防腐剤の効果
- 殺菌剤・・・微生物などの菌を殺して、菌の繁殖を防ぎます。
- 静菌剤・・・微生物が育ちにくい環境を作ることで菌の繁殖を防ぎます。
- 酸化防止剤・・・化粧品の成分(主に油)が酸素と結びつくことで劣化することを防ぎます。
- キレート剤・・・金属イオンによる化粧品の変質を防ぎます。
「防腐剤フリー」は安全で「パラベン」は危険?
化粧品の成分で「防腐剤」と聞くと肌に悪いようなイメージが持たれがちです。
しかし日本の化粧品では原則として「未開封の状態で3年間腐らないこと」が定められています。
成分や容器の形状にもよりますが、ほとんどの化粧品の場合は3年間品質を維持するために『防腐効果のある成分を添付すること』は必要不可欠なのです。
防腐剤フリーでも防腐剤は入っている?
一般的に「防腐剤フリー」と書かれている製品は、パラベンが入っていないという意味です。
つまりパラベン以外の防腐効果がある成分は普通に入っています。
ただし水を含まない一部の化粧品に関しては、本当に防腐効果のある成分を入れずに作ることも不可能ではありません。
また、配合された成分自体に防腐効果がある場合は防腐剤を使わずに作ることも可能ですが、その成分自体が肌に刺激になる可能性もあります。
パラベンは危険?
「パラベンは肌に悪い!」という噂を聞いたことはありませんか❓
実際のところ確かにパラベンは刺激のある成分ですが、ブチルパラベンなどの刺激の強いパラベンを除いて、化粧品の防腐剤として配合される量では肌への刺激はほとんどありません。
[note title=”代表的なパラベンの刺激の強さ”]
ブチルパラベン>プロピルパラベン>エチルパラベン>メチルパラベン
[/note]
💡お肌への刺激を考えると『メチルパラベン』か『エチルパラベン』が使われているのが安心です。
また、パラベンはごく少量でもしっかり防腐効果を発揮するので、他の防腐剤を大量に配合するよりも、かえって肌に優しいという意見もあります。
ただし「パラベンが入っていない化粧品は他の強い防腐剤が入っているから危険」と言い切れるわけではないので、それぞれの成分をしっかり確かめることが安心ですね。
パラベンの種類が多いのはどうなの❓
一概には言えませんが、1種類のパラベンで防腐しているより複数のパラベンを組み合わせている方が、結果的に配合濃度が少なく、低刺激になりやすいです。
パラベンとフェノキシエタノールはどちらが安全❓
パラベンと並んでコスメによく配合される防腐剤であるフェノキシエタノール。
全く同じ濃度で配合した場合は、パラベンの方が刺激が強い成分です。
しかしフェノキシエタノールはパラベンより防腐効果が低く、高濃度(パラベンと同じ効果を出すにはパラベンの3~5倍程度)で配合する必要があります。
なので実際に防腐剤として化粧品に配合されたときに「パラベン」と「フェノキシエタノール」どちらが安全かというと、優劣はつけにくいです。
どちらにしろ、刺激の少ないパラベンやフェノキシエタノールは、無理に避けるほど刺激の強い成分ではありません。
フェノキシエタノールとエタノールは違う成分
フェノキシエタノールは名前に「エタノール」が入っていますが、エタノール(アルコール)とは異なる性質を持つ成分です。
- エタノール・・・水性成分のベース、使用感の向上、溶剤
- フェノキシエタノール・・・製品の防腐
と、配合することによって起こる主な効果も全く違うので、この2つは全く別の成分と考えましょう。
フェノキシエタノールの化粧品への配合上限は1%なので、エタノールのように大量に配合されることはありません。
防腐剤(殺菌)の成分辞典
o-シメン-5-オール
別名 | |
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製造方法 |
防腐剤です。さまざまな種類の微生物に対する殺菌力を発揮します。フケ、ニキビや肌トラブルを防ぐ効果も。皮膚刺激はほとんどなく、防腐剤の中では安全な成分です。
イソプロパノール
別名 | 2-プロパノール |
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製造方法 |
防腐剤です。エタノールとよく似た作用を持つアルコール系の防腐剤。医療機関で消毒剤としてよく使われています。水にも油にも混ざる性質なので、溶剤としても使われます。強い脱脂力や粘膜への刺激がある成分ですが、化粧品の防腐剤として少量配合しているレベルでは影響はあまりなく、無理にさけるほどの成分ではありません。
ヒノキチオール
別名 | |
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製造方法 | ヒノキ油やヒバ油の精油から抽出されます。化学合成によって作られるものもあります。 |
