ヒアルロン酸とは?分子量で変わる働き・種類・選び方を成分から解説

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化粧水でも美容液でもシートマスクでも、必ずと言っていいほど見かける[ヒアルロン酸]。あまりに当たり前すぎて、逆に「で、結局これって何をしてくれる成分なの?」と聞かれると答えづらい成分の代表格かもしれません。

今日いちばんお伝えしたいのは、ヒアルロン酸は「分子量(=分子の大きさ)」でふるまいが変わるということ。同じ名前でも、大きいものと小さいものでは肌のどこまで届くかが違います。全成分表示で見分けるコツも含めて、研究データを見ながら整理していきますね。

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ひとことで言うと

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ヒアルロン酸は「水を抱える」専門家。分子が大きいものは肌の上でうるおいの膜になり、小さいものは角層の中まで届きます。

ヒアルロン酸ってどんな成分?

[ヒアルロン酸]は、糖がくり返しつながってできた「ムコ多糖」の一種で、もともと私たちの体の中にある物質です。皮膚のほか、関節液や眼球の硝子体にも存在します。水をたっぷり抱え込む性質があり、真皮ではコラーゲンやエラスチンのすき間を埋めるゼリーのような役割を果たしています。

この皮膚のヒアルロン酸は、加齢や紫外線によって減っていくことが知られています。「歳を重ねると肌がしぼんでくる」感覚の一因として、ヒアルロン酸の減少が語られるのはこのためです。

皮膚老化とヒアルロン酸を扱った総説でも、表皮のヒアルロン酸は加齢にともなって減っていき、真皮でも組織との結合が強まって「動きにくい」状態になっていくと整理されています。量そのものだけでなく、代謝や結合状態の変化も肌の老化に関わると考えられているんですね(出典1)。

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今のデータを補足すると、肌の中の[ヒアルロン酸]は歳とともに減って、しかも動きにくくもなっていくそうです。だから私は、あとから補うことばかり考えるより、”今あるうるおいを守る”視点も大事にしたいなと思っています。

なお、化粧品の全成分表示では「ヒアルロン酸」という名前ではなく、ナトリウム塩の[ヒアルロン酸Na]として書かれるのが一般的です。安定していて扱いやすいためですね。

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ここまでをひとことで言うと、[ヒアルロン酸]は私たちの体にもある「水を抱えるのが専門」の成分。全成分表示では[ヒアルロン酸Na]と書かれることが多いです。正直に言うと、”うるおいを足す”というより”水を抱えてキープする”のが本業なんだな、という理解が私にはいちばんしっくりきます。

分子量で変わる:ヒアルロン酸の種類を整理する

高分子・低分子・アセチル化・カチオン化・架橋という5タイプのヒアルロン酸の違いを示した図
分子量とかたちで変わる役割(ありす作成)

化粧品に使われるヒアルロン酸は、大きく分けて次のようなタイプがあります。全成分表示で見分けられるので、手元のコスメを見ながら読んでみてください。

高分子ヒアルロン酸(ヒアルロン酸Na)

いちばん基本のタイプで、化粧品では分子量100万前後のものが使われるのが一般的です。分子が大きいため角層は通り抜けられず、肌の表面に薄い保水膜をつくって水分の蒸発を防ぎます。とろみのあるテクスチャーや、つけたあとの吸いつくような感触は、多くの場合このタイプの働きです。

低分子ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸)

ヒアルロン酸を酵素などで細かく切って、分子量を小さくしたもの。「ナノ化ヒアルロン酸」「浸透型ヒアルロン酸」と呼ばれることもあります。角層のすき間を通れるサイズになるため、肌の内側(角層内部)まで届いてうるおすことが期待されるタイプです。

アセチル化ヒアルロン酸(アセチルヒアルロン酸Na)

