インフィニティ ザ モイスチュア コンセントレート リペアを成分解析|ライスパワー®No.11αで読み解く「ハリ満ち肌」の中身

Instagram(@alice_kaiseki)で2.1万人にスキンケア情報を発信するコスメコンシェルジュエージェンシー(日本化粧品検定1級)のありすです✨

インフィニティ(コーセー)の導入美容液「モイスチュア コンセントレート」が、2026年8月21日に10年ぶりのフルリニューアルを迎えました。新しい名前は『ザ モイスチュア コンセントレート リペア』。50mLで9,570円(税込)という、けっこう勇気のいる価格帯の薬用導入美容液です(出典1・出典2)。

今回の目玉は、有効成分が[ライスパワー®No.11α]に切り替わったこと。コーセーは「コーセー初 ライスパワー®No.11α高濃度※1配合」と打ち出しています(※1は、ライスパワー®No.11に換算した場合のコーセー内比)(出典1)。

正直に言うと、私がこの商品でいちばん気になったのは「高濃度」という言葉のほうでした。何と比べて高濃度なのか、その中身はどこまで公開されているのか。1万円近い美容液なら、そこはきちんと確かめてから選びたいですよね。

この記事では、①メーカーが何と言っているか ②全成分表から確認できること ③研究データはどこまで分かっているか、の順に見ていきますね。

ありす

9,570円に納得できるかどうかは、「ライスパワー®No.11αって何なの?」が分かるかどうかでほぼ決まると思います。まずはそこから、ていねいにほどいていきますね。

ひとことで言うと

ありす

ひとことで言うと、「うるおいを与える」のではなく「肌が自分でうるおいを抱える力」を立て直しにいく薬用導入美容液です。有効成分のベースになっている[ライスパワー®No.11]は、日本で唯一「皮膚水分保持能の改善」という効能で承認された医薬部外品有効成分。20年以上の研究の蓄積がある成分で、土台としてはかなり堅いです。今回はその濃縮版[ライスパワー®No.11α]をコーセーが初めて採用しました。ただし「何倍濃縮か」やNo.11α単体の試験データは公開されていないので、「高濃度」はあくまでメーカー公表値。そこに新配合の[N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン][プルーン酵素分解物]と、浸透促進役の[オレイン酸エチル]が加わって、訴求が「うるおい」から「ハリ・弾力・ツヤ」まで広がった、というのが4代目の姿です。

このアイテムのポイント

  • 有効成分は[ライスパワー®No.11α]。ベースの[ライスパワー®No.11]は、2001年に「皮膚水分保持能の改善」で承認された、この効能を持つ日本で唯一の医薬部外品有効成分です(出典4・出典5)。
  • 「高濃度」はライスパワー®No.11に換算したコーセー内比(出典1)。No.11α単体の独立した試験や濃縮倍率は公開されておらず、ここはメーカー公表値として受け取るのが正確です。
  • 2004年から22年続くロングセラーの、10年ぶり・4代目。[N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン][プルーン酵素分解物]を新配合し、訴求が「水分保持能」から「ハリ・弾力・ツヤ」に広がりました(出典2)。

基本情報

インフィニティ ザ モイスチュア コンセントレート リペア(50mL)の商品ビジュアル
ブランドインフィニティ/コーセー
価格・容量50mL 9,570円(税込)/つめかえ用50mL 9,350円(税込)/14mL 1,430円(税込)
発売日2026年8月21日(14mLは2026年7月1日に数量限定で先行発売)

使い方は「洗顔後の清潔な肌に、手のひらにポンプを2〜3回押した量をとり、肌にていねいになじませる」(出典1)。化粧水より前に使う、いわゆる1st美容液(導入美容液)というポジションです。

【はじめての方必読】当サイトの成分解析について
  • 成分解析は各成分の一般的な配合目的を記載したもので、製品の効果効能を保証するものではありません。
  • リニューアル等により全成分が変更される可能性があります。見つけた場合はお問い合わせフォームから教えて頂けると助かります。

コーセー初、有効成分をライスパワー®No.11αに刷新──「高濃度」の中身

このアイテムは医薬部外品(薬用美容液)です。医薬部外品には、国(厚生労働省)が効能を認めた有効成分と、それ以外のその他の成分という区分があります。このアイテムの有効成分は[ライスパワー®No.11α]ひとつ(出典1)。

先に読み方の前提をひとつだけ。化粧品の全成分表示は配合量の多い順に並びますが、医薬部外品にはその決まりがありません。この記事でも、並び順から「これは多い・少ない」といった推測はしないでおきますね(この美容液の表示が実際どう並んでいるかは、後半の「全成分をカテゴリ別に解説」で触れます)。

ベースのライスパワー®No.11はどんな成分?

