SNSでも何度も話題になっている「ちふれ ウォッシャブルコールドクリーム」の成分解析です。
300gで税込715円という非常に安い価格帯のクレンジング。
SNSでは
- 安いのにメイクが良く落ちる
- ビオレの洗顔ジェルと併用したら毛穴が消えた
- 2,530円のオルビスオフクリームとほぼ同じ
といった噂が広まっていますが、成分的にどうなのかも含め、解析していきます。
ちふれウォッシャブルコールドクリームの成分解析
ちふれの化粧品は公式サイトで全成分の濃度と配合目的が公開されています。
なので今回は、公式サイトにかかれている分量を参考に解析をしていきます。
「転相」でメイクを落とすクリームクレンジング
「油でメイク汚れを浮かせる」という仕組みは、クレンジングオイルと同じです。
しかし、油がメインのクレンジングオイルよりも、水分を多く含むため洗浄力は少し穏やかに。
また、洗い流し時にするっと落ちやすいというメリットがあります。
ただし使用時に絶対に気をつけて欲しい注意点がひとつ。
成分中の水分・油分のバランスが非常に重要なので、使用時に顔や手が濡れていると、図のような転相がうまく行われず、メイクが全然落ちないという自体が起こります。
また、容器内に水分が入ってしまうと製品自体がダメになってしまう可能性も。
とにかく洗い流し前に水分が加わるとダメなクレンジングなので、基本的には洗面所での使用を推奨します。
どうしてもお風呂場で使いたい場合
- 服を脱ぐ
- 手に必要な量のクリームを取る
- 容器のフタをしめ、洗面所や部屋に置いておく
- お風呂場に入り、シャワーを出さずにクレンジングする
- シャワーを出して洗い流す
という工程でやれば、お風呂場で使ってもしっかりクレンジングが可能です。
湯船にお湯を入れている場合は、フタを閉めておくとなお良し。
また、誰かが入った直後だとお風呂場が湿気ているので、少し換気してから入ったほうが良いでしょう。
やや脱脂力が高いオイルがメイン
ちふれのコールドクリームにクレンジング成分として配合されているのは[ミネラルオイル]と[エチルヘキサン酸セチル]の2種類です。
そして曲者なのは[ミネラルオイル]。
[ミネラルオイル]はベビーオイルの主成分にもなっている油分で、安定性が非常に高く、刺激になりにくいのが特徴です。
昔は「ミネラルオイル」は鉱物油だから刺激になるという話もありましたが、不純物が混ざっていた時代の話。
現在の[ミネラルオイル]はきちんと精製されているので安全な成分です。
原料が安価で、メイクの落ちも良いので、プチプラクレンジングでは非常に良く使われる成分。
しかし、メイク落ちが良い分【肌に必要な油分】まで落としてしまい、乾燥の原因になることも。
週1~2回の使用ならそれほど問題ありませんが、毎日使っていると肌の油分不足で乾燥しがちになる可能性大です。
特に乾燥肌・敏感肌の人は注意してください。
美容成分はほぼナシ
美容成分として書かれているのは
油性エモリエント成分:ワセリン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ダイズ油
保湿成分:PG
この5種類です。
油性エモリエント成分は、肌に膜を作って水分の蒸発を防いだり、しっとりした仕上がりを作ります。
ミネラルオイルによる脱脂力を補う意味もありますね。
どれも化粧品ではド定番で最低限のエモリエント成分って感じです。
そして[PG]は「なぜこれを選んだの???」としか思えない成分です。
昔から使われている保湿成分ですが、肌に刺激になる可能性が高く、最近の化粧品ではあまり使われていません。
処方の都合でこれしか使えなかったんでしょうか・・・?
濃度も5%以上入っていますが、洗い流し製品なので「PG入ってるから使っちゃダメ」というほど大きな問題ではありません。
でも、これなら保湿成分入れないほうがマシだったんじゃないかな・・・💦
オルビスオフクリームとの違いは?