ヒアルロン酸に「アセチル基」という油になじみやすい小さなパーツをつけた誘導体で、通称「スーパーヒアルロン酸」。水にも油にもなじむため、肌に吸着してとどまりやすいのが売りとされています。実は、通常のヒアルロン酸と直接比べた研究もあります。ヒト皮膚を使ったラマン分光法の実験では、通常のヒアルロン酸が角層の50μmまでしか浸透しなかったのに対し、アセチル化ヒアルロン酸は100μmまで届いたと報告されています。分解されにくさを調べた試験でも、通常のヒアルロン酸が分子量の92%を失ったのに対し、アセチル化ヒアルロン酸は7%の減少にとどまり、肌の上で長くとどまりやすいことが確認されています。女性20〜30名規模のヒト試験でも、目もとや口もとのシワの本数・面積の減少、肌のキメの改善が報告されています(出典9)。この一連のデータは原料メーカー(Givaudan社)に所属する研究者による報告なので、その点は差し引いて受け止めたいところですが、通常のヒアルロン酸との比較データ自体はきちんと存在しています。

カチオン化ヒアルロン酸(ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム)

プラスの電気を帯びるように改良したタイプ。肌や髪の表面はマイナスに帯電しているので、電気的にくっついて洗い流しても残りやすくなります。シートマスクやヘアケア、洗い流すアイテムでよく見かけます。

架橋ヒアルロン酸

分子同士を橋渡しして、網目状に組み上げたタイプ。水を抱えたまま形を保ちやすく、化粧品では「うるおいが長持ちする」設計に使われます。名前が似ているせいで美容医療のヒアルロン酸注入と混同されがちですが、これはまったく別の話です(後述します)。

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種類を全成分表示に置きかえると、[ヒアルロン酸Na]は肌の上で膜になる大きいタイプ、[加水分解ヒアルロン酸]は角層まで届く小さいタイプ、という見分け方ができます。名前が似ていても働く場所が違うので、”どれが入っているか”で役割を読み取れると思います。

塗るヒアルロン酸、研究で分かっていること

ヒアルロン酸クリームの臨床試験の規模と結果を示した数値図
(出典2・3・4)

「分子量が違うと届く場所が違う」というのは、化粧品の宣伝文句のようでいて、実際に確かめられています。ヒト皮膚を使った試験では、低分子(20〜300kDa)は角層を通り抜けて内部まで届き、高分子(1000〜1400kDa)は角層の表面にとどまることが確認されています(出典2)。

肌への効果を確かめた試験もいくつかあります。30〜60歳の女性76名が分子量の違う5種類のヒアルロン酸クリームを60日間使った試験では、どの分子量でも肌の水分量と弾力がしっかり改善していました。シワの深さについては、低分子のグループだけがより良くなったそうです(出典3)。乾燥肌の高齢者を対象にした二重盲検試験でも、低分子のほうが高分子より角層の水分量を上げやすいという結果が出ています。ただし、肌のバリア機能そのものを示す数値(経表皮水分蒸散量)には、低分子・高分子・何もつけない場合で差がありませんでした(出典4)。ナノ化ヒアルロン酸を8週間使った試験でも水分量やキメの改善が報告されていますが、こちらは比較対象(プラセボ)を置いていない試験なので、参考程度に受け止めるくらいがちょうどいいと思います(出典5)。

これらを並べると、輪郭がはっきりしてきます。ヒアルロン酸は角層の水分量を上げるのは得意。でも、基本的にはバリア機能そのものを立て直す成分ではない。ここがヒアルロン酸の得意・不得意です。

バリアを補いたいなら[セラミド]、水分の蒸発を止めたいなら油分(ワセリン・スクワラン・各種オイル)。ヒアルロン酸はそれらと役割が違うので、組み合わせて使うのが前提の成分だと考えると、スキンケアの組み立てがすっきりします。

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研究をまとめると、小さいヒアルロン酸は角層の中まで届き、大きいものは表面でうるおいの膜になる——どちらも肌の水分量はちゃんと上げてくれます。ただしバリア機能そのものは立て直せない印象。だからこそ[セラミド]や油分と組ませて使う前提の成分だと思っています。

飲むヒアルロン酸は効くの?

