トラネキサム酸は医薬部外品で使える、美白有効成分です。
シミを防ぐだけでなく、肌荒れを防ぐ効果もあると言われています。
人工合成されたアミノ酸の一種で、内服・外用のどちらにも使用できます。(この記事では主に外用について説明)
特にリスクの高い成分ではありませんが、一般化粧品への配合は禁止されています。
トラネキサム酸の効果
トラネキサム酸は”プラスミン”や”プロスタグランジン”の生成を抑える成分です。
“プラスミン”や”プロスタグランジン”はメラニンの色素細胞を活性化させたり、肌に炎症を起こす原因となる成分。
“プラスミン”や”プロスタグランジンの生成を抑えることで新たなシミや肌荒れの発生を防いでくれます。
トラネキサム酸は有効成分として医薬部外品に配合することで「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」などの効果効能を謳うことができます。
ビタミンC誘導体やハイドロキノンのような強い還元作用はありませんが、守りの美白ケアとしては優秀な成分です。
具体的な基準は公開されていませんが、有効成分と配合されるトラネキサム酸は0.5~2%ほどの濃度であると予想されています。
トラネキサム酸の浸透
トラネキサム酸は水溶性(水に溶けやすい)成分ですが、クリームや乳液などの油分を含む製品に配合した方が、浸透が高まると言われています。
また、化粧水などに配合されているトラネキサム酸は、イオン導入を行うことで浸透が高まります。
トラネキサム酸の副作用や刺激はある?
トラネキサム酸は美白有効成分の中でも特に刺激になりにくい成分です。
医薬部外品の有効成分として外用する場合、副作用はほとんどありません。
肌に赤みが出たという報告がありますが、極稀な例です。
トラネキサム酸でシミは消せる?
まずは肝斑ではなく、老人性色素斑(一般的なシミ)についてのお話です。
まず大前提として「シミが消える」という効果効能を謳って化粧品を販売することは、薬機法で禁止されています。
実際のところでは、老人性色素斑(一般的なシミ)は高濃度のビタミンC誘導体やハイドロキノンで薄くなる可能性はありますが、トラネキサム酸はあくまでも「予防」程度の効果しかないと言われています。
内服の場合も肝斑には効果的ですが、老人性色素斑(一般的なシミ)への効果は認められていません。
肝斑に効くって本当?
内服薬としてのトラネキサム酸は肝斑の改善薬として認められています。
しかし、外用に医薬部外品で肝斑治療の効果効能を謳って販売することができません。
(あくまでも薬機法の都合上書けないだけで、論文等では外用による肝斑への効果も報告されています。)
参考:肝斑に対するトラネキサム酸療法、トラネキサム酸配合乳液の肝斑・雀卵斑に対する使用成績
肝斑の治療は内服薬で行うのが効果的。
8週間で肝斑を改善する第一類医薬品の「トランシーノⅡ」はドラッグストアや通販などでも手軽に購入できます。
トラネキサム酸の歴史
内服薬としてのトラネキサム酸は歴史が古く、1965年から喉の炎症を鎮める飲み薬として使われています。
外用(医薬部外品)では、2002年に資生堂の申請により美白有効成分として承認されました。
資生堂のコスメで特によく有効成分として使用されていますが、他社のコスメでも使用できます。
トラネキサム酸の名前
開発当初は「t-AMCHA(ティーアムチャ」という名称でした。
資生堂では「m-トラネキサム酸」、ロート製薬では「ホワイトトラネキサム酸」と呼ぶこともありますが、成分の中身は同じです。
医薬品では「トランサミン」とも呼ばれますが、これもトラネキサム酸を含む医薬品の名称です。
新成分のトラネキサム酸セチル塩酸塩
[トラネキサム酸セチル塩酸塩]はCHANELが開発し、2009年に新たな美白有効成分として承認された成分。
トラネキサム酸を水にも油にも馴染みやすい誘導体にすることで、浸透力を高めています。
プロスタグランジンを抑制するという作用は同じですが、従来のトラネキサム酸よりも浸透しやすいのが特徴です。