コスメデコルテ ユース パワー エッセンス ローションを成分解析|黒麹発酵液62%×新リポソーム技術は価格に見合うのか

Instagram(@alice_kaiseki)で2.1万人にスキンケア情報を発信するコスメコンシェルジュエージェンシー(日本化粧品検定1級)のありすです✨

コスメデコルテから、2025年9月16日に「ユース パワー エッセンス ローション」が発売されました。まず150mL・税込16,500円で登場し、2026年7月1日には80mL・税込9,900円と250mL・税込24,200円のサイズが追加されています(出典1・3・9)。処方は3サイズとも共通です(出典1・2)。

このローションでコスメデコルテが前面に出しているのは、「天然由来黒麹発酵液62.65%×多重層バイオリポソーム美容水37.35%」という配合比です。しかもこの数字、パンフレットの隅に小さく書いてあるのではなく、ボトル本体に「KUROKOJI 62/LIPOSOME 37」とプリントされています(出典3・4)。コンセプトは「肌運命の軌道修正。若々しさの分岐点にアプローチする高機能・多機能化粧水」(出典3)。

250mLで24,200円。正直に言うと、化粧水としてはかなり思い切った価格です。だからこそ「この金額で何を買うことになるのか」を成分から見ておきたくなりました。今日はこのローションを、①メーカーは何と言っているか ②全成分表から確認できることは何か ③研究で分かっていることは何か ④裏づけの現在地はどこか、の順に見ていきますね。

ありす

配合比をボトルに刻んでしまうのって、けっこうな覚悟だと思うんです。あとから処方をいじりにくくなりますから。その分、中身を追いかけるこちら側としては見どころの多い1本でした。

ひとことで言うと

ありす

ひとことで言うと、「精製水で薄める」という化粧水の当たり前をやめて、黒麹の発酵液そのものを処方のベースに据えた化粧水です。全成分の1番目が発酵液で、「水」がようやく3番目に出てくる。この並びが、メーカーの言う62.65%という数字といちばん素直につながっているところだと思います。うるおいの土台から作り替えるタイプなので、乾燥やハリの物足りなさが気になり始めた方と相性がよさそうです。

このアイテムのポイント

  • 黒麹発酵液62.65%+リポソーム美容水37.35%=ちょうど100%。つまり「水に美容成分を足していく」のではなく、発酵液とリポソーム分散液だけで処方を組み立てているという意味になります(出典3)。
  • カプセルを作る材料が成分表にそろっています。[フィトステロールズ][水添リゾレシチン][水添レシチン]は、親水性多重層バイオリポソーム®の膜をつくるステロールとリン脂質。コーセーは1984年からリポソームを研究し、1992年からは「リポソーム」を名乗ることを許された化粧品として展開してきました(出典5)。
  • 原料の産地・品種・菌株名まで公開されています。黒麹発酵液(KUROKOJI®)は秋田県産の白色玄米「淡雪こまち」を、独自に選んだ黒麹菌「ACT D1597」で発酵・抽出したもの(出典3・4)。ここまで書く発酵成分はなかなかありません。

なお、このローションは医薬部外品ではなく一般化粧品なので、承認された効能をうたう「有効成分」の枠はありません。そのかわり全成分が配合量の多い順に並んでいるので、表示順から読み取れることが多いタイプです。メーカー側では「乾燥小ジワを目立たなくする」効能評価試験済みのほか、アレルギーテスト・スティンギングテスト・ノンコメドジェニックテストの実施が公表されています(出典3)。

基本情報

コスメデコルテ ユース パワー エッセンス ローション(150mL)の商品ビジュアル
ブランドコスメデコルテ(COSME DECORTE)/株式会社コーセー
価格・容量80mL 税込9,900円/150mL 税込16,500円/250mL 税込24,200円
発売日2025年9月16日(150mL)/2026年7月1日(80mL・250mL追加)
【はじめての方必読】当サイトの成分解析について
  • 成分解析は各成分の一般的な配合目的を記載したもので、製品の効果効能を保証するものではありません。
  • リニューアル等により全成分が変更される可能性があります。見つけた場合はお問い合わせフォームから教えて頂けると助かります。