ヒアルロン酸のサプリやドリンクもよく見かけますよね。「食べても分解されるから意味がない」と言われることもありますが、ヒト試験は実際に存在します。

たとえば乾燥肌の成人61名に、分子量800kまたは300kのヒアルロン酸120mg/日か偽薬を6週間摂ってもらった二重盲検試験では、ヒアルロン酸群の皮膚水分量が偽薬群より高く推移し、300k群では摂取をやめた2週間後にも偽薬群より有意に高い水分量が保たれたと報告されています(出典6)。目尻のシワを対象にした12週間の試験(60名)でも、分子量300kを摂った群だけが8週目に偽薬群より有意にシワが改善しました(分子量2kの群は差なし)(出典7)。

ただし正直に付け加えると、ここで挙げた2つの試験はどちらもヒアルロン酸原料メーカー(キユーピー)の社員が著者に入っており、規模も60名前後と小さめです。「まったく無意味」と切り捨てる根拠もなければ、「飲めば必ず潤う」と言い切れる根拠もない、というのが今のところの誠実な立ち位置だと思います。塗るケアの代わりにはならない、という理解でいるのがちょうどよさそうです。

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飲むヒアルロン酸は、”まったく無意味”とも”必ず潤う”とも言い切れないのが正直なところ。小規模でメーカー主導の試験が中心なので、私は塗るケアの代わりにはならない、というくらいの距離感で見ています。

よくある誤解

誤解1:化粧品のヒアルロン酸で「ヒアルロン酸注射」と同じ効果が出る

まったく別物です。美容医療のヒアルロン酸注入は、針で真皮や皮下にゲルを直接入れて物理的にボリュームを出す施術。塗るヒアルロン酸は、良くて角層内部までしか届きません。名前が同じでも、届く深さも量もまったく違います。「塗ってふっくら」は、水分が入って角層が整った状態の話です。

誤解2:低分子のほうがえらい

「浸透するほうが良い」と単純化されがちですが、高分子には肌の上で膜になって蒸発を防ぐという、低分子にはできない仕事があります。上のPavicicの試験でも、水分量と弾力はすべての分子量で改善していました。優劣ではなく分担です。

ちなみに細胞生物学の世界では、非常に小さく断片化したヒアルロン酸が、体の中では炎症のシグナルとして働きうることが知られています(出典8)。ただしこれは組織が傷ついた場面での分子の話で、化粧品を肌に塗って問題が起きたという臨床報告があるわけではありません。過度に不安になる必要はないけれど、「小さければ小さいほど良い」という単純な話でもない、というくらいの受け止めがちょうどいいと思います。

誤解3:乾燥した場所ではヒアルロン酸が肌の水を奪う

SNSでよく見る話ですね。ヒアルロン酸のような吸湿性の成分は、空気が乾いていると肌の内側から水を引っ張ってしまう——という理屈です。理論としては筋が通りますが、ヒトの肌でこれを明確に示した試験は、私が調べた範囲では見つかりませんでした

ただ、実用上の結論は同じところに着地します。ヒアルロン酸を塗ったあとは、乳液やクリームでフタをする。抱えた水分を逃さない役をつくっておけば、この心配自体が問題になりません。

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誤解のポイントもひとことで。化粧品のヒアルロン酸は注射とは別物で、届くのは良くて角層まで。低分子が”えらい”わけでもなく、大きさで役割が分かれるだけです。乾燥した場所で水を奪う説も、塗ったあとに乳液やクリームでフタをすれば気にしなくて大丈夫だと思います。

選び方・使い方のポイント

ヒアルロン酸を活かす3つのコツ

  • 単独で完結させない。水分を抱えるのがヒアルロン酸の仕事。バリアを補う[セラミド]や、蒸発を止める油分とセットで組む
  • 「種類の多さ」を効果と読み替えない。複数の分子量を組み合わせる考え方は理にかなうが、種類が多いほど効くと示した比較試験はない
  • 濡れた肌に、すぐ。洗顔後に時間を置かず、肌が湿っているうちにつけて、そのままフタをするのがいちばん素直な使い方

刺激については、ヒアルロン酸はもともと体内にある物質で、化粧品での使用歴も長い成分です。私の知る範囲では外用で大きな問題が指摘されているのを見たことがなく、敏感肌でも比較的使いやすい成分という印象ですが、肌に合う・合わないには個人差があるので、初めての製品は少量から試してくださいね。

