ナイアシンアミドとは?美白・シワ改善・肌荒れ防止、3つの働きを研究データから解説

Instagram(@alice_kaiseki)で2.1万人にスキンケア情報を発信するコスメコンシェルジュエージェンシー(日本化粧品検定1級)のありすです✨

今回は商品ではなく、成分そのものの話です。テーマは[ナイアシンアミド]。ここ数年、プチプラからデパコスまで、とにかく見かけない日がないくらいの成分になりました。

でも「結局これ、何に効く成分なの?」と聞かれると、答えがぼやける方が多い気がします。美白と言われたり、シワ改善と言われたり、毛穴にいいと言われたり。実はそのどれも間違いではなくて、日本では美白・シワ改善・肌荒れ防止という3つの効能で、それぞれ医薬部外品の有効成分として承認されているという、かなり珍しい成分なんです。

研究データを見ながら、どこまでが確かめられていて、どこからが期待の話なのかを整理していきますね。

【はじめての方必読】当サイトの成分解析について
  • 成分解析は各成分の一般的な配合目的を記載したもので、製品の効果効能を保証するものではありません。
  • リニューアル等により全成分が変更される可能性があります。見つけた場合はお問い合わせフォームから教えて頂けると助かります。

ひとことで言うと

ありす

ビタミンB3。「一芸」ではなく「三芸」を持っている、めずらしいタイプの成分です。しかも3つとも、日本の医薬部外品としてきちんと効能が承認されている。飛び道具ではないけれど、堅い。

この成分のポイント

  • 日本では美白・シワ改善・肌荒れ防止の3つの効能で医薬部外品の有効成分として承認されている(1つの成分で3つは異例)
  • 美白の作用点が特徴的。メラニンを「作らせない」のではなく、作られたメラニンを肌の細胞に渡させない(メラノソーム輸送の抑制)
  • 研究データが厚いのは2〜5%の帯。10%超の高濃度は、効果が比例して伸びる根拠が乏しく赤みが出やすい

基本情報

成分名ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド/ニコチンアミド)
分類水溶性ビタミンB3の一種。医薬部外品有効成分/化粧品成分
日本での承認効能美白(メラニン生成抑制)/シワを改善する/肌荒れ・にきびを防ぐ

ナイアシンアミドって何者?

化学的にはビタミンB3の一種で、ニコチン酸アミド、ニコチンアミドとも呼ばれます。体の中ではNAD/NADPという補酵素の材料になっていて、細胞のエネルギー代謝や修復の中心にいる物質です(出典6)。

化粧品成分としての強みは3つ。①水溶性で処方に入れやすい ②安定していて壊れにくい ③刺激が比較的少ない。ビタミンC誘導体のように「壊れやすさ」との戦いをしなくていいのは、処方する側にとってかなり大きなメリットなんですよね。

この扱いやすさが、プチプラでもデパコスでも見かける理由でもあります。

ありす

要するに[ナイアシンアミド]はビタミンB3で、水溶性で安定していて刺激も少ない、処方にとても入れやすい成分なんです。だからプチプラでもデパコスでも見かけるんですね。派手さよりも「扱いやすさ」で選ばれている印象です。

3つの効能、それぞれの作用点

ナイアシンアミドが日本で承認されている3つの効能と作用点の図
[ナイアシンアミド]の3つの効能と作用点(ありすによる作図。出典は図中に記載)

ここが一番おもしろいところです。1つの成分が3つの効能を持っているというより、作用している場所が3か所ちがうと考えたほうが正確です。順番に見ていきます。

① 美白:メラニンの「配達」を止める

美白成分というと、ふつうはチロシナーゼ(メラニンを作る酵素)を止めにいきます。[コウジ酸]も[アルブチン]も[トラネキサム酸]もそうです。

ところが[ナイアシンアミド]は違います。メラニンを作る工程には手を出さず、できたメラニンが表皮の細胞に運ばれる段階をブロックするんです。培養細胞を使った実験でも、日本人女性を対象にした試験でも、この「配達を止める」働きが確認されています(出典1)。ただ、関わった研究者にP&Gの方が含まれる点は一応触れておきますね。

「工場を止める」のではなく「配達をやめさせる」。この違いは実用面でも意味があって、チロシナーゼ阻害系の美白成分と作用点がかぶらないということです。だからナイアシンアミドとトラネキサム酸が同じ処方に入っている製品があるんですね。

ありす

美白成分の多くはメラニンを作る工程を止めにいきますが、[ナイアシンアミド]はできたメラニンの受け渡しをブロックする、という珍しいタイプ。作用点が違うぶん、トラネキサム酸などと重ねやすいのが実用的だと思います。

② シワ改善:日本では2017年から

[ナイアシンアミド]は、日本で「シワを改善する」効能の医薬部外品有効成分としても承認されています。純粋レチノールと並ぶ、数少ないシワ改善の承認成分です。12週間にわたる比較試験でも、小ジワや色ムラ、肌の弾力などに改善がみられたと報告されています(出典2、こちらもP&Gの研究者による報告です)。