メーカーが打ち出す2つの柱|黒麹発酵液62.65%×親水性多重層バイオリポソーム37.35%

黒麹発酵液62.65%と多重層バイオリポソーム美容水37.35%を大きな数字カードで示した図
コスメデコルテ公式発表の配合比をもとに作成(ありす作成)

まず、この2つの数字を足すとちょうど100%になります。ここが今回いちばん面白かったところです。

ふつうの化粧水は「精製水がベースにあって、そこに保湿剤や美容成分を溶かし込む」構造なので、全成分の1番目はたいてい[水]です。ところがこのアイテムは、1番目が[アスペルギルス培養物]=黒麹発酵液で、[水]は3番目。[BG]にすら抜かれています(出典1)。これは、処方の水分の大部分を「発酵液」と「リポソーム美容水」という2つの液体が担っていて、あとから足した精製水はごく一部、という読み方ができます。「62.65%+37.35%=100%」という表記とも、きれいに筋が通ります。

ひとつだけ、期待値の置きどころを合わせておきますね。62.65%というのは「発酵液という液体」の配合率であって、お米由来のエキス分(固形分)が62.65%入っているという意味ではありません。発酵液も水を多く含む液体です。ただ、精製水で希釈するかわりに発酵液をそのまま使うという設計は、原料コストの面でも製造管理の面でもラクな選択ではないので、そこにお金がかかっているのは確かだとみています。

ありす

配合比の数字そのものより、「全成分の3番目にやっと水が出てくる」ことのほうが私は驚きました。化粧水でこの並びはなかなか見ません。

黒麹発酵液(KUROKOJI®)──秋田県産「淡雪こまち」×独自黒麹菌「ACT D1597」

秋田県産の白色玄米「淡雪こまち」を独自黒麹菌ACT D1597で発酵させ、抽出・ろ過して黒麹発酵液になるまでの4ステップの図
メーカー公表情報をもとに作成(ありす作成)

メーカーの説明はこうです。黒麹発酵液(KUROKOJI®)は、秋田県産の白色玄米「淡雪こまち」を、独自に選定した黒麹菌「ACT D1597」で発酵・抽出した天然由来成分。470種以上のアミノ酸、ペプチド、ビタミンなどを含むとしています(出典3・4)。

「発酵エキス配合」とだけ書かれている化粧品が多いなかで、お米の品種名と、使った菌の株番号まで出してくるのはかなり踏み込んだ情報公開です。黒麹菌(Aspergillus属)は泡盛や焼酎の仕込みに使われてきた麹菌で、発酵の過程でクエン酸を多くつくるのが特徴。米を発酵させるとタンパク質がアミノ酸やペプチドに分解されますが、アミノ酸は角層の天然保湿因子(NMF)を構成する主要な成分でもあるので、うるおいやキメの方向に働く設計として理解しやすいところです。

裏づけの現在地も書いておくと、「ACT D1597」という菌株そのものについての学術論文や特許情報は、探した範囲では公開されていませんでした。ここは社内で積み上げてきた研究として受け止めるのが妥当なところです。ちなみに成分表の後ろのほうにいる[クエン酸][クエン酸Na]は、黒麹菌がクエン酸をつくる菌であることを考えると、発酵液そのもののpHを整えるための組み合わせとして自然な並びです。

ありす

品種と菌の株番号まで書いてあると、開発した人が語りたくてしかたないんだろうな、という感じが伝わってきます。私はこういう商品、けっこう好きです。

コスメデコルテだけが名乗れる「リポソーム」──40年の研究とSPring-8の測定結果

もうひとつの柱が、このローションで初採用された「親水性多重層バイオリポソーム®」です。公式によると、直径0.1〜0.3ミクロンの球状マイクロカプセルが1兆個規模(1回の使用量2.5mLあたりの概算値)で分散していて、水溶性の美容成分を角層細胞のすみずみまで届け、うるおいを長く保つ、と説明されています(出典1・3・4)。

