HAKU 薬用 美白ナイトクリームマスクを成分解析|史上最高濃度「アクティブ4MSK」の実力と気になる点

Instagram(@alice_kaiseki)で2.1万人にスキンケア情報を発信するコスメコンシェルジュエージェンシー(日本化粧品検定1級)のありすです✨

資生堂の美白ブランド「HAKU」から、2026年7月21日に新しいスペシャルケアが出ました。それがこの『薬用 美白ナイトクリームマスク』(医薬部外品/販売名:HAKU ブライトニングクリームM)です(出典1・出典2)。

HAKUといえば、やっぱり美容液「メラノフォーカス」のイメージが強いですよね。公式も「美白美容液市場21年連続売上No.1」(2005年1月〜2025年12月、資生堂調べ)とうたっています(出典2・出典4)。そんな美容液の看板ブランドが今回出してきたのは、美容液ではなく夜に塗って、翌朝の洗顔で流すクリームマスクなんです。

キャッチコピーは「盛る美白マスク」。「高機能濃厚膜がひと晩中、肌を包み込み、美白有効成分や美容成分をすき間なく届ける」「寝る前のひと塗りで、うるおいのある明るい肌を仕込む新習慣」と紹介されています(出典2・出典3)。そして主役の有効成分は、「HAKU史上最高濃度」で配合したというアクティブ4MSKです(出典2)。

調べていていちばん驚いたのは、この4MSKという成分について、作用の仕組みを報告した査読論文が2025年3月にようやく出ていたこと。2003年に承認されてから20年以上も使われてきた成分なのに、その中身が学術誌で公表されたのは、実はつい最近だったんです。

この記事では、①メーカーは何と言っているか ②全成分表から何が読み取れるか ③研究データでどこまで分かっているか、の3つの順番で見ていきますね。

ありす

税込9,350円のナイトマスク。値段だけ見ると迷う価格ですが、その中心にいる有効成分には去年ようやく論文が出たばかりという背景があります。そこを知ってから選べるように書いていきますね。

ひとことで言うと

ありす

ひとことで言うと、メラニンを「作らせない」と「ためない」の両方に働く美白有効成分を、ひと晩かけて肌にとどめるための濃厚な膜で包み込むスペシャルケアです。主役の[4MSK]は、2025年3月の査読論文で、メラノサイトのチロシナーゼをおさえる働きと、表皮のターンオーバーを整えてメラニンを含む角層を押し出す働きの2方向が報告されました。ヒトでの12週間試験では肌の明るさがプラセボよりはっきり上がっていて、理論上はシミそのものが薄く見えてくる可能性まで見込める成分です。週2〜3回、夜のいちばん最後に塗って朝の洗顔で流すという設計なので、毎日のケアを置き換えるものではなく、土曜の夜に仕込んでおくタイプの1本ですね。

このアイテムのポイント

  • 美白有効成分アクティブ4MSKを「HAKU史上最高濃度」で配合していて、資生堂は「メラニン生成の引き金となる酵素チロシナーゼのはたらきを複数ステップでブロックする」と説明しています(出典1・出典2)。全成分表でも、【有効成分】としてこれ1つだけが書かれているのを確認しました。
  • その「複数ステップ」の中身は、2025年3月の査読論文で初めて明らかになりました。①チロシナーゼを濃度依存的に阻害してメラニンを作らせない、②ケラチノサイトの分化を促してメラニンを含む角層を押し出す、という作る側と出す側の両方に効く二方向の働きです(出典5)。
  • 「機能型 濃厚膜」の名前どおり、成分表の中盤にはベヘニルアルコール・バチルアルコール・硬化油・流動パラフィンなど、膜をつくる油性成分がぎっしり。使い方は週2〜3回、夜の最後に塗って翌朝洗い流すスタイルで、75gで約45回分です(出典1・出典2)。