ライスパワーNo.11が発酵から水分保持能の改善につながる4ステップの図解

[ライスパワー®No.11]は、香川県の酒造メーカー・勇心酒造が開発した発酵素材です。米(米ぬか)を麹菌・酵母・乳酸菌などで発酵・熟成させて得られる液体で、開発元は「肌が本来持っている力(皮膚水分保持能)を改善する、日本で唯一の医薬部外品有効成分」と説明しています(出典4)。2001年に厚生労働省から医薬部外品有効成分として承認されました(出典5)。

ここがこの成分のいちばん面白いところなのですが、「水分保持能を改善する」というのは、外から水分を足してうるおわせる、という話ではありません。肌のいちばん外側にある角層は、レンガの壁にたとえるとレンガが角層細胞、その間を埋めるモルタルが細胞間脂質(セラミドなど)です。このモルタルを肌が自分で作り出す働きそのものを後押しする、というのがライスパワー®No.11の説明されている筋道なんですね。

コーセー自身も、自社の成分解説記事のなかでこの成分をセラミドと結びつけて紹介しています(出典6)。「保湿成分を塗る」と「保湿する力を取り戻す」は、似ているようで狙っている場所がぜんぜん違います。慢性的にカサつく肌、何を塗ってもすぐ乾く肌には、後者のアプローチのほうがかみ合うことがあります。

研究で分かっていること

開発元である勇心酒造・天然物薬用研究会の公表資料では、ライスパワー®No.11について、継続して塗ることで角層の水分保持能が高まったという試験(15名を対象に、塗らない場合との比較で2週間後・4週間後に上昇)や、人工的に荒れさせた肌でセラミドの産生が基剤だけの場合より増えたという試験(10名対象)が紹介されています。また、アトピー性皮膚炎の方を対象に、徳島大学医学部皮膚科ほか複数の医療機関で臨床試験が行われたとの記述もあります(出典5)。
ただし、これらの試験の著者名・掲載誌・巻号といった完全な書誌情報は、今回の調査では特定できませんでした。査読論文として引用できる形ではないので、「開発元が公表している試験データ」という位置づけで読んでくださいね。

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「水分を足す」じゃなくて「うるおいを抱える力そのものを底上げする」。この効能で国の承認を受けている成分は、今のところライスパワー®No.11だけです。データの出どころが開発元中心なのは先に書いておきますが、承認を通っているという事実自体は、かなり大きな裏づけだと思います。

No.11αならではの「高濃度」の実際

では、今回の[ライスパワー®No.11α]は何が違うのか。コーセーの説明はシンプルで、「ライスパワー®No.11を濃縮したもの」で、コーセーでの採用は今回が初めて、というものです(出典2)。有効成分としての効能は「肌の水分保持能を改善する」で、「セラミドを生み出す力を高め、乾燥・肌あれ・くすみの気にならない、すこやかな肌に導く」と紹介されています(出典1・出典2)。

そして「高濃度」には、公式にきちんと注釈が付いています。※1 ライスパワー®No.11に換算した場合のコーセー内比(出典1)。つまり「他社製品より濃い」ではなく、コーセーの製品の中で比べたときにいちばん濃い、という意味の表記です。こういう注釈は小さい文字で書かれていることが多いので、見つけたら読んでおくと期待値がずれずにすみます。

裏づけの現在地もあわせて書いておきますね。今回、コーセーの研究発表一覧や開発元の勇心酒造のサイトを一通り確認しましたが、No.11α単体を対象にした独立の臨床試験や学会発表は見つけられませんでした。「No.11の◯倍濃縮」という具体的な数値も、一次情報では確認できていません(Web上には数値を挙げた記述も見かけますが、公式のソースにたどり着けなかったので、この記事では使いません)。

とはいえ、これは「怪しい」という話ではないと思っています。ベースになっているNo.11そのものには20年以上の使用実績と国の承認があり、その濃縮版という位置づけは筋が通っています。今の段階では「土台の成分は確かで、濃さの部分はメーカーの公表値」と分けて受け取るのが、いちばんフェアな読み方です。

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「高濃度」の※印は、コーセー社内での比較という意味でした。数字が伏せられていると身構えたくなりますが、注釈をきちんと書いているのは誠実な出し方だと感じています。成分そのものの信頼度は、No.11の実績で十分に高いです。