防腐剤です。医療の現場では結核菌の殺菌、皮膚疾患、歯槽膿漏などの治療にも使用されます。フケやかゆみを抑える効果も発揮します。刺激は少ないですが、動物で奇形児が起こるというデータが出ており、やや不安のある成分です。
フェノキシエタノール
別名 | |
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製造方法 |
防腐剤です。菌に対して強い抗菌作用があり、製品内での微生物の繁殖を防ぎます。パラベンが効かない微生物にも有効で、刺激も弱めですが、その分高濃度で配合する必要があるので、パラベンとどちらが安全かは比較できません。化粧品の配合上限(1%以内)での使用では刺激はほとんどありませんが、皮膚バリア機能が壊れている場合はごくまれに軽度の刺激が起こる可能性があります。基本的に、防腐剤としてはお肌に悪影響が少ない部類なので無理にさけるほどの成分ではありません。
💡アルコールの一種ですがエタノールとは異なる成分で「アルコールフリー」の化粧品にも配合できます。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル
別名 | |
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製造方法 |
防腐剤です。ウエットティッシュやおしりふきによく使われています。毒性やアレルギーの指摘があります。日本の配合量の規制内であれば大きな心配はないとも言われていますが、やや不安のある成分です。
プロピルパラベン
別名 | パラオキシ安息香酸プロピル |
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製造方法 |
防腐剤です。パラベンとして避けられがちですが、実際には化粧品に配合する防腐剤の中では毒性が低く、お肌への刺激も少ない防腐剤です。通常の肌への使用でアレルギーが起こる可能性はほぼゼロで、皮膚バリア機能が壊れている場合はごくまれに軽度のアレルギーが起こる可能性があります。基本的に、防腐剤としてはお肌に悪影響が少ない部類なので無理にさけるほどの成分ではありません。
ポリアミノプロピルビグアニド
別名 | |
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製造方法 |
防腐剤です。日本では2015年に使用許可が出たばかりの新しい成分。ウエットティッシュやおしりふきによく使われています。アニオン系界面活性剤と配合しても防腐力が低下しないのが特徴です。防腐剤なので刺激ゼロではありませんが、化粧品に配合される量であれば特に避けるほど危険な成分ではありません。
メチルクロロイソチアゾリノン
別名 | |
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製造方法 |
防腐剤です。海外コスメではよく使われている成分ですが、日本では単体での配合は許可されておらず「メチルイソチアゾリノン」と共に配合されます。
メチルパラベン
別名 | パラオキシ安息香酸メチル |
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製造方法 |
防腐剤です。代表的なパラベン4種類の中で最も防腐力が低いですが、化粧品に配合する防腐剤の中では毒性が低く、お肌への刺激も少ない防腐剤です。通常の肌への使用でアレルギーが起こる可能性はほぼゼロで、皮膚バリア機能が壊れている場合はごくまれに軽度のアレルギーが起こる可能性があります。基本的に、防腐剤としてはお肌に悪影響が少ない部類なので無理にさけるほどの成分ではありません。
レブリン酸
別名 | |
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製造方法 | サトウキビ、トウモロコシなどから得られるデンプン由来の成分です。セルロースを加熱することでも得られます。 |
防腐剤です。天然の防腐剤で、肌と同じ弱酸性の性質を持ちます。抗菌だけでなく保湿やアクネ菌への効果が期待されています。防腐剤の中では特に刺激の少ない安全な成分です。
レブリン酸Na
別名 | レブリン酸ナトリウム |
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製造方法 | レブリン酸のナトリウム塩です。 |
防腐剤です。天然の防腐剤で、肌と同じ弱酸性の性質を持ちます。抗菌だけでなく保湿やアクネ菌への効果が期待されています。防腐剤の中では特に刺激の少ない安全な成分です。
防腐剤(静菌・抗菌)の成分辞典
安息香酸Na
別名 | 安息香酸ナトリウム |
