
- 肌がゆらぎやすく、鎮静ケアを探している
- 「CICA配合」の実力を成分から理解して選びたい
- マイルドな処方から少しずつ試したい
- 根拠(一次文献)を確認したうえで成分を選びたい
🔍 知っておきたいこと
- 「CICA」という成分名は存在しない(通称・カテゴリー名)
- 4成分は役割分担であり、優劣を単純に語れない
- CICA=無条件に低刺激ではない。まれな刺激報告あり
- ヒト臨床データは査読誌のものも見つかっているが、規模はまだ限られる
まとめ
CICA(ツボクサエキス)について、成分の目線から読み解いてきました。最後に要点を振り返ります。
- CICAは通称・カテゴリー名。全成分表示には「ツボクサエキス」「マデカッソシド」などの個別成分名で載る。
- 実力を支えるのは主要4成分の役割分担。[アシアティコシド][マデカッソシド](配糖体)と[アシア酸][マデカシン酸](アグリコン)。「どれが一番強い」ではなく、モデルによって成績が入れ替わる「役割分担」として見る。
- 作用機序は大きく3つ——抗炎症・鎮静(NF-κB経路の抑制)、バリア機能・保湿(アクアポリン3等)、創傷治癒サポート。動物・細胞のデータは厚く、ヒトでも査読誌のデータが少しずつ積み上がっている段階。
- CICA=無条件に低刺激ではない。敏感肌の人は、①エキス配合のマイルドな処方からパッチテストで試し、②単一成分の高濃度処方はステップアップとして検討するのがおすすめ。
CICAは、伝統医療の歴史と、現代の研究データの両方に支えられた、頼れる成分だと思います。でも「魔法の万能成分」ではなく、仕組みと相性を知ったうえで選ぶことで、もっと自分の肌に合った付き合い方ができるはず。この記事が、あなたの「自分に合う」を見つけるヒントになればうれしいです。
それでは、また次の解析でお会いしましょう。ありすでした。
参考文献・出典(13件)
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