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使い方はシンプルで、洗顔後の濡れた肌にすぐつけて、乳液やクリームでフタをする。これだけで抱えた水分が逃げにくくなります。単独で完結させず、バリアを補う[セラミド]や油分の相棒とセットで組むのが、私のいちばんのおすすめです。

まとめ

[ヒアルロン酸]は、スキンケアにおける「水を抱える」担当。分子が大きいものは肌の上で膜になり、小さいものは角層の中まで届く——同じ名前でも、大きさで役割が分かれます。全成分表示で[ヒアルロン酸Na][加水分解ヒアルロン酸][アセチルヒアルロン酸Na]が並んでいたら、「届く場所を分担させたいんだな」と読めるようになれば、もう十分です。

そして忘れたくないのが、ヒアルロン酸はバリアを立て直す成分ではないということ。抱えた水を守る相棒(セラミド・油分)とセットで使う。これだけ覚えておけば、ヒアルロン酸とはずっと上手に付き合えると思います。

実際の製品で「4種類のヒアルロン酸」がどう組まれているかは、こちらで全成分から読み解いています。あわせてどうぞ。【成分解析】肌ラボ 極潤ヒアルロン液|4種のヒアルロン酸は”分子量違い”、その意味を読み解く/製品選びの視点でまとめた記事はこちら:【成分解析で選んだ】ヒアルロン酸おすすめコスメまとめ&基礎知識

参考文献・出典(9件)
  1. Papakonstantinou E. ほか「Hyaluronic acid: A key molecule in skin aging」Dermato-Endocrinology, 2012;4(3):253-258.(総説):https://doi.org/10.4161/derm.21923
  2. Essendoubi M. ほか「Human skin penetration of hyaluronic acid of different molecular weights as probed by Raman spectroscopy」Skin Research and Technology, 2016;22(1):55-62.(ex vivoヒト皮膚試験):https://doi.org/10.1111/srt.12228
  3. Pavicic T. ほか「Efficacy of cream-based novel formulations of hyaluronic acid of different molecular weights in anti-wrinkle treatment」Journal of Drugs in Dermatology, 2011;10(9):990-1000.(ヒト無作為化比較試験, PMID:22052267):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22052267/
  4. Muhammad P. ほか「Effectiveness of topical hyaluronic acid of different molecular weights in xerosis cutis treatment in elderly: a double-blind, randomized controlled trial」Archives of Dermatological Research, 2024;316(6):329.(ヒト二重盲検無作為化比較試験):https://doi.org/10.1007/s00403-024-03003-2
  5. Jegasothy SM. ほか「Efficacy of a New Topical Nano-hyaluronic Acid in Humans」The Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology, 2014;7(3):27-29.(ヒト試験, PMID:24688623):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24688623/
  6. Kawada C. ほか「Ingestion of hyaluronans (molecular weights 800 k and 300 k) improves dry skin conditions: a randomized, double blind, controlled study」Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition, 2015;56(1):66-73.(ヒト二重盲検無作為化比較試験):https://doi.org/10.3164/jcbn.14-81
  7. Oe M. ほか「Oral hyaluronan relieves wrinkles: a double-blinded, placebo-controlled study over a 12-week period」Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 2017;10:267-273.(ヒト二重盲検無作為化比較試験):https://doi.org/10.2147/CCID.S141845
  8. Cyphert JM. ほか「Size Matters: Molecular Weight Specificity of Hyaluronan Effects in Cell Biology」International Journal of Cell Biology, 2015;2015:563818.(総説):https://doi.org/10.1155/2015/563818
  9. Meunier M. ほか「The anti-wrinkles properties of sodium acetylated hyaluronate」Journal of Cosmetic Dermatology, 2022;21(7):2749-2762.(ヒト試験・ex vivoヒト皮膚試験含む、原料メーカーGivaudan社研究者による報告):https://doi.org/10.1111/jocd.14539
ありす
コスメコンシェルジュ

美容、メイク、おしゃれ等にはまっている20代の3児のママ。 コスメレビュー、コスメ成分解析、コスメサブスク、ファッションレンタルなどの情報を発信しています。

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