浸透マイクロミスト処方と新配合オレイン酸エチルが作る「うるおいの通り道」

角層がやわらかくほぐれてうるおい成分がなじむイメージ図。表皮・真皮より奥には届かないことを示す

もうひとつ、コーセーが今回打ち出しているのが「浸透マイクロミスト処方」という処方コンセプトです。説明はこうです。「浸透促進成分『オレイン酸エチル』を新配合し、肌をやわらかくととのえ、うるおいの通り道をつくる」(出典2)。全成分表にも[オレイン酸エチル]があり、これは今回のリニューアルで新しく加わった成分です。

[オレイン酸エチル]は、オレイン酸とエタノールから作られる油性の成分です。化粧品の世界では20年以上前から、油分を溶かし込む可溶化剤や、さらっとした感触のエモリエント(皮膚をやわらげる油分)として使われてきました(出典10)。皮脂となじみがよく、重たいベタつきが出にくいのが持ち味です。

「浸透促進」と聞くとドキッとしますが、化粧品でこの言葉が使われるときは、角層をやわらかくほぐして、後から入ってくる成分がなじみやすい状態を作るという意味合いがほとんどです。化粧品・医薬部外品が届くと言える範囲は角層まで、というルールも変わりません(このあたりの線引きは化粧品の「浸透」はどこまで本当?にまとめています)。

裏づけの現在地としては、「浸透マイクロミスト処方」という処方名そのものについての第三者データは見当たりませんでした。これはコーセー独自の処方コンセプト名として受け取るのが正確です。ただ、導入美容液というカテゴリは「このあとに使う化粧水・乳液がなじみやすい肌を作る」ことが仕事なので、角層をやわらげる油分を新しく入れてきたのは、役割としてはとても素直な設計だと思います。

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「浸透」といっても、肌の奥に押し込む話ではなく、角層をやわらかくして受け入れやすくする役目です。導入美容液の仕事そのものなので、ここに新しい油分を足してきたのは納得の一手でした。

22年のロングセラーが10年ぶり・4代目へ──訴求は「ハリ・弾力・ツヤ」まで拡大

3代目アドバンスト モイスチュアコンセントレートと4代目リペアの処方・訴求の違いを比較した図解

そもそも「モイスチュア コンセントレート」は、2004年の初代誕生から22年続いているインフィニティの看板アイテムです。コーセーは「圧倒的なシェアとリピート率を誇る」ロングセラーと説明していて、このアイテムは3代目「アドバンスト モイスチュア コンセントレート」から10年ぶりの刷新となる4代目にあたります(出典2)。

10年ぶりというのは、スキンケアのリニューアル周期としてはかなり長いほうです。毎年のように処方が変わるアイテムではなく、腰を据えて作り直してきたシリーズ、という見方ができます。インフィニティというブランド自体、公式サイトで掲げているのが「ハリ・弾力・ツヤ。美肌の総てを。」「コーセーの最先端皮膚科学」という言葉(出典3)。今回の刷新は、その看板にこの1本を近づける作業だったのだと思います。

刷新の背景としてコーセーが挙げているのは、年齢による肌悩みの変化です。「40代前半に比べ、50代前半には、『シワ』『ハリのなさ』等のエイジング悩みが急上昇。年齢とともに肌表皮の『水分保持能が低下』し、慢性的な乾燥状態を引き起こしている」(出典2)。乾燥とハリ不足を別々の悩みとしてではなく、「乾燥が続いた結果としてハリが落ちる」ひとつながりの問題として捉えているのが、この製品の設計思想だとみています。なお、この調査の母数や方法の詳細はリリースには書かれていないので、メーカーの知見として受け取っておくのがよさそうです。

新配合のN-アセチル-L-ヒドロキシプロリン・プルーン酵素分解物とは

コーセーは今回のリニューアルで「アセチルアミノ酸(N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン)や、プルーンエキスなどの保湿成分を新配合」して「うるおい密度をアップ」させたと説明しています(出典2)。全成分表でも、[N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン]と[プルーン酵素分解物]が確認できます。

[N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン]は、コラーゲンに特徴的に含まれるアミノ酸「ヒドロキシプロリン」にアセチル基をつけた成分です。アセチル化によって油になじむ性質が加わり、角層になじみやすくなるのが狙い。角層の水分量を増やす保湿作用に加えて、真皮でコラーゲンを作る細胞(線維芽細胞)の増殖やコラーゲン産生を促す働きも報告されています(出典9・出典10)。