ここで押さえておきたいのが、この技術が一夜でできたものではないという背景です。公式ブランドページには研究の沿革がそのまま載っていて、1984年に研究を開始 → 1992年に業界初のリポソーム認可を取得し「リポソーム」と名乗ることを許された化粧品に → 2021年に多重層バイオリポソーム® → 2022年にナイト多重層バイオリポソーム® → 2025年に化粧水用の親水性多重層バイオリポソーム®を新開発、という流れになっています(出典5)。「リポソーム」という言葉自体はいまやあちこちで見かけますが、それを商品名として名乗ってきた歴史がこのブランドにはある、ということですね。美容液のリポソーム アドバンスト リペアセラムは、その系譜のなかでも代表格のアイテムです(出典15)。

研究で分かっていること

コーセーの研究チームは2021年12月、第87回SCCJ(日本化粧品技術者会)研究討論会で「リポソーム製剤が形成するラメラ構造に着目した肌効果メカニズムの解明」を発表し、最優秀発表賞を受賞しています。大型放射光施設SPring-8とKEK-PFでのX線小角散乱測定によって、リポソームを塗ったあとの角層でラメラ構造由来のピークが増大することを確認した、という内容です(コーセー・黒木純子ほか、関西学院大学理学部との共同研究)(出典6・7・8)。※査読ジャーナルの論文ではなく学会発表ですが、著者・学会名はJ-GLOBALの文献情報でも確認できます。

「ラメラ構造」というのは、角層細胞のすきまを埋めている細胞間脂質が、水の層と脂質の層を交互に重ねたミルフィーユのように並んだ状態のこと。ここが整っているほど、水分が逃げにくくて外からの刺激も入りにくい肌になります(この構造とセラミドの関係はセラミドとは?種類・働き・選び方で詳しく書きました)。塗ったあとにその構造由来のピークが増えたという測定結果は、リポソームが角層の整列を助ける方向に働いていることを示す材料として、わりと強いほうだと思います。

ありす

大型放射光施設で角層を測る、というのはなかなかの本気度です。「浸透します」と言葉で書くかわりに、構造が変わったことを装置で見にいった研究、という理解でよさそうです。

カプセルを作っている3つの成分──フィトステロールズ・水添リゾレシチン・水添レシチン

親水性多重層バイオリポソームの断面と、角層のラメラ構造との重なりを示したレイヤー図
リポソームのラメラ構造研究をもとに作成(ありす作成)

では、そのカプセルは何でできているのか。成分表の14〜16番目に並ぶ[フィトステロールズ][水添リゾレシチン][水添レシチン]が、その役目を担う顔ぶれです。

[水添レシチン]は、大豆などのレシチンを水素添加して酸化しにくくしたリン脂質で、リポソームの二重膜そのものを形づくる主材。[水添リゾレシチン]は、そのレシチンから脂肪酸の鎖を1本外した「リゾ型」で、水になじみやすいのが特徴です。今回の技術名が「親水性」多重層バイオリポソームであることを考えると、このリゾ型を組み合わせて水溶性の成分を包みやすくしている、という読み方ができます。[フィトステロールズ]は植物由来のステロール類で、膜が崩れないよう安定させる役目。角層細胞間脂質のラメラ構造の形成にも関わる成分として、皮膚バリア研究の分野で広く扱われています。

研究で分かっていること

レシチン系リポソームの経皮送達については、CIR(米国化粧品成分審査機関)の安全性評価報告書に、マウス皮膚を使った試験で非閉塞条件下でも表皮下組織まで約30%が到達したという報告がまとめられています(出典10)。また2025年の研究では、マイクロ流体デバイスで作った極小のレシチンナノリポソームが経皮デリバリーの効率を高めたことが報告されています(出典11)。※いずれも素材・技術レベルの研究で、この化粧水そのものの試験ではありません。