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製造方法 | 水に溶けくい性質の安息香酸にナトリウム塩を反応させて水溶性を高めたものです |
防腐剤です。細菌やカビなどに対して殺菌作用を持ちます。食品の防腐剤としても使用できる成分ですが、高濃度では強い毒性があります。化粧品に防腐剤として少量配合する場合、健康な肌への使用時は特に刺激の心配はない成分ですが、肌質によっては刺激を感じる可能性もあります。
サリックスニグラ樹皮エキス
別名 | |
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製造方法 | ヤナギ科のクロヤナギの樹皮から抽出されます。 |
防腐剤です。天然の防腐剤としてよく使われます。製品に対する静菌・肌に対する抗菌の2つの効果を持ちます。一般的な防腐効果を持つ植物成分よりも、静菌・抗菌効果に優れています。ピーリング、抗炎症作用もあると言われています。静菌・抗菌効果がしっかりあるので刺激はゼロではありませんが、特に避けるほど危険な成分ではありません。
デヒドロ酢酸
別名 | |
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製造方法 |
防腐剤です。カビなどの菌の成長抑制に高い効果を発揮します。アレルギー性や刺激性が指摘されており、海外では使用が許可されていない国もあります。
乳酸桿菌/ダイコン根発酵液
別名 | |
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製造方法 | ダイコンの根を乳酸菌で発酵させて作られます。 |
防腐剤です。天然の防腐剤としてよく使われます。製品に対する静菌・肌に対する抗菌の2つの効果を持ちます。一般的な防腐効果を持つ植物成分よりも、静菌・抗菌効果に優れています。静菌・抗菌効果がしっかりあるので刺激はゼロではありませんが、特に避けるほど危険な成分ではありません。
ベンジルアルコール
別名 | |
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製造方法 |
防腐剤です。植物エキスや芳香成分を溶かし込む溶剤として使われ、製品自体の防腐効果も持ちます。旧表示指定成分のひとつでわずかな眼睛刺激・皮膚刺激はありますが、少量配合されている程度なら特に避けるべき成分ではありません。
レウコノストック/ダイコン根発酵液
別名 | |
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製造方法 | ダイコンの根をレウコノストック(乳酸菌)で発酵させて作られます。 |
防腐剤です。天然の防腐剤としてよく使われます。製品に対する静菌・肌に対する抗菌の2つの効果を持ちます。一般的な防腐効果を持つ植物成分よりも、静菌・抗菌効果に優れています。静菌・抗菌効果がしっかりあるので刺激はゼロではありませんが、特に避けるほど危険な成分ではありません。
防腐剤(酸化防止剤)
(クロロフィリン/銅)複合体
別名 | |
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製造方法 |
酸化防止剤です。軽い殺菌作用も持っています。緑色の粉末なので、製品を緑色に着色する効果もありますが、沈着しない色素なので、洗い流せばすぐに落ちます。皮膚刺激はほとんどなく、安全性の高い成分です。
BHT
別名 | ジブチルヒドロキシトルエン |
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製造方法 |
酸化防止剤です。自らが酸化することで、油の酸化を防止します。酸化防止効果が高く、耐熱性もあるので、化粧品の品質維持のために多く配合されます。似た名前のBHAは毒性が非常に高いですが、BHTは特別避けるほど危険な成分ではありません。発がん性が指摘されていますが、実際は心配するほどではないでしょう。
亜硫酸Na
別名 | 亜硫酸ナトリウム |
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製造方法 |
酸化防止剤です。通常の酸化防止剤は油溶性のものが多いですが、ピロ亜硫酸Naは水に溶ける性質を持ちます。水分を多く含むコスメの酸化防止剤として使用されます。化粧品に少量配合されるレベルでは皮膚刺激はほとんどなく、安全性の高い成分です。
グルコシルルチン
別名 | |
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製造方法 | ルチン(ビタミンP)にブドウ糖を結合して作られます。 |