まず、冒頭で説明した「転相」を利用してメイクを落としている点はどちらも同じです。
ちゅるんとしたテクスチャやパッケージのデザインもよく似ているで、確かに「似ている」と感じる方は多いでしょう。
しかし、全成分を見てみると大きな違いがあります。
ちふれコールドクリーム | オルビスオフクリーム |
---|---|
ミネラルオイル、エチルヘキサン酸セチル、ワセリン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ダイズ油、PG、ポリソルベート60、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、メチルパラベン、プロピルパラベン、水酸化K、トコフェロール、BHT、水 | パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、水、BG、イソステアリン酸PEG-12、ステアリン酸PEG-25、ミツロウ、スクワラン、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、シクロペンタシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ヒアルロン酸Na、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー、ローマカミツレ花エキス、ローズマリー葉エキス、ラベンダー花水、グリセリン、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル(SE)、トコフェロール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン |
ちふれのコールドクリームのメインの油分は[ミネラルオイル]です。
一方でオルビスオフクリームのメインの油分は[パルミチン酸エチルヘキシル]をはじめとしたエステル油。
単純に「オイル成分の洗浄力」で比べると、ちふれの方が良く落ちると思います。
ただし、先ほども書いたとおり、ミネラルオイルは脱脂力が高いので、肌の油分を奪い、乾燥になる可能性が。
オルビスオフクリームのエステル油はミネラルオイルよりも脱脂力が穏やかです。
さらにオルビスは「肌の細胞間脂質にはなじまず、メイク汚れだけになじむセレクトクレンジング成分」を研究して配合しているので、メイクを落としつつ、お肌の必要なうるおいを残してくれます。
また、美容成分がほぼ入っていないちふれと比べて、オルビスオフクリームにはヒアルロン酸、スクワラン、植物エキスなどの美容成分がたっぷり入っています。
「クレンジングの美容成分は洗い流されるからほぼ意味がない」という意見もありますが、洗浄成分に関しては大きな違いですね。
単純に価格で選ぶとちふれの方が1/3ほどで買えますが、オルビスオフクリームには3倍のお値段の価値は十分にあると思います。
ビオレの洗顔ジェルとの併用で毛穴が消える?
「ちふれのコールドクリーム」と「ビオレの洗顔ジェル」で洗顔すると、毛穴が消えるという噂がSNSで話題になっていました。
ありす
この話を聞いて個人的に思ったのは「確かに毛穴の汚れはごっそり落ちるだろうけど、同時に使うのはやめたほうが良い」という感想です。
まずちふれのコールドクリームは先ほどから書いている通り、クレンジング力が非常に高いものです。
そしてビオレの洗顔ジェルなんですが、[アルギニン][トロメタミン]というアルカリ剤で、お肌(弱酸性)の表面を溶かすという仕組みで出来ています。
ちょっとしたピーリングよりも作用は強く、1回使っただけでもツルツルになる洗顔ジェルです。
つまり、ちふれのコールドクリーム、ビオレの洗顔ジェルはどちらも「落とす力が強い」コスメ。
確かに1回使っただけでも、肌がツルツルになったり、毛穴が目立ちにくくなる可能性は高いでしょう。
でも、やってることは「肌の表面にあるものを、必要なものを含めてごっそり取り除く」ということなので、かなり刺激になりやすいです。
高頻度でやっていると、肌の表面が薄くなり、乾燥しやすく敏感な「ビニール肌」になってしまう可能性も・・・。
肌の強い方が、ごっそり取り除きたいときにスペシャルケアとしてたまに使うぐらいなら良いですが、基本的には併用するのは、やめておいた方が良いコスメです。
クレンジングでマッサージはNG