これらの成分が成分表の後ろのほうにいることを気にされるかもしれませんが、カプセルの膜材はもともと少量で機能するようにつくられているものなので、この位置にあるのはごく自然です。むしろ「37.35%のリポソーム美容水」という表記は、カプセルそのものではなく、カプセルが分散した液体全体の比率だと読むのが妥当でしょう。

ひとつ言葉の整理をしておくと、化粧品で言う「浸透」は角層までの話です。真皮まで届くという意味ではないので、そこは期待の置きどころを合わせておいてくださいね。薬機法上のルールも含めて、化粧品の「浸透」はどこまで本当?でまとめています。

ありす

「リポソーム」の正体は、結局このリン脂質たちが作る膜のこと。名前だけが先行している技術ではなくて、材料がちゃんと成分表にいるタイプです。

全成分を解析|残る成分をひとつずつ見ていく

全19成分と、少なめです。高価格帯の化粧水というと美容成分がずらっと並ぶイメージがあるかもしれませんが、このローションはむしろ引き算のほうに寄っています。1成分ずつ見ていきますね。

YOUTH POWER COMPLEX(豆乳発酵液・コメヌカエキス・チャ葉エキス・グリセリン)

黒麹発酵液・リポソームに続く3つめの訴求が「YOUTH POWER COMPLEX」。メーカーは黒大豆豆乳発酵液・紫玄米ヌカエキス・玉露エキス・グリセリンを組み合わせた複合成分だと説明しています(出典3)。全成分表では、それぞれ[乳酸桿菌/豆乳発酵液][コメヌカエキス][チャ葉エキス][グリセリン]というINCI表示名で並びます。「紫玄米」や「玉露」といった原料のグレードは表示名からは読み取れないので、ここはメーカーの説明として受け取る部分になります。

[チャ葉エキス]は、茶葉(Camellia sinensis)由来のカテキンやフラボノイド、ビタミンCなどを含むエキス。この複合成分のなかでは、いちばん新しい裏づけデータを持っている成分です。

研究で分かっていること

Shillらが2025年にInternational Journal of Cosmetic Scienceで報告したヒト試験では、チャ葉エキスの局所塗布によって肌の水分量とバリア機能が改善し、継続使用で肌年齢の指標が下がったという結果が出ています(出典12)。培養細胞での抗酸化・抗炎症の評価と合わせて報告された、比較的新しい研究です。

[コメヌカエキス]は玄米を精米するときに出る米糠から取ったエキスで、ビタミンB群・E、γ-オリザノール、フェルラ酸などを含みます。日本メナード化粧品が2006年に出願した特許公開公報では、コメヌカエキスにグルタチオンレダクターゼの活性を高める作用があることが示されていて(出典13)、抗酸化の方向をサポートする成分として使われることが多い顔ぶれです。黒麹発酵液が「お米を発酵させたもの」であることを考えると、同じお米まわりで揃えてきた処方、という見方もできますね。

[乳酸桿菌/豆乳発酵液]は豆乳を乳酸菌で発酵させた成分。大豆イソフラボンは通常、糖がくっついた「配糖体」の形で存在するのですが、乳酸発酵によって糖が外れたアグリコン型に変わり、分子が小さく肌になじみやすくなるとされます。発酵の過程でアミノ酸や抗酸化ポリフェノールも生まれます。三省製薬が九州産業大学との共同研究でこの機序を検証した資料が公開されています(出典14)。ただしこのINCI名の成分は複数の原料メーカーが供給している汎用成分なので、このローションがどこの原料を使っているかまでは公開されていません。

ありす

黒麹発酵液・豆乳発酵液と、発酵まわりの成分が重なっているのがこの処方の性格。地味な顔ぶれに見えますが、チャ葉エキスにはヒト試験のデータもあって、脇役としては手堅いと感じています。