「ハリ・弾力」まで訴求を広げるにあたって、コラーゲンの材料そのものに近い成分を足してきたのは、筋が通った選び方だと思います。ただし線維芽細胞に関するデータは培養細胞レベルの研究が中心で、この美容液を塗ってハリが出たという臨床データではありません。そこは切り分けて受け取ってくださいね。

[プルーン酵素分解物]は、プルーンの果肉を酵素で分解して得られる成分です。保湿作用のほか、できてしまったメラニンが表皮細胞へ受け渡されるのを抑える方向の働きも期待されている成分として紹介されることがあります。公式が「乾燥・肌あれ・くすみの気にならない肌へ」と書いているうちの、「くすみ」の部分を担当している成分と考えると分かりやすいです。なおこのアイテムの有効成分は[ライスパワー®No.11α]ひとつなので、美白(メラニンの生成をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ)の効能をうたう製品ではありません。あくまで「その他の成分」として、うるおい由来の明るさを支える立ち位置です。

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新配合の2つは、ハリ担当(N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン)とくすみ担当(プルーン酵素分解物)。「うるおいだけの美容液」から一歩広げるための人選、という感じがします。ただ美白の効能表示がある製品ではないので、そこは期待しすぎないようにしたいところ。

全成分をカテゴリ別に解説

医薬部外品の全成分表示が役割ごとのグループに分かれ、各グループ内が五十音順(アルファベット順)に並んでいることを示す図解

ここからは、有効成分以外の顔ぶれも見ていきますね。その前にひとつ、表示の並び方について面白い点があります。この美容液の「その他の成分」を眺めると、[アルカリゲネス産生多糖体][エーデルワイスエキス][エクトイン][センキュウ水][ツボクサエキス]…と、あきらかに五十音順で並んでいる区間があります。さらにその後ろにも[エデト酸二ナトリウム][オレイン酸エチル][キサンタンガム]…と、もう一度五十音順が始まる区間が続きます。

つまりこの表示は、役割ごとにグループを分けて、その中を五十音順に並べた書き方だということ。医薬部外品は表示順=配合量順ではないというルールを、実際の成分表がはっきり示してくれている例です。「上のほうにあるから多い」という読み方は、この製品では成り立ちません。

保湿・整肌成分(エクトイン・アルカリゲネス産生多糖体など)

まず目を引いたのが[エクトイン]です。高温・高塩分・乾燥といった過酷な環境で生きる微生物が、自分の細胞を守るために作り出す物質を原料化したもので、比較的新しいながら研究の蓄積が進んでいる保湿成分です。

研究で分かっていること

エクトインの働きを総説としてまとめた論文では、エクトインが水分子をまとった状態で存在することで細胞膜やタンパク質を安定化させること、乳液に配合した試験で経表皮水分蒸散量(肌から逃げていく水分の量)が抑えられたこと、紫外線によるダメージから細胞を保護する作用などが報告されています(Graf R, Anzali S, Buenger J, Pfluecker F, Driller H. “The multifunctional role of ectoine as a natural cell protectant.” Clin Dermatol. 2008;26(4):326-333/出典7)。また、バリア機能が低下した炎症性の皮膚疾患に対する外用エクトインの効果を集めた系統的レビューも発表されていて、乾燥・バリアケアの分野で臨床的な検討が続いている成分です(出典8)。

エクトインは、est(エスト)ザ リップセラムのような、うるおいを長く保つことを狙った製品でも主役級に使われている成分です。このアイテムでは有効成分ではありませんが、ライスパワー®No.11αが「肌の力を立て直す」担当なら、エクトインは「今あるうるおいを逃がさない」担当という役割分担で読むとしっくりきます。

そのほかの保湿チームはこんな顔ぶれです。

  • [濃グリセリン][グリセリン]…保湿剤の代表格。空気中の水分を引き寄せて、角層の水分保持を助けます。
  • [アルカリゲネス産生多糖体]…Alcaligenes latusという細菌の培養で得られる多糖体。高い吸水性を持ち、肌の表面に薄い膜を作って乾燥を防ぐ働きが知られています(出典10)。
  • [1,3-ブチレングリコール][1,3-プロパンジオール]…べたつきにくい多価アルコール。保湿とあわせて、防腐システムを支える役割も兼ねます。
  • [N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン][プルーン酵素分解物]…今回の新配合コンビ。前の章で解説したとおりです。
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有効成分が「肌の力を立て直す」側、エクトインやグリセリンが「今のうるおいを守る」側。両方そろっているので、効いてくるまでの期間もスカスカにならずに済みそうです。