酸化防止剤です。主に製品の酸化防止のために配合されることが多いですが、肌への抗炎作用も期待できます。皮膚刺激はほとんどなく、安全性の高い成分です。
トコフェロール
別名 | 天然ビタミンE、dl-α-トコフェロール、d-δ-トコフェロール、ビタミンE |
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製造方法 |
酸化防止剤です。主に製品の酸化防止のために配合されることが多いですが、肌への抗酸化作用も期待できます。皮膚刺激や毒性もない安全な成分です。
ピロ亜硫酸Na
別名 | 二亜硫酸ナトリウム |
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製造方法 |
酸化防止剤です。通常の酸化防止剤は油溶性のものが多いですが、ピロ亜硫酸Naは水に溶ける性質を持ちます。水分を多く含むコスメの酸化防止剤として使用されます。化粧品に少量配合されるレベルでは皮膚刺激はほとんどなく、安全性の高い成分です。
防腐剤(キレート剤)
EDTA
別名 | エデト酸 |
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製造方法 |
キレート剤です。金属イオンを封鎖して、製品の品質劣化を防ぐ役割があります。アレルギーの可能性を指摘されている旧指定成分で、EDTA-2NaやEDTA-3Naでも代用できるものなので、なるべく避けたほうが良いでしょう。
EDTA-2Na
別名 | エデト酸二ナトリウム |
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製造方法 |
キレート剤です。金属イオンを封鎖して、製品の品質劣化を防ぐ役割があります。化粧品に配合されるpHが調整されたものは皮膚刺激や毒性もない安全な成分です。
EDTA-3Na
別名 | エデト酸三ナトリウム |
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製造方法 |
キレート剤です。金属イオンを封鎖して、製品の品質劣化を防ぐ役割があります。化粧品に配合されるpHが調整されたものは皮膚刺激や毒性もない安全な成分です。
エチドロン酸
別名 | ヒドロキシエタンジホスホン酸 |
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製造方法 |
キレート剤です。金属イオンによる化粧品の変色・変質防止のために配合されます。化粧品に少量配合されるレベルでは皮膚刺激はほとんどなく、安全性の高い成分です。
エチドロン酸4Na
別名 | ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム液、ヒドロキシエタンジホスホン酸4Na液 |
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製造方法 |
キレート剤です。金属イオンによる化粧品の変色・変質防止のために配合されます。化粧品に少量配合されるレベルでは皮膚刺激はほとんどなく、安全性の高い成分です。
ペンテト酸5Na
別名 | ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、ジエチレントリアミン5酢酸5Na液 |
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製造方法 |
キレート剤です。金属イオンによる化粧品の変色・変質防止のために配合されます。化粧品に少量配合されるレベルでは皮膚刺激はほとんどなく、安全性の高い成分です。
メタリン酸Na
別名 | メタリン酸ナトリウム |
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製造方法 | メタリン酸にナトリウム塩を反応させて作られます。 |
キレート剤です。金属イオンによる化粧品の変色・変質防止のために配合されます。化粧品に少量配合されるレベルでは皮膚刺激はほとんどなく、安全性の高い成分です。
未分類
アニス酸Na
防腐成分です。セリ科のアニスという植物から抽出される天然成分で、お肌を健やかに保つ役割もあると言われています。皮膚刺激は特に指摘されていませんが、情報が少ないので不安もあります。
ジメチロールプロピオン酸ヘキシル
防腐成分です。商品内での細菌や真菌の繁殖を防ぎます。防腐剤フリー化粧品によく配合される成分です。防腐効果があるため多少の刺激はありますが、パラベンやフェノキシエタノールよりは低刺激で、安全性の高い成分です。
配合コスメ:レヴィーガモイスチュアセラム(美容液)
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