正直に言うと、シワ改善に関しては「劇的」という表現は合いません。12週間で小ジワが有意に減った、というレベル。レチノールのような強さはない代わりに、赤くなったり皮むけしたりもしない。そういう性格の成分です。

ありす

シワ改善でも承認されている成分ですが、レチノールのような劇的さはありません。12週間かけて小ジワが有意に整う、くらいの穏やかさ。その代わり赤みや皮むけが出にくいので、長く続けたい人向けだと思います。

③ 肌荒れ防止:セラミドを増やしてバリアを立て直す

3つめが、肌荒れ・にきびを防ぐ働き。これは角層のバリア機能に効いています。培養した肌細胞ではセラミドなどの角層脂質が増えることが確認されていますし、乾燥肌の方を対象にした試験でもうるおいを保つ力が改善したと報告されています(出典3・4)。

つまりナイアシンアミドは、肌が自分でセラミドを作る力に働きかける成分でもあるんです。外からセラミドを足すのとは別のアプローチですね。

ありす

3つめの肌荒れ防止は、肌が自分でセラミドを作る力を後押ししてバリアを立て直す働きです。外からセラミドを足すのとは方向が違うんですよね。乾燥やゆらぎが気になる人と相性がいい印象です。

ナイアシンアミドとピテラ(ガラクトミセス培養液)を組み合わせて「角層バリアを立て直す」という処方ストーリーを打ち出した実例としては、SK-II フェイシャル トリートメント セラムの成分解析も参考になります。

おまけ:皮脂と毛穴

「毛穴にいい」と言われるのは、皮脂への作用が根拠になっています。日本人男性を含む試験で、皮脂の分泌量が減ったという報告があります(出典5)。ただし対象が男性中心で人数も多くない試験なので、そのまま鵜呑みにはしないでください。

ただしこれは「毛穴が引き締まる」の直接的な証明ではありません。皮脂が減った結果として毛穴が目立ちにくくなる可能性がある、という一段階手前の話。ここを盛らないのが大事だと思っています。

ありす

「毛穴にいい」と言われるのは、皮脂が減った結果として目立ちにくくなるかも、という一段階手前の話なんです。毛穴が引き締まる証明ではないんですよね。ここを盛らずに伝えたいと思っています。

皮脂・毛穴のケアにナイアシンアミドを組み合わせた実例としては、ラ ロッシュ ポゼ エファクラ ピールケア セラムの解析で、角質ケアの酸との役割分担を詳しく見ています。

濃度の話:何%を選べばいい?

ナイアシンアミドの配合濃度の目安と研究データが集まっている帯を示した表
ナイアシンアミドの濃度の目安(ありすによる作図。出典は図中に記載)

美容界隈でよく聞くのが「10%配合!」という数字。数字が大きいほど効きそうに見えますよね。でも、ここまで紹介した研究のほとんどは2〜5%で行われています。

高濃度になると、ヒリつきや赤み(フラッシング様の反応)を訴える人が増えてきます。ナイアシンアミド自体は刺激の少ない成分ですが、それは適正な濃度での話。

私の考えとしては、まず5%以下から。それで物足りなければ処方全体や併用を見直す。濃度を上げるのは最後の手段でいいと思います。

ありす

研究データが厚いのは2〜5%の帯で、10%超の高濃度は効果が比例して伸びる根拠が乏しいうえ赤みも出やすいです。まずは5%以下から試して、物足りなければ処方全体や併用を見直す。濃度を上げるのは最後でいいと思います。

よくある誤解

ナイアシンアミドのよくある誤解3つと正しい理解を並べた比較インフォグラフィック
ナイアシンアミドのよくある誤解3つ(ありすによる作図)

誤解1:ビタミンCと一緒に使ってはいけない

これ、いまだに根強く言われています。「ナイアシンアミドとビタミンCを混ぜるとニコチン酸ができて赤くなる」という説ですね。

元になったのは1960年代の実験で、高温・強酸性という、化粧品ではありえない条件で行われたものです。通常のスキンケア製品のpHと室温では、この反応はほとんど起きません。

実際、ナイアシンアミドとビタミンC誘導体を同時配合している製品はふつうにありますし、朝ビタミンC・夜ナイアシンアミドのように分けて使う必要も、基本的にはありません。気になる方は時間を空ければいいというだけの話です。

誤解2:ナイアシンアミド=レチノールの代わり

作用がまったく違います。レチノールは表皮のターンオーバーと真皮のコラーゲンに直接的に働きかける、いわば「攻め」の成分。ナイアシンアミドはバリアを立て直しながら、じわじわ整えていく「守りながら攻める」タイプ。

むしろこの2つは併用の相性がいい組み合わせとして研究されてきました。レチノールで荒れやすい人が、ナイアシンアミドでバリアを支えながら使う、という設計ですね。

誤解3:飲んでも同じ効果がある

サプリのナイアシンアミドと、肌に塗るナイアシンアミドは別の話として考えてください。高リスクの患者さんを対象にした大規模な試験で、経口摂取が皮膚がんの新規発生を減らしたという報告はあります(出典7)。ただしこれは特定の患者さんを対象にした話で、健康な人の美白・シワ改善を裏づけるものではありません。