植物由来エキス(エーデルワイス・ツボクサ・レイシなど)

この価格帯らしく、植物エキスもしっかり入っています。6種類が並んでいるので、それぞれの役どころを見ておきますね。

  • [エーデルワイスエキス]…スイスアルプスの高山植物から得られるエキス。クロロゲン酸やタンニンを含み、抗酸化の方向の働きが報告されています(出典10)。
  • [ツボクサエキス]…いわゆる「CICA」の主役。アジアチコシドなどを含み、肌のコンディションを整える目的で使われます(成分の詳しい中身はCICA(ツボクサエキス)とは?にまとめています)。
  • [テンニンカ果実エキス]…東南アジア原産のフトモモ科植物の果実エキス。ピセアタンノールなどのポリフェノールを含みます。
  • [レイシエキス]…霊芝(マンネンタケ)由来。β-グルカンを含み、保湿・抗酸化の方向で使われます(出典10)。
  • [ドクダミエキス]…日本で古くから使われてきた和漢の植物エキス。整肌目的の定番です(ドクダミ由来の成分を掘り下げたAnua ドクダミ77 ヒアルロン スージングトナーの解析もどうぞ)。
  • [センキュウ水]…セリ科センキュウの根茎から得られる水性のエキス。漢方由来の原料として、整肌目的で配合されます。

並べてみると、抗酸化(エーデルワイス・テンニンカ・レイシ)と整肌(ツボクサ・ドクダミ・センキュウ)でバランスよく散らしてあるのが分かります。医薬部外品の効能を担うのはあくまで有効成分なので、これらは「土台を心地よく整える脇役」として見るのが妥当です。とはいえ、脇役にここまで手数をかけられるのは価格帯の余裕でもあると思います。

エモリエント・乳化剤・防腐剤など

残りは処方を支える裏方チームです。

  • [水素添加大豆リン脂質]…大豆由来のリン脂質を安定化させたもの。細胞膜にも似た構造を持ち、肌なじみのよい油性成分として、また乳化の安定にも働きます。
  • [コレステロール][フィトステロール]…どちらも角層の細胞間脂質にもともと含まれる仲間の成分。うるおいの膜を整える方向で使われます。
  • [d-δ-トコフェロール]…ビタミンEの一種。酸化防止とエモリエントを兼ねます。
  • [モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)]…非イオン界面活性剤。油分を水になじませて処方を安定させます。
  • [キサンタンガム]…微生物由来の増粘多糖。とろみのある感触をつくります。
  • [クエン酸][リン酸一水素ナトリウム]…pH調整剤。[エデト酸二ナトリウム]は金属イオンを封じるキレート剤で、品質の劣化を防ぎます。
  • [ピロ亜硫酸ナトリウム]…酸化防止剤。亜硫酸塩の一種です。
  • [フェノキシエタノール][メチルパラベン]…防腐剤。国内外で広く使われており、規定濃度内での使用は安全性の評価が積み上がっている組み合わせです。

注目したいのは[水素添加大豆リン脂質][コレステロール][フィトステロール]の3つです。これらは角層の細胞間脂質と近い性質を持つ成分で、「肌がセラミドを作る力を高める」という有効成分の狙いと、方向がそろっています。裏方の顔をしていますが、処方の物語としてはちゃんとつながっている顔ぶれだと思いました。

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裏方まで見ると、角層の脂質に近い成分をちゃんと入れてきているのが分かります。有効成分を立てるための土台づくりまで手を抜いていない、というのが全成分を眺めた率直な感想でした。

正直に気になる点

エタノールが表示の前のほうにある──ただし順位から濃度は読めない

全成分表を見ると、[エタノール]が3番目に書かれています。ただ、前の章で見たとおり、この製品の表示は役割ごとのグループ+五十音順で並んでいて、配合量の多い順ではありません。なので「3番目だから多い」とは言えないんですね。

エタノールが処方に入る理由はいくつかあります。さっぱりした使用感を作る、油性の成分を水に溶け込ませる、防腐を助ける、といった役割です。この美容液は[オレイン酸エチル]や[水素添加大豆リン脂質]といった油性成分を含みながら、みずみずしいジェル状のテクスチャーに仕上げられています(出典1)。その感触を成立させるために、溶かし込む役が必要だったという読み方はできると思っています。