基本情報

HAKU 薬用 美白ナイトクリームマスク(資生堂・75g)の商品ビジュアル
ブランドHAKU/資生堂
価格・容量75g(約45回分) 参考小売価格8,500円(税込9,350円)
発売日2026年7月21日
【はじめての方必読】当サイトの成分解析について
  • 成分解析は各成分の一般的な配合目的を記載したもので、製品の効果効能を保証するものではありません。
  • リニューアル等により全成分が変更される可能性があります。見つけた場合はお問い合わせフォームから教えて頂けると助かります。

HAKUが謳う「アクティブ4MSK」と「機能型 濃厚膜」

まずは、メーカーが何と言っているかから見ていきます。HAKUのブランドサイトには「HAKUは、美白ケアのエキスパートとしてシミ予防サイエンスの革新を追究し続けてきました」と書かれていて、目指す肌を「内側から輝きを放つような『美発光肌』」と表しています(出典4)。今回のナイトクリームマスクは、そんな研究の積み重ねを「寝ているあいだ」に向けたアイテム、というわけですね。

HAKU史上最高濃度の「アクティブ4MSK」とは

公式の説明をそのまま引くと、「HAKU史上最高濃度」となる美白有効成分アクティブ4MSKを配合して、「メラニン生成の引き金となる酵素チロシナーゼのはたらきを複数ステップでブロック」する、というものです(出典1・出典2)。

4MSKの正式な名前は[4-メトキシサリチル酸カリウム塩]。資生堂独自の美白有効成分です。2003年に厚生労働省の承認を受けていて、もう20年以上使われてきています。資生堂は自社のブランドコンテンツで、この成分を「メラニンの変身を阻止する秘密兵器」と紹介しているんですよ(出典13)。

全成分表を見ると、【有効成分】の欄には4-メトキシサリチル酸カリウム塩が1つだけ書かれています(出典14)。ここで、成分表を読むときのお約束を1つだけ。化粧品の全成分表示は配合量の多い順に並びますが、医薬部外品にはその決まりがありません。だからこの記事でも、並び順から「これは多い・少ない」という推測はしないでおきますね。「史上最高濃度」というのも具体的な数字ではなく、HAKUシリーズの中で比べての話としてメーカーが出している言い方です。

同じ資生堂の別ブランドでは ― エリクシールのシミ予防ラインにも

4MSKはHAKUだけの成分ではなく、資生堂が自社の美白ラインに幅広く使っている独自成分なんです(出典13)。このブログでも、同じ資生堂のエリクシールから出ているエリクシール ブライトニング エマルジョン caを解析していて、こちらは4MSKにもうひとつシミ予防成分を組み合わせた薬用乳液でした。HAKUの中では、先代にあたるHAKU アクティブメラノリリーサーも解析しています。同じ成分がブランドごとにどう使い分けられているかを並べてみると、HAKUが「いちばん濃く入れる場所」になっているのが見えてきます。

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4MSKは資生堂が20年以上育ててきた自社成分で、エリクシールなど他のラインにも入っています。そのなかで「HAKU史上最高濃度」と言い切ってきたのが今回のマスク、という関係ですね。

「盛る美白マスク」を支える機能型 濃厚膜の処方

機能型濃厚膜が肌の表面を覆い、その下で有効成分をとどめる3層構造のイメージ図

もうひとつの推しポイントが「機能型 濃厚膜」。公式では「高機能濃厚膜がひと晩中、肌を包み込み、美白有効成分や美容成分をすき間なく届ける」とされていて、テクスチャーは「まるで贅沢マスクのようなクリーム」と紹介されています(出典1・出典2)。

これ、ただの感触の話に聞こえるかもしれませんが、成分表を見ると処方の骨組みそのものでした。中盤には[ベヘニルアルコール][バチルアルコール][ベヘニン酸][流動パラフィン][硬化油][2-エチルヘキサン酸セチル][N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)]といった、膜をつくる・固さを保つ・水分の蒸発を防ぐ役目の油性成分がぎっしり並んでいます。乳化を支える[イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル]や、形を保ちやすくする[(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン]も入っていて、「濃厚膜」というコンセプトと中身がちゃんとつながっているんです。