公式によるとちふれのコールドクリームは「クレンジングとマッサージの両方に使える」というコンセプトの商品です。
でも個人的には「クレンジングでマッサージ」は大反対。
そもそもクレンジングって「お肌の上にあるメイク汚れ(=油分)」を落とすための商品なんです。
マッサージするために長時間肌に乗せていると「お肌の油分」までもガンガン奪っていきます。
お顔のマッサージをしたいのならクレンジング中ではなく、お風呂上がりにオイルやクリームなどを使って優しくマッサージしましょう。
拭き取りのみもNG
もうひとつ公式に書かれている文面で気になったのが「顔についたクリームをティッシュペーパーで軽くおさえてから、ふきとり化粧水でふきとってもお使いいただけます。」というものです。
この方法ですが、ティッシュオフ+拭き取り化粧水だけだと、成分が肌に残ってしまう可能性が非常に高いです。
クレンジング成分のオイルは肌に塗り置いても問題ないものですが、高濃度で配合された乳化剤や酸化したメイク汚れが刺激になるリスクが💦
また、ティッシュと拭き取り化粧水だけでクリームを取り除くのは、拭き取りによる摩擦の刺激も気になります。
災害やアウトドアなどで、「どうしても水で洗顔するのが難しい」って状況ならアリかもしれませんが、基本的には水で洗顔することをおすすめします。
成分解析のまとめ
- 「転相」でメイクを落とすから、洗い流し前に水気が入らないように注意
- ミネラルオイルベースでクレンジング力が高いが、必要な油分を奪いやすい
- 美容成分はほぼ入ってなくて、刺激になりやすい保湿成分がある
- マッサージや拭き取りの使い方はおすすめしない
- 微妙なところもあるけど、300gで715円ならまぁこんなもん
全成分の詳細
ミネラルオイル | クレンジング |
---|---|
エチルヘキサン酸セチル | クレンジング |
ワセリン | クレンジング |
ステアリルアルコール | エモリエント |
ステアリン酸 | エモリエント |
ダイズ油 | エモリエント |
PG | 保湿 |
ポリソルベート60 | 乳化 |
ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10 | 乳化 |
メチルパラベン | 防腐 |
プロピルパラベン | 防腐 |
水酸化K | 洗浄or調整 |
トコフェロール | 酸化防止剤 |
BHT | 酸化防止剤 |
水 | ベース |
ミネラルオイル | クレンジング | 化粧品でよく使われる油分です。 肌への浸透性がほとんどなく、表面に膜をつくって、水分の蒸発を防いだり、外部刺激から守ります。 液体の場合はミネラルオイル、固体の場合はワセリンと呼ばれます。 固体のワセリンは皮膚科で処方される塗り薬にも使用され、液体のミネラルオイルはベビーオイルなどにも配合されます。 「鉱物油不使用」のコスメは、ミネラルオイルやワセリンが入っていないという意味です。 昔のワセリンは精製度が低く、肌への刺激が指摘されて鉱物油として避けられていました。 最近は99.9%以上の精製度で統合され、低刺激で安全性の高い成分です。 安価なクレンジングオイルでは主成分として配合されがちですが、脱脂力が強いので乾燥を招きます。 |
---|---|---|
エチルヘキサン酸セチル | クレンジング | 化粧品でよく使われるエステル油です。さらっとしたテクスチャの油性成分。 肌の表面に膜を作り、水分の蒸発を防ぎます。肌への刺激の心配はほとんどありません。 クレンジングに配合されている場合は、メイクを浮かせるためのオイル。メイクと落とす力は、そこそこ高めです。 炭化水素油ほどではありませんが、脱脂力があるので乾燥の原因になる可能性があります。 |
ワセリン | クレンジング | 液体の場合はミネラルオイル、固体の場合はワセリンと呼ばれる保湿成分です。 肌への浸透性がほとんどなく、表面に膜をつくって、水分の蒸発を防いだり、外部刺激から守ります。 固体のワセリンは皮膚科で処方される塗り薬にも使用され、液体のミネラルオイルはベビーオイルなどにも配合されます。 昔のワセリンは精製度が低く、肌への刺激が指摘されて鉱物油として避けられていました。 最近は99.9%以上の精製度で統合され、低刺激で安全性の高い成分です。 |