とはいえ、エタノールが苦手な肌質の方がいるのも事実です。アルコールでピリッとした経験がある方は、いきなり顔全体ではなく、腕の内側などで試してから使うのが安心だと思います。14mLの小さいサイズが用意されているので、そこから始めるという手もありますね。

香料・メチルパラベン配合。気になる人は先に確認を

[香料]が入っているので、無香料でそろえたい方には向きません。防腐は[フェノキシエタノール]と[メチルパラベン]の組み合わせです。どちらも配合できる上限が定められていて、その範囲での使用は安全性の評価が積み上がっている成分ですが、パラベンで反応した経験がある方だけは頭の片隅に置いておいてくださいね。

9,570円という価格を、どう受け止めるか

ここがいちばん悩ましいところだと思います。50mLで9,570円、1日2回使えば1〜2か月で1本というペースです。

プラスに見られる材料は、有効成分が国の承認を受けた「水分保持能の改善」という、他にない効能を持つ成分であること。そして脇を固める成分にも、エクトインや角層脂質に近い油性成分など、きちんとお金のかかっている顔ぶれが並んでいることです。

一方で、はっきり書いておくと、「No.11αだからここまで良くなる」という上乗せ分を示すデータは、今のところ公開されていません。ライスパワー®No.11を使ったスキンケアは開発元の勇心酒造自身も展開しており(出典4)、価格帯には幅があります。「ライスパワー®No.11を試してみたい」が目的なら、まず手の届きやすいところから入るという選び方もありますし、「インフィニティの処方全体(浸透マイクロミスト処方・新配合の保湿成分・使用感)ごと欲しい」ならこの美容液を選ぶ意味がある、という整理になると考えています。

もうひとつ。水分保持能の改善は、塗った翌朝に別人になるタイプの効能ではありません。2週間・4週間と続けてはじめて数字が動く種類の話なので、14mLで様子を見て、合いそうなら50mLへ、という進め方がいちばん失敗しにくいと思います。

ありす

気になる点を探すと、出てきたのは「エタノールと香料が苦手な人は注意」と「価格に対して、No.11α固有のデータがまだ無い」の2つでした。処方そのものにケチをつけたくなるところは、ほとんどありません。あとは1万円を何に払うか、という自分の優先順位の問題だと思います。

こんな人に向いている/確認しておきたい人

🙆‍♀️ 向いていそうな人

  • 何を塗ってもすぐ乾く、慢性的なカサつきを何とかしたい人
  • 40代以降で、乾燥からくる「ハリのなさ」が気になり始めた人
  • 保湿成分を足すケアに物足りなさを感じ、医薬部外品の有効成分で攻めたい人
  • 化粧水の前に1本足して、その後のスキンケアのなじみを底上げしたい人
  • 10年ぶりのリニューアルを、腰を据えて作られた証拠として評価したい人

🔍 事前に確認しておきたい人

  • アルコールでピリつく経験がある人 → [エタノール]配合。14mLサイズか腕の内側で試してから
  • 無香料でそろえたい人 → [香料]が入っています
  • できてしまったシミを薄くしたい人 → 有効成分は水分保持能の改善のみ。美白の効能表示がある製品ではありません
  • すぐに手ごたえがほしい人 → 水分保持能の改善は継続が前提。数週間単位で見る効能です
  • コスパ最優先の人 → 50mLで9,570円。まず14mL(1,430円)から試すのが現実的です
ありす

「乾燥の根っこから立て直したい」で選ぶと、いちばんかみ合う1本です。逆に「今すぐツヤが出る」「シミが薄くなる」を期待すると方向がずれます。導入美容液という名前どおり、ここから積み上げる人のためのアイテムですね。

よくある質問

Q. ライスパワー®No.11αは、無印のNo.11の何倍濃いの?
A. 公開されていません。コーセーの表記は「ライスパワー®No.11に換算した場合のコーセー内比で高濃度」までで、倍率の数字は出ていません(出典1)。開発元の勇心酒造のサイトにも、No.11α固有の濃縮倍率の記載は見当たりませんでした(出典4)。ネット上には具体的な倍率を書いている記事もありますが、公式のソースにたどり着けなかったので、この記事では使っていません。今後コーセーから学会発表などが出てきたら、追記しますね。

Q. どれくらい続ければいいの?
A. 開発元が公表しているライスパワー®No.11の試験では、変化が確認されているのは継続して塗った2週間後・4週間後というタイミングでした(出典5)。肌が自分でうるおいを抱える力を立て直す、という種類の効能なので、どうしても時間がかかります。まずは1本使い切るくらいの気持ちで、朝晩続けてみるのがおすすめです。