塗ったあとに拭き取ったり流したりせず、そのまま寝るという使い方にも納得です。有効成分を届けるための膜なので、途中で落としてしまったら意味がなくなってしまいますよね。使い方は、公式によると「週2〜3回を目安に、夜のお手入れの最後にアーモンド粒大を取って顔に塗り広げ、翌朝洗顔で洗い流す」とのことです(出典1)。

研究で分かっていること

資生堂は発売前に、30代後半〜50代の女性100名を対象にしたモニター調査(2026年2月23日〜3月22日)をしていて、「また使いたい」94%、「テクスチャーが好き」93%という結果を公表しています(出典3)。別の調査(2026年2月実施、25〜69歳、n=8,697)では「5人に1人が『明るい肌』になりたい」と答えていて、その人たちは就寝直前ケア専用品の使用率が約2倍に高まる、というデータもありました(出典2)。「夜にひと手間かける人」はもう一定数いて、そういう人たちに向けて作られたアイテムなんだな、と読み取れます。

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「濃厚膜」はキャッチコピーではなく、油性成分を厚く積んだ処方そのものでした。朝まで落とさずに置いておくことが前提の設計なので、寝具につくのが気になる人は量を守って薄めに、が正解だとみています。

全成分を見てみよう

ここからはいよいよ中身の話です。医薬部外品なので、【有効成分】と【その他の成分】に分けて見ていきますね。

有効成分[4MSK]|20年越しに証明された二方向の働き

4MSKの二方向の働きを示すフロー図。チロシナーゼの阻害と、角層からメラニンを押し出す働きの2ステップ

公式の言う「複数ステップでブロック」って、実は長いあいだ中身が具体的に語られてこなかったんです。それがはっきりしたのが2025年3月。資生堂と日本医科大学の研究者による論文でした。論文の中にも「20年以上商用利用されているが、有効性と機序は学術誌で公表されてこなかった」とはっきり書かれています(出典5)。

研究で分かっていること

Shirasugiらの報告によると、4MSKの働きは2方向です。ひとつはメラノサイト(色素細胞)でチロシナーゼを濃度依存的に阻害すること(IC50=4.02mM)。チロシナーゼはメラニンを作る最初のスイッチにあたる酵素なので、ここをおさえると、そもそもメラニンができにくくなります。もうひとつはケラチノサイト(表皮の細胞)の分化を促進すること。KRT1・KRT10・フィラグリン・インボルクリンといった、角層をつくるタンパク質の発現が上がることが確認されています。表皮の生まれ変わりが整うと、メラニンを抱えた角層細胞が上へ押し出されて、剥がれ落ちやすくなるんです。さらにヒトでの臨床試験(二重盲検・スプリットフェイス・プラセボ対照、36〜50歳の女性31名、3%配合を1日2回12週間)では、色素沈着している部分・していない部分のどちらでも、プラセボと比べて肌の明るさ(L*値)が有意に上がったと報告されています(Shirasugi Y, et al. J Cosmet Dermatol. 2025;24(3):e70112/出典5)。

ここ、さらっと読み流してしまいそうですが、けっこうすごい話なんです。美白有効成分の多くは「作らせない」側だけの担当。それに対して4MSKは、作らせない働きと、できたぶんを外へ追い出す働きを1成分で兼ねているというわけです。

医薬部外品として書ける効能は、「メラニンの生成をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ」まで。でも、いま見たように排出する側にも働く成分で、ヒト試験では色素沈着している部分の明るさも上がっていました。だから理論上は、すでにあるシミが薄く見えてくる可能性まで見込める成分だと、私は受け止めています。薬機法の言葉づかいだけを見て「予防しかできないんだ」と決めつけなくていい。ここがいちばん伝えたいところです。

ただ、裏づけがいまどこまであるかも書いておきますね。論文の臨床試験は3%配合の製剤でのもので、このナイトマスクの実際の配合%は、医薬部外品なので公開されていません。同じ結果がそのまま出るとまでは言い切れない、というのは正直にお伝えしておきます。それでも、20年使われてきた成分の仕組みがようやく論文になって、そのうえで「史上最高濃度」を打ち出してきたわけなので、タイミングとしてはかなり納得感があります。