ステアリルアルコール | エモリエント | 肌に皮膜を作って、水分の蒸発を防いだり、外部刺激から肌を守ります。 肌なじみがよく、さらっとした質感なので、商品のテクスチャを良くする役割もあります。 旧表示指定成分のひとつでわずかな眼睛刺激・皮膚刺激はあります。 濃度が低いものは特に避けるほどではありませんが、肌に塗り置くものに高濃度で配合している場合は注意です。 |
ステアリン酸 | エモリエント | 高級脂肪酸の一種で、水酸化Naや水酸化Kと混ぜることで石けん(陰イオン界面活性剤)になります。 石けんに使われる高級脂肪酸の中では気泡力が弱め。刺激が少し強めです。 テクスチャ調整や乳化の補助のために配合されることもあります。 |
ダイズ油 | エモリエント | 油脂です。皮脂に似た性質を持ち、肌に膜を作り、バリア機能を補ったり水分の蒸発を防ぎます。 鉱物油などにはない、お肌を柔らかくする作用も。 大豆アレルギーの方はご注意ください。 クレンジングに配合される場合は、メイクを溶かして落とす役割を持ちます。 |
PG | 保湿 | 化粧品のベースとしてよく使われる保湿成分です。 保湿力は中間ぐらい。 昔からよく使われている成分ですが、肌に刺激になる可能性の高い成分なので、高濃度で配合されている場合は避けたほうが無難です。 |
ポリソルベート60 | 乳化 | 非イオン(ノニオン)界面活性剤です。界面活性剤ですが刺激はほぼありません。 製品を水の中に油が溶け込むO/W型に乳化します。 O/W型は水に流れやすくさっぱり。乳液やクリームなどのスキンケアによく使われる乳化です。 他の成分を溶かし込む役割もあります。 |
ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10 | 乳化 | 非イオン(ノニオン)界面活性剤です。界面活性剤ですが刺激はほぼありません。 製品を油の中に水が溶け込むW/O型に乳化します。 W/O型は水に流れにくくこってり。ウォータープルーフのコスメなどによく使われる乳化です。 ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10は水の多い状態でのW/O型の乳化に合っていす。 クレンジングの成分を洗い流す成分として配合されることもあります。 |
メチルパラベン | 防腐 | ごく少量の配合で、製品の抗菌・防腐に高い効果を発揮します。 パラベンは避けられがちですが、実際には化粧品に配合する防腐剤の中では毒性が低く、お肌への刺激も少ない防腐剤です。 メチルパラベンは代表的なパラベン4種類の中で、少し防腐力は弱めですが、低刺激です。 |
プロピルパラベン | 防腐 | ごく少量の配合で、製品の抗菌・防腐に高い効果を発揮します。 パラベンは避けられがちですが、実際には化粧品に配合する防腐剤の中では毒性が低く、お肌への刺激も少ない防腐剤で |
水酸化K | 洗浄or調整 | 強いアルカリの性質を持ち、高級脂肪酸や油脂と混ざることでカリ石けん素地(陰イオン界面活性剤)になります。 水酸化Naで作った石けん素地に比べて、水に溶けやすいので、主に液体タイプの化粧品に使われます。 単独では強い刺激のある成分ですが、化粧品では中和されているため刺激はほぼありません。 製品の増粘やph調整のために配合されることもあります。 |
トコフェロール | 酸化防止剤 | 製品の酸化を防ぎます。 ビタミンEなので、肌への抗酸化作用も期待できます。 防腐剤の一種ですが、刺激はほとんどありません。 |
BHT | 酸化防止剤 | 自らが酸化することで、油の酸化を防止して、製品の劣化を防止します。 酸化防止効果が高く、耐熱性もあるので、化粧品の品質維持のために多く配合されます。 似た名前のBHAは毒性が非常に高いですが、BHTは特別避けるほど危険な成分ではありません。 発がん性が指摘されていますが、実際は心配するほどではないでしょう。 |
水 | ベース | ほぼすべての化粧品に成分を溶かし込むために配合されています。 水自体に特別な効果はありませんが、刺激やアレルギーなどのリスクもありません。 |
- クレンジングとマッサージの両方に使える、洗い流し専用のクリームタイプ。
- メイクとのなじみがよく、落ちにくいよごれもしっかり落とします。
- 顔についたクリームをティッシュペーパーで軽くおさえてから、ふきとり化粧水でふきとってもお使いいただけます。
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