Q. 敏感肌でも使える?
A. 低刺激設計をうたった製品ではなく、[エタノール][香料][メチルパラベン]が配合されています。どれも一般的な配合ですが、これらで反応した経験がある方は、まず腕の内側で試してから顔に使ってくださいね。[ツボクサエキス][ドクダミエキス]など植物エキスも複数入っているので、植物由来の成分で反応が出たことがある方も、全成分表をひととおり確認してからが安心です。心配な場合は14mLサイズから始められます。

まとめ

ありす

最後にまとめますね。インフィニティ ザ モイスチュア コンセントレート リペアは、2026年8月21日に10年ぶりのフルリニューアルを迎えた薬用導入美容液。有効成分は[ライスパワー®No.11α]で、ベースの[ライスパワー®No.11]は「皮膚水分保持能の改善」という効能で承認された、日本で唯一の医薬部外品有効成分です。うるおいを与えるのではなく、肌がセラミドを作る力そのものを立て直しにいくのが特徴。新配合の[N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン][プルーン酵素分解物]、浸透促進役の[オレイン酸エチル]が加わり、訴求は「ハリ・弾力・ツヤ」まで広がりました。一方で「高濃度」はコーセー内比の公表値で、No.11α単体の試験データはまだ公開されていません。

1万円近い美容液を前にしたとき、私が確かめたいのは「その値段の理由が、成分表と公表情報から説明できるか」です。このアイテムの場合、有効成分そのものに国の承認という強い裏づけがあり、脇を固める成分にもきちんとお金がかかっている。そこは胸を張れる内容だと思いました。

そのうえで言うと、「αだからこれだけ違う」の部分は、まだデータを待っている段階です。だからこそ、いきなり50mLに飛び込むより、14mLで自分の肌との相性を見てから決めるのが賢い買い方だと受け止めています。ライスパワー®No.11αについて新しい研究発表が出てきたら、この記事にも追記しますね。

全成分と特徴

成分名役割特徴
ライスパワー®No.11α有効成分(水分保持能の改善)米を発酵させた素材の濃縮版。肌がセラミドを生み出す力を高め、水分保持能を改善する
精製水基剤処方のベースとなる水
1,3-ブチレングリコール保湿・溶剤べたつきにくい多価アルコール。防腐システムを支える役割も兼ねる
エタノール溶剤・可溶化さっぱりした感触をつくり、油性成分を溶かし込む。苦手な人は要確認
1,3-プロパンジオール保湿・溶剤さらっとした感触の多価アルコール
濃グリセリン保湿保湿剤の代表格。空気中の水分を引き寄せる
水素添加大豆リン脂質エモリエント・乳化大豆由来のリン脂質。肌なじみがよく、乳化の安定にも働く
N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン保湿(新配合)コラーゲン由来アミノ酸の誘導体。角層水分量を増やす作用のほか、線維芽細胞への作用も報告
d-δ-トコフェロール酸化防止・エモリエントビタミンEの一種。処方の酸化を防ぐ
アルカリゲネス産生多糖体保湿細菌の培養で得られる多糖体。高い吸水性と、乾燥を防ぐ保護膜
エーデルワイスエキス整肌・抗酸化スイスアルプスの高山植物由来。クロロゲン酸・タンニンを含む
エクトイン保湿過酷な環境の微生物が作る保護物質。水分保持・バリアの研究蓄積がある
センキュウ水整肌セリ科センキュウの根茎から得られる水性エキス
ツボクサエキス整肌いわゆるCICAの主役。アジアチコシドなどのトリテルペンを含む
テンニンカ果実エキス整肌・抗酸化フトモモ科の果実由来。ピセアタンノールなどのポリフェノールを含む
ドクダミエキス整肌古くから使われてきた和漢の植物エキス
プルーン酵素分解物保湿・整肌(新配合)プルーン果肉の酵素分解物。メラニンの受け渡しを抑える方向の働きが期待される
レイシエキス保湿・抗酸化霊芝(マンネンタケ)由来。β-グルカンを含む
エデト酸二ナトリウムキレート金属イオンを封じ、品質の劣化を防ぐ
オレイン酸エチルエモリエント・可溶化(新配合)浸透マイクロミスト処方の主役。角層をやわらげる油性成分
キサンタンガム増粘微生物由来の多糖。とろみのある感触をつくる
クエン酸pH調整処方のpHを整え、安定性を保つ
グリセリン保湿水分を引き寄せる定番の保湿剤
コレステロールエモリエント角層の細胞間脂質にももともと含まれる成分
ピロ亜硫酸ナトリウム酸化防止変色・劣化を防ぐ。亜硫酸塩の一種
フィトステロールエモリエント植物由来のステロール。角層の脂質になじみやすい
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)乳化・可溶化非イオン界面活性剤。油分を水になじませる
リン酸一水素ナトリウムpH調整処方のpHを安定させる
常水基剤処方に使われる水
フェノキシエタノール防腐国内外で広く使われている防腐剤
メチルパラベン防腐配合上限が定められた定番の防腐剤
香料着香香りづけのための成分
カラメル着色色調を整えるための成分