ありす

「メラニンを作らせない」+「できたメラニンを角層ごと押し出す」の2段構え。しかも去年やっとヒト試験つきの論文になった成分です。地味に20年戦ってきた選手の実力がようやく数字で見えた、という感じでうれしくなりました。

4MSKを「届ける」ための研究も進んでいる(参考情報)

もうひとつ、関連する資生堂の研究も紹介させてください。4MSKは常温だと固体の成分なので、肌に届けるには少し扱いにくいところがあるんです。そこで資生堂が2025年1月に発表したのが、保湿成分のトリメチルグリシンと組み合わせて4MSKを液体化する「4MSK/フリュイド浸透促進技術」。単独で配合したときと比べて皮膚への浸透が約2倍になり、社内の12週間の臨床では、シミの数の減り方が1.8倍、肌の明るさの改善が1.9倍という数値が公表されています(出典12)。

ただ、この発表は資生堂のスキンケア全般に使うことを想定したプロトタイプ基剤技術としてのもので、リリースの中にこのナイトマスクや2026年7月発売の話は出てきません。「機能型 濃厚膜」がこの技術そのものなのかどうかも公表されていないので、ここでは同じ4MSKについての資生堂の関連研究として紹介するだけにしておきますね。同じ成分を「どう届けるか」まで会社として研究を続けている、という背景として読んでもらえたらうれしいです。そもそも「浸透」という言葉が化粧品でどこまで使えるのか気になる方は、化粧品の「浸透」はどこまで本当?角質層までしか届かない理由と薬機法のルールという記事もあわせて読んでみてください。

美容成分4種、それぞれの科学的な今

公式が名前を挙げている美容成分は、グルタチオン(GL)・チャ葉エキス・モモ葉エキスGL・エクトインGLの4つです(出典1)。全成分表示では[グルタチオン][チャエキス(1)][モモ葉エキス][エクトイン]と書かれていて、末尾の「GL」はグリセリン溶液として配合している、という意味の呼び分けです。名前が少し違うだけで、同じ成分のことなんですよ。

この4つ、実はエビデンスの厚みがかなりバラバラなんです。せっかくなので、その差をそのままお見せしますね。

美容成分4種(エクトイン・チャ葉エキス・グルタチオン・モモ葉エキス)のヒト臨床データの厚みを比べた目安バー図

[エクトインGL]|美白成分ではないけれど、臨床データが一番手厚い

4種のなかで、ヒトでのデータがいちばんそろっていたのがこのエクトインでした。エクトインは、砂漠の塩湖のような過酷な環境に住む微生物がつくり出す、「適合溶質」と呼ばれる物質。水分子を自分のまわりに引き寄せて安定させることで、タンパク質や細胞膜を乾燥・熱・紫外線といったストレスから守るという、ちょっと変わった仕組みを持っているんです。

研究で分かっていること

軽度から中等度のアトピー性皮膚炎の患者65名を対象にした二重盲検の比較試験では、エクトイン配合クリームが、ステロイドを使わない抗炎症クリームと同等の有効性を示したという報告があります(Marini A, Reinelt K, Krutmann J, Bilstein A. Skin Pharmacol Physiol. 2014;27(2):57-65/出典10)。

エクトイン自体は美白成分ではありません。でも、ひと晩肌の上に置いておくアイテムにとって、肌をゆらがせずに落ち着いた状態で朝まで持っていく役目って、かなり大事なんです。地味に見えて、ちゃんと理にかなった配合だと感じています。エクトインだけをじっくり掘ったest ザ リップセラムの成分解析という記事もあるので、気になる方はあわせてどうぞ。

[チャ葉エキス]|緑茶ポリフェノールの抗酸化・抗炎症

緑茶の葉からとれるエキスで、主役はEGCG(エピガロカテキンガレート)というカテキンの一種。抗酸化・抗炎症の研究が長年積み重ねられてきた成分で、ヒトの皮膚を使った試験もあるんです。