あくまで「別の話」。塗る話と飲む話を混ぜないでくださいね😊

ありす

ビタミンCとの併用NG説は、化粧品ではありえない高温・強酸性での実験が元なので、基本は気にしなくて大丈夫。レチノールの代わりでもなく、むしろ併用向きです。塗る話と飲む話だけは、混ぜずに切り分けて考えてくださいね。

こんな人に向いている成分

🙆‍♀️ 相性がよさそうな人

  • あれこれ足すより、1本で複数の悩みをカバーしたい
  • レチノールやビタミンCで荒れた経験がある(刺激が比較的少ない)
  • 皮脂・毛穴の目立ちが気になる
  • 長く続けられる、地味だけど根拠のある成分を選びたい

🔍 知っておきたいこと

  • 即効性はない。研究データも8〜12週間のスパンで見ている
  • 高濃度(10%超)は赤みが出やすく、効果が比例する根拠も乏しい
  • メラノソームの受け渡しを止めて新しいシミを防ぐ働きが中心で、今あるシミを消す実感には個人差が大きい
  • 医薬部外品での効能表示と、化粧品配合での期待値は別物
ありす

まとめると、1本で複数の悩みをケアしたい人や、レチノール・ビタミンCで荒れた経験がある人に向いています。即効性はなく8〜12週間かけて見る成分で、メラニンの受け渡しを止めて新しいシミを防ぐのが得意分野。地味だけど、理屈の通った成分だと思います。

まとめ

[ナイアシンアミド]は、美白・シワ改善・肌荒れ防止という3つの効能で日本で承認されている、かなり例外的な成分です。しかもその3つは、それぞれ違う場所に効いている。メラノソームの受け渡し、真皮と表皮の立て直し、角層のセラミド合成。

派手さはありません。研究データもだいたい8〜12週間かけて「有意に改善した」という慎ましいものばかり。でも作用機序がはっきりしていて、ヒト試験まで積み上がっている成分は、実はそう多くないんです。

流行っているから、ではなく、理屈が通っているから使う。そういう選び方ができる成分だと思います👌

コウジ酸やトラネキサム酸のような「チロシナーゼを止めにいく」タイプの美白成分については、別の記事で解析しています。作用点が違うので、読み比べるとおもしろいですよ。

参考文献・出典(7件)
  1. Hakozaki T., Minwalla L., Zhuang J. ほか「The effect of niacinamide on reducing cutaneous pigmentation and suppression of melanosome transfer」British Journal of Dermatology, 2002;147(1):20-31.(培養細胞+ヒト臨床試験):https://doi.org/10.1046/j.1365-2133.2002.04834.x
  2. Bissett D.L., Oblong J.E., Berge C.A.「Niacinamide: A B Vitamin that Improves Aging Facial Skin Appearance」Dermatologic Surgery, 2005;31(7 Pt 2):860-866.(二重盲検・左右比較試験):https://doi.org/10.1111/j.1524-4725.2005.31732
  3. Tanno O., Ota Y., Kitamura N., Katsube T., Inoue S.「Nicotinamide increases biosynthesis of ceramides as well as other stratum corneum lipids to improve the epidermal permeability barrier」British Journal of Dermatology, 2000;143(3):524-531.(培養細胞+ヒト試験):https://doi.org/10.1046/j.1365-2133.2000.03705.x
  4. Soma Y., Kashima M., Imaizumi A., Takahama H., Kawakami T., Mizoguchi M.「Moisturizing effects of topical nicotinamide on atopic dry skin」International Journal of Dermatology, 2005;44(3):197-202.(ヒト臨床試験):https://doi.org/10.1111/j.1365-4632.2004.02375.x
  5. Draelos Z.D., Matsubara A., Smiles K.「The effect of 2% niacinamide on facial sebum production」Journal of Cosmetic and Laser Therapy, 2006;8(2):96-101.(ヒト臨床試験):https://doi.org/10.1080/14764170600717704
  6. Gehring W.「Nicotinic acid/niacinamide and the skin」Journal of Cosmetic Dermatology, 2004;3(2):88-93.(総説):https://doi.org/10.1111/j.1473-2130.2004.00115.x
  7. Chen A.C., Martin A.J., Choy B. ほか「A Phase 3 Randomized Trial of Nicotinamide for Skin-Cancer Chemoprevention」New England Journal of Medicine, 2015;373(17):1618-1626.(ランダム化比較試験・経口投与):https://doi.org/10.1056/NEJMoa1506197
ありす
コスメコンシェルジュ

美容、メイク、おしゃれ等にはまっている20代の3児のママ。 コスメレビュー、コスメ成分解析、コスメサブスク、ファッションレンタルなどの情報を発信しています。

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