ベース・溶剤とpH調整──増粘ポリマーを使わずにとろみを出す設計

ここが個人的に「おっ」と思ったところです。このローションはとろみのあるテクスチャーなのに、カルボマーやキサンタンガムといった増粘ポリマーが1つも入っていません。とろみを作っているのは、[BG][プロパンジオール][グリセリン][ジグリセリン][DPG]という多価アルコールの重ねづけです。

  • [BG](2番目)……ブチレングリコール。保湿・溶剤・防腐サポートを兼ねる定番成分。水より上位という珍しい位置です
  • [水](3番目)……処方全体を調整するための追加分。大半の水分は発酵液とリポソーム美容水が持ち込んでいます
  • [プロパンジオール](4番目)……植物由来のグリコール系保湿剤。べたつきの少ないとろみをつくります
  • [エタノール](5番目)……植物エキスの可溶化・清涼感・防腐サポート(このあと書きます)
  • [グリセリン](6番目)……保湿成分の代表格。YOUTH POWER COMPLEXの構成成分でもあります
  • [ジグリセリン](7番目)……グリセリン2分子ぶんの構造。保湿力とべたつきにくさの両立役
  • [DPG](8番目)……ジプロピレングリコール。溶剤・保湿剤で、植物エキスの可溶化にも使われます
  • [クエン酸](12番目)・[クエン酸Na](13番目)……pH調整と緩衝。発酵液のpHを一定に保つ組み合わせです

増粘ポリマーは少量でしっかりとろみが出る便利な成分ですが、肌の上に膜が残る感じが苦手という方もいます。最近の高保湿化粧水はポリマーでとろみをつけるものが多いなかで、あえてグリコール類だけで質感を作っているのは、この処方のはっきりした個性だと思います。そのぶん多価アルコールの合計量は増えるので、しっとり感は強めに出ます。

増粘ポリマーでとろみを出す一般的な化粧水と、多価アルコールを重ねてとろみを出す処方の、肌へのなじみ方の違いを比較した図
全成分表をもとに作成(ありす作成)

どちらが優れているという話ではなくて、とろみの作り方が違えばなじみ方も変わる、ということですね。手のひらで少し温めてから押し込むようになじませると、このタイプのとろみはすっと入っていってくれます。

ありす

ポリマーのとろみと、グリコールのとろみは、つけたときの感触がけっこう違います。「化粧水のあとに膜が残る感じが苦手」という方は、こちらのほうが合うかもしれません。

防腐・香り

最後の3つは[フェノキシエタノール](17番目)[メチルパラベン](18番目)[香料](19番目)。フェノキシエタノールとパラベンの併用は、それぞれの配合量を抑えながら防腐力を確保するための標準的な組み合わせで、発酵由来の成分を多く含む処方では特に品質管理が重要になります。パラベンに反応した経験がある方は、成分表で確認してから選んでくださいね。

正直に気になる点

  • [エタノール]が19成分中5番目です。この化粧水は一般化粧品なので表示順=配合量順。水・BG・プロパンジオールに次ぐ位置なので、それなりの量が入っている可能性はあります。発酵液や植物エキスを溶かし込むためと、さっぱりしたなじみをつくるために選ばれているのだと思いますが、アルコールがしみやすい方は腕の内側で試してからのほうが安心です。アレルギーテスト・スティンギングテスト・ノンコメドジェニックテストは実施済みと公表されていますが、すべての方に刺激が起きないという意味ではありません(出典3)。
  • 「62.65%」は液体としての配合率です。さっき書いたとおり、お米由来のエキス分がその割合入っているという意味ではありません。数字の大きさに引っぱられず、「発酵液を処方のベースに使っている」という設計思想のほうを見るのが正確な読み方です。
  • 「シワが消える」タイプの効能はうたえない枠の商品です。このアイテムは医薬部外品ではなく一般化粧品なので、承認された効能を持つ「有効成分」の枠がありません。公表されているのは「乾燥小ジワを目立たなくする」効能評価試験済みという範囲(出典3)で、これは角層をうるおいで満たして小ジワを目立ちにくくする、という意味合いです。そのかわり刺激の強い成分に頼らず毎日たっぷり使える設計なので、日々のうるおいの底上げに期待するほうがかみ合うと思います。
ありす