研究で分かっていること

UVBを照射する前にEGCGをヒトの皮膚に塗っておくと、炎症に関わる白血球の浸潤やミエロペルオキシダーゼ活性がおさえられたという報告があります(Katiyar SK, et al. Photochem Photobiol. 1999;69(2):148-153/出典8)。ほかにも、緑茶エキスを6%配合した製剤を30日間使った試験で、保湿と肌のなめらかさの改善が報告されています(Gianeti MD, et al. Dermatol Ther. 2013;26(3):267-271/出典9)。

昼間に浴びた紫外線のダメージは、その日の夜まで持ち越されます。夜に塗るマスクに抗酸化系のエキスが入っているのは、時間の使い方としても筋が通っているんですよね。

[グルタチオン(GL)]|期待は大きく、塗るタイプの研究はこれから

3つのアミノ酸がつながったトリペプチドで、私たちの体のなかでも大事な抗酸化物質として働いています。美容の世界では「飲む美白」として名前を聞いたことがある人も多いはず。メラニンについては、黒っぽいユーメラニンより明るいフェオメラニンのほうへ、生成をシフトさせる働きに関わると言われています。

研究で分かっていること

経口摂取についてはランダム化二重盲検プラセボ対照試験(60名、4週間)があり、メラニン指数の低下が報告されています(Arjinpathana N, Asawanonda P. J Dermatolog Treat. 2012;23(2):97-102/出典7)。いっぽう、肌に塗るかたちでの評価は、皮膚科医による総説で「効果と安全性への評価が分かれている」とまとめられています(Sonthalia S, et al. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2016;82(3):262-272/出典6)。

塗るグルタチオンは、まだ研究が積み上がっている途中です。とはいえ抗酸化成分としての立ち位置ははっきりしているので、4MSKの働きを横から支える役どころ、と見るのがいちばんしっくりくると思います。

[モモ葉エキスGL]|長く使われてきた和の植物エキス

バラ科のモモの葉からとれるエキスで、タンニンやフラボノイドが入っています。日本ではあせも対策の入浴剤やベビー用品でおなじみの、昔から使われてきた植物なんです。2025年には、AMPK/Nrf2という細胞内の経路を介した抗酸化・UVダメージ軽減の仕組みを示した動物・培養細胞の研究も出ています(Kim EO, et al. Nat Prod Commun. 2025/出典11)。

ヒトでの査読データは、今回調べた範囲では見つけられませんでした。それでも、肌あたりのやさしい整肌エキスとして長く選ばれてきた成分なので、処方全体のなかで肌を落ち着かせる側を担当していると見ておけばいいと思います。

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美容成分4種のなかで、ヒト試験がいちばん厚いのはエクトイン。美白の主役はあくまで4MSKで、残りの4つは「夜のあいだ肌を穏やかに保つチーム」と考えると全体像がすっきりします。

処方を支える保湿・皮膜・基剤の成分

残りのメンバーも、役割ごとにざっと見ておきますね。

  • 水分を引き寄せる係…[濃グリセリン][ジプロピレングリコール][1,3-ブチレングリコール][ジグリセリン]。角層に水分を抱え込ませる、保湿の土台です。
  • 膜をつくる・フタをする係…[ベヘニルアルコール][バチルアルコール][ベヘニン酸][流動パラフィン][硬化油][2-エチルヘキサン酸セチル]。「濃厚膜」の正体はこのあたりで、水分の蒸発を防ぎながら、朝まで形をキープしてくれます。
  • なめらかさを出す係…[メチルポリシロキサン][ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体]。シリコーン系で、こってりしたクリームでも伸びが重くなりすぎないように整えてくれています。
  • 形を保つ係…[N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)][(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン]。どちらも油をゲル状に固めて、マスクらしい形の保ちやすさをつくる成分です。
  • 乳化・pH調整…[イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル][水酸化カリウム]。水と油がきれいに混ざった状態を保って、処方のpHを整えます。
  • 品質を守る係…[エデト酸二ナトリウム](キレート剤)[ピロ亜硫酸ナトリウム](酸化防止剤)[フェノキシエタノール](防腐剤)[エタノール](溶剤)。エタノールもここに含まれています。