※配合の正確な順序・全項目は商品の全成分表示をご確認ください。医薬部外品は表示順=配合量順ではなく、配合量は非公開です。

特性タグ:医薬部外品/導入美容液/水分保持能の改善/保湿/エイジングケア/ハリ・弾力/発酵由来/つめかえ用あり

参考文献・出典(10件)
  1. コーセー Maison KOSÉ 公式製品ページ「インフィニティ ザ モイスチュア コンセントレート リペア<50mL>」(区分・有効成分・全成分表示・価格・使い方・テクスチャーの説明・「高濃度※1」の注記):https://maison.kose.co.jp/site/infinity/g/gBAPT/
  2. PR TIMES(株式会社コーセー)「美肌の礎。生み出す、うるおい。現れる、ハリ・弾力。『インフィニティ』がエイジングケア導入美容液を10年ぶりに刷新。」(発売日・価格・浸透マイクロミスト処方・オレイン酸エチル新配合・No.11αの説明・22年/4代目という位置づけ・開発背景の自社知見):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000778.000041232.html
  3. コーセー Maison KOSÉ 公式「インフィニティ スキンケア」ブランド/ラインページ(ブランドフィロソフィー「ハリ・弾力・ツヤ。美肌の総てを。」「コーセーの最先端皮膚科学」):https://maison.kose.co.jp/site/infinity/c/c04/
  4. 勇心酒造 公式サイト「日本で唯一の効果を持つ発酵成分 ライスパワー®No.11」(開発元によるライスパワー®No.11の説明・皮膚水分保持能の改善・製品展開):https://www.yushin-brewer.com/ricepower11/ / ライスパワーショップ「ライスパワーNo.11」:https://www.ricepowershop.jp/ricepower/no_11/
  5. 天然物薬用研究会(勇心酒造)「ライスパワーNo.11 研究活動の成果」(2001年の医薬部外品有効成分承認、継続塗布による水分保持能の上昇・セラミド産生に関する試験、徳島大学医学部皮膚科ほかでのアトピー性皮膚炎臨床試験への言及):http://www.tennen-ken.org/jituyouka/11/1-4.html / https://www.tennen-ken.org/ricepower/no11/
    ※開発元側が公表している試験データで、著者名・掲載誌・巻号などの完全な書誌情報は確認できていません。査読論文としての引用ではありません。
  6. コーセー 公式サイト 成分解説「セラミドとは?注目の成分『ライスパワー®No.11』との関係を解説」(メーカーによる一般向け解説記事):https://www.kose.co.jp/kose/skin_care/skincare178.html
  7. Graf R, Anzali S, Buenger J, Pfluecker F, Driller H. “The multifunctional role of ectoine as a natural cell protectant.” Clin Dermatol. 2008;26(4):326-333.(総説):https://doi.org/10.1016/j.clindermatol.2008.01.002
  8. “Topical Ectoine Application in Children and Adults to Treat Inflammatory Diseases Associated with an Impaired Skin Barrier: A Systematic Review.”(バリア機能が低下した皮膚疾患に対する外用エクトインの系統的レビュー):https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8850511/
  9. J-GLOBAL(科学技術振興機構)化学物質情報「N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン」:https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907097207744836
  10. 化粧品成分オンライン(原料の配合目的・安全性に関する成分データベース。査読論文ではありません):オレイン酸エチル https://cosmetic-ingredients.org/emollient/5388//アルカリゲネス産生多糖体 https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/12668//エーデルワイスエキス https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/21191//アセチルヒドロキシプロリン https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/17649//レイシエキス https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/17862/
ありす
コスメコンシェルジュ

美容、メイク、おしゃれ等にはまっている20代の3児のママ。 コスメレビュー、コスメ成分解析、コスメサブスク、ファッションレンタルなどの情報を発信しています。

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