気になる点は「アルコールが5番目」「62.65%という数字の読み方」「効能表示の範囲」の3つ。どれも処方の粗というより、買う前に期待の置きどころを合わせておきたいポイントです。

向いている人/使う前に確認したい人

🙆‍♀️ 向いていそうな人

  • 乾燥による小ジワ・くすみ・ハリ不足・毛穴の目立ちが気になり始めた30代後半〜の方(ブランドがいちばん狙っている層です)
  • 発酵コスメやリポソーム技術など、処方のこだわりそのものに価値を感じる方
  • 化粧水のあとすぐ乾いてしまう方 → 多価アルコールでしっとり感をしっかり作るタイプです
  • ポリマー特有の膜っぽさが苦手な方 → 増粘ポリマー不使用の設計です
  • まずは試してから決めたい方 → 80mL 税込9,900円のサイズが2026年7月から選べます(出典9)

🔍 使う前に確認したい人

  • アルコールがしみやすい方 → [エタノール]が配合順5番目です
  • パラベンを避けたい方 → [メチルパラベン]入りです
  • 香りが苦手な方 → [香料]入りです
  • さっぱり・さらさらの使用感が好きな方 → とろみがあり、しっとり感は強めに出ます
  • 使用感で選びたい方 → とろみの質感とアルコールの当たり方は好みが分かれるところなので、店頭やサンプルで一度確かめてからのほうが後悔がないと思います
ありす

がっつり発酵系のアイテムなので、好みははっきり分かれるところだと思います。でも合う人にとっては、手放せなくなるタイプの処方じゃないかなと。「うるおいの土台から底上げしたい」で選ぶとかみ合って、「さっぱり・アルコールなしがいい」で選ぶとずれます。期待の置きどころさえ合えば、価格に対して中身は丁寧な1本です。

よくある質問

Q. 「黒麹発酵液62.65%」って、そんなに入っていて大丈夫なんですか?
A. 発酵液は水を多く含む液体なので、イメージされているほど濃いエキスが62.65%入っているわけではありません。ふつうの化粧水が精製水で占めている部分を、発酵液が置き換えていると考えるのが近いです。だから「濃すぎて刺激になる」心配より、ベースそのものにお金をかけている処方と読むほうが実態に合っています。

Q. 敏感肌でも使えますか?
A. アレルギーテスト・スティンギングテスト・ノンコメドジェニックテストは実施済みと公表されています(すべての方に肌トラブルが起こらないわけではない、という通例の注記つき)(出典3)。ただ[エタノール]が配合順5番目で[香料]も入っているので、肌がゆらぎやすい時期は腕の内側で試してから顔に使ってくださいね。いきなり150mLではなく80mLから始められるのは助かるところです。

Q. この価格、結局なにに払っているんですか?
A. 成分表から読めるのは、①精製水で薄めずに発酵液をベースに使っていること ②リポソームのカプセル基剤(ステロール+リン脂質)をきちんと積んでいること ③原料の産地・品種・菌株を指定していることの3つです。どれも「配合成分の種類を増やす」タイプの豪華さではなく、ベースそのものを作り替える方向のコストのかけ方。逆に言うと、成分表をパッと見ただけでは19成分と地味に映るので、派手な成分リストを期待して買うとギャップがあります。テクスチャーと使い続けたときのうるおい感に価値を感じるかどうかが、判断の分かれ目になりそうです。