こうして並べてみると、「引き寄せて・抱えて・膜で閉じ込める」を、クリームとして固めたまま朝まで持たせるための顔ぶれだと分かります。「ひと晩置く」という使い方から逆算して組まれた処方なんですね。

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基剤の顔ぶれは奇をてらわず、王道のクリーム設計です。そのぶん「朝まで崩れずに留まる」という一点にきちんと寄せてあって、私はここが好みでした。

正直に気になる点

処方そのものに「ここはちょっと…」と言いたくなるところは、ほとんどありませんでした。そのうえで、買う前に知っておくと「思っていたのと違う」を防げるポイントを3つ挙げておきますね。

税込9,350円。毎日のケアではなく「週2〜3回の仕込み」枠

75gで税込9,350円。公式の目安は週2〜3回で、約45回分です(出典1・出典2)。週2回なら半年弱、週3回なら約3か月半というペースですね。

ここで大事なのは、これ1つでスキンケアが完結するアイテムではないということ。夜のお手入れの最後に重ねるものなので、化粧水・乳液・美容液は別にそろえることになります。だから、ふだんの美白ケアをHAKUの美容液でしている人が上乗せする使い方がいちばん自然で、「これ1本に置き換えてコスパよく」という買い方には向いていないんです。

「史上最高濃度」の中身は非公開。研究の試験濃度とイコールではない

医薬部外品は、配合量が公開されません。「HAKU史上最高濃度」もHAKUシリーズの中で比べてメーカーが出している言い方なので、具体的に何%なのかは分からないままです(出典2)。この記事で紹介した4MSKのヒト臨床試験は3%配合の製剤を使ったものなので、その数字がそのままこのクリームに当てはまるわけではないんです(出典5)。

とはいえ、有効成分として承認を受けているからには、効能を発揮するだけの量はきちんと入っています。私はむしろ、「シリーズでいちばん濃い」とわざわざ言い切ってきたところを評価したいです。

亜硫酸塩に反応したことがある人だけ、成分表の確認を

酸化防止剤として[ピロ亜硫酸ナトリウム]が入っています。亜硫酸塩の仲間で、ごくまれにこの系統に反応しやすい方がいるんです。化粧品での配合量はふつう低く抑えられていますが、ワインやドライフルーツの亜硫酸で反応したことがある方は、頭のすみに置いておいてもらえたら、くらいの話です。ひと晩肌に乗せておくアイテムなので、心配な方は腕の内側で試してからにしてくださいね。

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気になる点は「値段」「配合%が分からない」「亜硫酸塩」の3つ。どれも処方の欠点というより、買う前に知っておきたい前提のほうですね。逆に言うと、中身にツッコミどころが少ないアイテムでした。

こんな人に向いている/確認したい人

🙆‍♀️ 向いていそうな人

  • 日々の美白ケアはすでにしていて、週末にもう一段だけ足したい人
  • 医薬部外品の有効成分に、ヒト試験つきの根拠があるかどうかで選びたい人
  • 紫外線を浴びた日の夜に、その日のうちにケアしておきたい人
  • 朝まで残る濃厚なテクスチャーが好きな人(モニター調査では「テクスチャーが好き」93%(出典3))
  • 資生堂の長年の美白研究の蓄積に安心感を求める人

🔍 事前に確認したい人

  • スキンケアを1本にまとめたい人 → 夜のお手入れの最後に重ねる設計なので、化粧水や乳液の代わりにはなりません
  • 毎日使いたい人 → 公式の目安は週2〜3回。頻度を上げるほど早くなくなります(出典1)
  • 油分の多いクリームが苦手な人 → 膜をつくる油性成分が厚めの処方です
  • 亜硫酸塩に反応した経験がある人 → [ピロ亜硫酸ナトリウム]が入っています
  • すぐに結果がほしい人 → 4MSKのヒト試験は12週間。じっくり時間をかけて見ていく成分です(出典5)
ありす

「今のケアに足す1枠」で考えるとかみ合います。逆に「これに全部まとめたい」だと肩透かしかも。週末の夜に仕込んでおくもの、という距離感がちょうどいいです。

よくある質問

Q. 毎日使ってはいけませんか?
A. 公式の案内は「週2〜3回を目安に」です(出典1)。案内されている頻度から外れた使い方は、メーカーが想定・確認していない範囲になってしまいます。75gで約45回分という量も、この頻度を前提にした数字なんです。まずは公式の目安どおりに使ってみて、肌の様子を見ながら自分のペースを決めるのが安心ですね。

Q. 朝は洗顔料で落としたほうがいいですか?
A. 公式は「翌朝洗顔で洗い流す」と案内しています(出典1)。膜をつくる油性成分が厚く入っている処方なので、ぬるま湯だけで流すより、いつもの洗顔料で落としたほうが肌に残りにくいはずです。クレンジングまではいらないと思いますが、しっとり感が強く残るようなら、量を少し減らしてみてください。

Q. できてしまったシミにも効きますか?
A. 医薬部外品として書ける効能は「メラニンの生成をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ」までです。でも成分そのものを見ると、4MSKはチロシナーゼをおさえる働きに加えて、ケラチノサイトの分化を促してメラニンを含む角層の排出を助ける働きも報告されていて、ヒトの12週間試験では色素沈着している部分の明るさも上がっていました(出典5)。表示のうえでは「防ぐ」までですが、中身を見るとすでにあるシミが薄く見えてくる可能性も見込める成分なんです。すぐに変化が出るものではないので、季節をまたぐくらいの気持ちで、じっくり付き合ってあげてください。

まとめ

ありす

最後にまとめますね。HAKU 薬用 美白ナイトクリームマスクは2026年7月21日発売の医薬部外品で、有効成分はHAKU史上最高濃度をうたう[4MSK]です。2025年3月の査読論文で、チロシナーゼをおさえてメラニンを作らせない働きと、表皮の分化を促してメラニンを含む角層を押し出す働きの二方向が報告されました。ヒト12週間試験では、肌の明るさがプラセボよりはっきり上がっています。「機能型 濃厚膜」は感触の話ではなく、油性成分を厚く積んで朝まで留める処方そのものでした。美容成分4種のなかではエクトインのヒトデータがいちばん手厚くて、夜のあいだ肌を穏やかに保つ側を支えています。週2〜3回、いまのケアに足す1枠として考えるアイテムです。

20年以上使われてきた成分の仕組みが、去年ようやく論文というかたちで世に出て、そのすぐあとに「史上最高濃度」を掲げた新商品が出てくる。研究と商品が同じ方向を向いて動いているのが見えるのは、成分表を読むのが好きな身としてはかなり気持ちのいい流れでした。

「機能型 濃厚膜」の中身や、このクリームそのものを使った試験データが公表されたら、この記事にも追記しますね。

全成分と特徴

ひとつひとつの成分の役割は、この記事の「全成分を見てみよう」で、有効成分の4MSK・美容成分4種・処方を支える保湿や皮膜の成分に分けて紹介したとおりです。

※配合の正確な順序・全項目は商品の全成分表示をご確認ください。医薬部外品は表示順=配合量順ではなく、配合量は非公開です。この記事の全成分は公式ECの商品情報ページで確認しました(出典14)。

特性タグ:医薬部外品/美白(メラニンの生成をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ)/ナイトケア/週2〜3回のスペシャルケア/エモリエント/こっくりクリーム/エイジングケア世代向け