Q. 同じコスメデコルテのリポソーム美容液と一緒に使えますか?
A. どちらも同じリポソーム研究の系譜にあるアイテムなので、ライン使いは想定の範囲内です。美容液のほうの中身はリポソーム アドバンスト リペアセラムの成分解析に書きました。ちなみに同じコーセーでも、ONE BY KOSÉ ザ リンクレス ローションはカプセルを電気的に帯電させる「イオン化カプセル浸透技術」という別のアプローチをとっていて、同じ会社でもブランドごとに技術の切り口が違うのが読み比べると面白いところです。

まとめ

ありす

最後にまとめますね。「ユース パワー エッセンス ローション」は、黒麹発酵液を処方のベースそのものに据えて、コーセーが40年積み上げてきたリポソーム技術の最新形を重ねた化粧水。全19成分とシンプルですが、全成分の3番目にやっと[水]が出てくる並びが、この商品のすべてを語っていると思います。

リポソーム側には大型放射光施設での測定にもとづく学会発表という裏づけがあり、カプセルを作る材料も成分表できちんと確認できます。「成分の種類の多さ」ではなく「ベースの質」にお金を払うタイプの化粧水——そう理解して選べば、価格に納得できる人はきっといると思います。気になった方は、まず80mLサイズでとろみの質感とアルコールの当たり方を確かめてみてください。

全成分と特徴

成分名役割特徴
アスペルギルス培養物保湿・整肌(発酵)黒麹発酵液(KUROKOJI®)のINCI表示名。秋田県産「淡雪こまち」を黒麹菌ACT D1597で発酵。配合順1位
BG保湿・溶剤ブチレングリコール。水より上位という珍しい位置。防腐力を助ける働きも
水基剤処方調整用の追加分。水分の大半は発酵液とリポソーム美容水が担う
プロパンジオール保湿・溶剤植物由来のグリコール系保湿剤。べたつきの少ないとろみをつくる
エタノール溶剤・使用感調整植物エキスの可溶化と清涼感を担当。配合順5位
グリセリン保湿保湿成分の代表格。YOUTH POWER COMPLEXの構成成分でもある
ジグリセリン保湿グリセリン2分子ぶんの構造。しっとり感とべたつきにくさを両立
DPG保湿・溶剤ジプロピレングリコール。植物エキスの可溶化にも使われる
コメヌカエキス整肌・抗酸化米糠由来。グルタチオンレダクターゼ活性を高める報告がある
チャ葉エキス整肌・抗酸化茶葉由来。2025年のヒト試験で水分量・バリア機能の改善報告あり
乳酸桿菌/豆乳発酵液保湿・整肌(発酵)豆乳の乳酸発酵物。イソフラボンがアグリコン型に変わり肌なじみが上がる
クエン酸pH調整処方の酸性度を整える
クエン酸NapH緩衝クエン酸と対になり、pHを一定範囲に保つ
フィトステロールズ膜成分・保湿植物由来のステロール類。リポソーム膜の安定化とラメラ構造形成に関わる
水添リゾレシチン膜成分・乳化脂肪酸鎖が1本のリゾ型リン脂質。水になじみやすく「親水性」設計の鍵
水添レシチン膜成分・乳化リポソームの二重膜そのものをつくる主材。経皮送達の研究報告がある
フェノキシエタノール防腐広く使われる汎用の防腐剤
メチルパラベン防腐フェノキシエタノールと併用し、防腐力を分散させる設計
香料香り香りづけ。配合順は最後尾

※このアイテムは一般化粧品のため、全成分は配合量の多い順に表示されています(1%以下の成分は順不同)。配合量そのものは非公開です。正確な全項目は商品の全成分表示をご確認ください(出典1)。

特性タグ:一般化粧品/黒麹発酵液62.65%/親水性多重層バイオリポソーム®37.35%/発酵コスメ/エイジングケア/とろみ化粧水/増粘ポリマー不使用/エタノール配合/全19成分