参考文献・出典(14件)
  1. 資生堂 公式サイト HAKU商品ページ「薬用 美白ナイトクリームマスク(医薬部外品)(HAKU ブライトニングクリームM)」(有効成分・美容成分4種・使い方・テクスチャー):https://www.shiseido.co.jp/haku/lineup/nightcreammask/
  2. PR TIMES(資生堂)「寝る前のHAKU。高機能濃厚膜で包み込む『薬用 美白ナイトクリームマスク』誕生。〜2026年7月21日(火)発売〜」2026年6月11日(史上最高濃度のアクティブ4MSK・機能型濃厚膜・価格容量・調査データ・ブランド実績):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003131.000005794.html
  3. 資生堂 公式オンラインストア 特設ページ「【HAKU】薬用 美白ナイトクリームマスク」(事前モニター調査 2026年2月23日〜3月22日、30代後半〜50代女性100名/「また使いたい」94%・「テクスチャーが好き」93%):https://www.shiseido.co.jp/sw/onlinestore/campaign/haku/creammask/
  4. 資生堂 HAKUブランドサイト トップページ(ブランドストーリー「美発光肌」・美白美容液市場21年連続売上No.1の公表):https://www.shiseido.co.jp/haku/
  5. Shirasugi Y, Shibata T, Koike S, Hara M, Hasegawa K, Iino M, Sonoki A, Funasaka Y. “Potassium 4-Methoxysalicylate (4MSK) Exerts a Skin Lightening Effect by Acting on Melanocytes and Keratinocytes.” J Cosmet Dermatol. 2025;24(3):e70112.(培養細胞試験+ヒト二重盲検スプリットフェイス臨床試験):https://doi.org/10.1111/jocd.70112
  6. Sonthalia S, Daulatabad D, Sarkar R. “Glutathione as a skin whitening agent: Facts, myths, evidence and controversies.” Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2016;82(3):262-272.(総説):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27088927/
  7. Arjinpathana N, Asawanonda P. “Glutathione as an oral whitening agent: a randomized, double-blind, placebo-controlled study.” J Dermatolog Treat. 2012;23(2):97-102.(経口摂取のランダム化二重盲検試験):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20524875/
  8. Katiyar SK, Matsui MS, Elmets CA, Mukhtar H. “Polyphenolic antioxidant (-)-epigallocatechin-3-gallate from green tea reduces UVB-induced inflammatory responses and infiltration of leukocytes in human skin.” Photochem Photobiol. 1999;69(2):148-153.(ヒト皮膚を用いた試験):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10048310/
  9. Gianeti MD, Mercurio DG, Maia Campos PMBG. “The use of green tea extract in cosmetic formulations: not only an antioxidant active ingredient.” Dermatol Ther. 2013;26(3):267-271.(ヒト臨床):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23742288/
  10. Marini A, Reinelt K, Krutmann J, Bilstein A. “Ectoine-Containing Cream in the Treatment of Mild to Moderate Atopic Dermatitis: A Randomised, Comparator-Controlled, Intra-Individual Double-Blind, Multi-Center Trial.” Skin Pharmacol Physiol. 2014;27(2):57-65.(二重盲検比較試験、n=65):https://doi.org/10.1159/000351381
  11. Kim EO, et al. “Prunus persica Leaf Extract Mitigates UV-Induced Skin Damage Via AMP-Activated Protein Kinase.” Nat Prod Commun. 2025.(培養細胞・動物試験):https://doi.org/10.1177/1934578X251330952
  12. 資生堂 ニュースリリース「美白有効成分4MSKの皮ふ浸透性を高める『4MSK/フリュイド浸透促進技術』を開発」2025年1月31日(プロトタイプ基剤技術としての発表。このナイトクリームマスクへの採用については記載なし。関連学会発表は Okishima A, Okamoto T, et al. IFSCC Magazine. 2023;26(1):71-75、第32回IFSCCロンドン大会2022発表分をもとにした寄稿):https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003957
  13. 資生堂 ブランドコンテンツ「メラニンの変身を阻止せよ!!秘密兵器4MSKって?」(4MSKの位置づけ・資生堂独自成分としての説明):https://brand.shiseido.co.jp/whyshiseido-article-21.html
  14. @cosme 商品情報ページ(全成分表示の確認に使用。資生堂公式サイトの商品ページには全成分表示の掲載が見当たらなかったため、公式EC側の商品情報で確認しました):https://www.cosme.net/variations/1253215/ / https://www.cosme.net/products/10298811/
ありす
コスメコンシェルジュ

美容、メイク、おしゃれ等にはまっている20代の3児のママ。 コスメレビュー、コスメ成分解析、コスメサブスク、ファッションレンタルなどの情報を発信しています。

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