参考文献・出典(15件)
  1. コスメデコルテ 公式製品ページ「ユース パワー エッセンス ローション(150mL/250mL)」(全成分表示・価格・容量の参照元。マイクロカプセル「1兆個」の記載も本ページ内):https://www.decorte.com/site/g/gJVXC/
  2. Maison KOSÉ 公式オンラインブティック 商品ページ(全成分表示の照合先。80mL版は https://www.decorte.com/site/g/gJVXB/):https://maison.kose.co.jp/site/cosmedecorte/g/gJVXC/
  3. コーセー ニュースリリース(PR TIMES)「コスメデコルテ ユース パワー エッセンス ローション」(コンセプト・黒麹発酵液62.65%×多重層バイオリポソーム美容水37.35%・KUROKOJI®の原料と菌株・YOUTH POWER COMPLEXの構成・親水性多重層バイオリポソーム®の説明・各種テスト実施・環境配慮パッケージ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000695.000041232.html
  4. 株式会社コーセー 企業ニュースリリース(同内容・公式コーポレートサイト。ボトル本体の「KUROKOJI62/LIPOSOME37」表記):https://koseholdings.co.jp/ja/kose/news/9404/
  5. コスメデコルテ 公式ブランドページ「生態研究40年。DECORTÉが誇るリポソーム研究」(1984年研究開始/1992年業界初のリポソーム認可/2021年多重層バイオリポソーム®/2022年ナイト多重層バイオリポソーム®/2025年親水性多重層バイオリポソーム®という沿革):https://www.decorte.com/site/s/liposome-science.aspx
  6. コーセー「研究の強み|リポソーム」(SPring-8・KEK-PFでのX線小角散乱測定によるラメラ構造の解析、SCCJ最優秀発表賞の記載):https://koseholdings.co.jp/ja/kose/research/secretstory/liposome/
  7. コーセー ニュースリリース(PR TIMES)「第87回SCCJ研究討論会にて最優秀発表賞を受賞」(2021年12月・「リポソーム製剤が形成するラメラ構造に着目した肌効果メカニズムの解明」):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000297.000041232.html
  8. J-GLOBAL 文献情報(ここで挙げた学会発表の著者・所属・学会情報。コーセー 黒木純子ほか、関西学院大学理学部との共同研究):https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202202243490177891
  9. 新サイズ発売情報(2026年7月1日・80mL 9,900円/250mL 24,200円の追加):https://mcs-cosme.com/cosmeticsinfo/
  10. 「Final Report on the Safety Assessment of Lecithin and Hydrogenated Lecithin」International Journal of Toxicology. 2001;20(Suppl 1):21-45.(安全性評価報告書/レシチン系リポソームの経皮送達に関する試験のレビューを含む。PMID: 11358109):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11358109/
  11. 「High-Throughput Microfluidic Production of Ultrasmall Lecithin Nanoliposomes for High-Efficacy Transdermal Delivery and Skin-Aging Treatment」Biomedicines. 2025.(レシチンナノリポソームの経皮デリバリー効率/培養細胞・動物):https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11853437/
  12. Shill DD ほか「Pleiotropic effects of a Camellia sinensis leaf extract on in vitro and in vivo skin health characteristics」International Journal of Cosmetic Science. 2025.(ヒト試験+培養細胞。PMID: 40391588):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40391588/
  13. 日本メナード化粧品「グルタチオンレダクターゼ活性増強剤」特許公開公報 特開2006-111545(コメヌカエキスの抗酸化関連作用。関連:特開2007-051114):https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
  14. 三省製薬 研究レポート「豆乳発酵液のエイジングケア効果」(九州産業大学との共同研究。乳酸発酵によるイソフラボンのアグリコン化と機序の検証):https://www.sansho-pharma.com/lab/88
  15. コーセー ニュースリリース(PR TIMES)「コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアセラム」(多重層バイオリポソーム®の技術背景):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000227.000041232.html
ありす
コスメコンシェルジュ

美容、メイク、おしゃれ等にはまっている20代の3児のママ。 コスメレビュー、コスメ成分解析、コスメサブスク、ファッションレンタルなどの情報を発信しています。

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